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警狼ゲーム  作者: 如月いさみ


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新潟県警の狼 2

 西日本が落ちて今度は山形まで落ちたのである。これ以上ことが進むと六家の半数が落ちることになる。まして、残っている一人は裏切り者の瀬田祥一朗だ。

 

 和田秀雄は息を吐き出すと

「あの時……奴が救急に連絡を入れた。奴こそ裏切り者だ」

 と呟き、JR新潟駅から少し離れた小針駅の側にある喫茶店に座りながら外を見つめていた。


 喫茶店はドライフラワー壁に飾られた愛らしい内装で和田秀雄がいる場所は特に観葉植物が並べて植えられて少し個室風になっている一番窓側の奥の場所であった。

 彼はその席に座りカランカランと音が鳴ると少し腰を浮かせて入口を見ると入ってきた人物に手をあげて迎え入れた。その人物は小針駅を最寄り駅とする新潟県警警察学校で『勝尾時春教官』と呼ばれる人物であった。


 和田秀雄は勝尾時春が前に座ると笑みを浮かべ

「山形県警が落ちた」

 と第一声で告げた。

「組織の人間は更迭され今までしてきたことを再捜査され逮捕されている」


 それに勝尾時春は目を見開いて息を飲み込んだ。

「ま、さか」


 和田秀雄は写真を置くと

「これが警察内部で我々を洗い出している部署の人間と思われる。恐らくこちらを重点に動いている」

 と告げた。

「新潟に入ったら始末しろ」


 ……俺は他にも警戒を呼び掛ける場所がある……


 勝尾時春は写真を手に震えながら

「……こんなことになるなんて」

 と顔を伏せた。


 外は雪が白い幕のように流れ、地上に白亜のカーペットを敷き広げていた。


 将は桐谷世羅から

「まあ、傷が治るまで動けねぇんだ。ゆっくり休め」

 と言われて、本を一冊渡された。


『大人も楽しめるレクレーションゲーム』という色々なゲームが載っている本である。ゆっくりしろと言いながら左手で仕事関係の本を出すというのが、流石である。


 将は動けないのでノートを母親に言って買ってもらい自分でもゲームを創作して書いていた。参考になると言えばなるので助かるのは助かる。


 桐谷世羅はそのノートを一瞥し

「ま、適当にな」

 と笑って手を振ると立ち去った。


 将は桐谷世羅を見送り『大人も楽しめるレクレーションゲーム』を早速ペラペラ捲りながら

「確かに面白そうなのもあるけど警察学校の人数は50名から70名、大都市は数百人だからなぁ……一気にするにも人数に合ったものをしないとな」

 とぼやいた。


 しかも唯のレクレーションではないのだ。狼を見つけるための手段であることを忘れてはならない。狼が動きやすい穴を業と作り動いたところを捕まえなければならないのだ。


 そう、これはトラップゲームでなければならないのだ。

 黙って本と自身が作ったゲームを見比べ始めた将を横目に母親はベッドの横の椅子に座りながら

「将も大変ね、警察の人間は皆そうね」

 と困ったように笑い、扉が開くと現れた人物を見て立ち上がった。

「将、私は飲み物を買ってくるわ」

 そう言うと入れ替わりで入ってきた翼に会釈をして立ち去った。


 翼は将の前に座ると

「気を遣わせて悪いな」

 と母親が去った後を見て言い

「来週、新潟県警の警察学校で合宿を行うことになったから知らせに来た」

 と告げた。


 将は「おお、そうなんだ」と呟いた。

「悪いな、天童。根津や菱谷にも言っておいてくれ」


 翼は首を振ると

「いや、課長も俺も本当は東大路が動けるようになってから再開しようと思っていたんだが……新潟県警から依頼があったんだ」

 と告げた。


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