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王たちの宴  作者: スギ花粉
98/200

え~~楽しんでいただけてるでしょうか?スギ花粉です。ではどうぞ~~

「「「グワ!!」」」


バタバタっと兵士たちが倒れる。スタッと地面へと華麗に着地した者が、ゆっくりと立つ


「…すまない。だが、これも自由のためだ。君達の犠牲は忘れない」


と、この魔王城の主。魔国第2代魔王は、悲しそうに語る。


兵士たちの首筋には、何本かの針が打たれている


その尊い犠牲を乗り越えて、さささっと廊下を進んでいくカイ。


(くくくくく…やったぞ!!一度は闇の軍の裏切りにあったからダメかと思ったけど、なぜか東地区の警護だけ手薄で助かった!!)


そう、カイはシルヴィアとマリアを買収した後、魔王城の東地区からの脱出を図っていた。


なぜか、他の地区に比べて警備態勢がかなり疎かだったのだ。


だが……カイは気付くべきだった。


あのリサが手薄な警備などを用意するはずがないという事を…


逆に手薄だからこそ………自分がそこに導かれている事を


バッと廊下を抜け出し、中庭に出る。キラキラっと太陽の光が降り注ぐ。


そしてそこには―――――――――――――――――――――


真っ赤な槍を傾けて、仁王立ちしている………レンの姿があった。


キキ――――っと何とか急ブレーキをかける


カイとレンはそのまま、じっと見つめあう。


そして―――――――


「レン………お前もか」


カイは絶望した声で話しかける。


「………諦めろ」


「いやだいやだいやだ・・・・略・・・・せっかくここまで逃げ出したんだ!!自由はもうすぐそこなんだ!!絶対諦められない!!レンとはいえ手加減しないぞ!!」


とカイは手袋をはめ、低く構える。


その両手がどんどんどん魔力が込められていき、漆黒のオーラを纏う


「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


っとレンに突っ込んでいくカイ。


だが、3日3晩まともに寝ておらず、ハンコ・リサの説教・ハンコ・リサの説教・ハンコ・リサの説教・・・・・・・・略・・・・・という凄まじいストレス下で生活していたために、精神的・肉体的にもカイはボロボロだった。


そんな状態でカイがレンに勝てるはずもなく。


「・・・・・」


クルクルクルっと槍を回転させ、黙ったまま、槍の石突でカイの腹を打つレン。


「ぐ!!」


といって中庭にうずくまってしまうカイ。


「……無駄だ…カイ。今のお前は隙だらけだ。俺には勝てない」


「………」


(ダ、ダメだ。今の状態じゃ…俺がレンを突破する事なんて不可能だ。考えろ…俺。考えろ。…………………よし!!この手でいこう!!)


レンがゆっくりとカイへと近づいて行った。


だが、その歩みを止める事になった。目の前に衝撃的な光景があったからだ。


「………グス…グス…エグ」


とカイは目から大量の涙を流して、泣き始めたのだ。


「カ、カイ!!ど、どうしたんだ」


レンはカイが急に泣きだしたので、慌てている。


「俺さ…魔王になってから、自分なりに頑張ってきたつもりだよ」


「…そうだな。お前はよくやっているよ」


「けど…みんな俺の事が嫌いなんだ」


「そ、そんな事ないさ」


とカイを説得しようとするレン。


だが――――――――――――――


「いや……これは虐待だ」


「そんな虐待だなんて」


「…………レンだけは味方だと思ってたのに」


と涙目でレンを見上げるカイ


「!!!い、いや…俺はいつだってお前の味方だ!!」


その言葉に対して、ふっと皮肉そうに笑う


「無理しなくていいよ…レンも俺の事嫌いなんだろ?」


「そんな…嫌いだなんて。むしろ好きというか…いや!!これは…あの……そういう事ではなくてだな!!」


自らの失言にワタワタと慌て始めるレン


だが、カイはレンの話はすでに耳に入っていなかった。


すっと手を伸ばし、レンの黒いローブの端っこを握る


「………助けて」


「な、何!?」


「助けてよ………レン」


レンは明らかに動揺し始めている。マスクの上からでも、パクパクっと口を動かしてるのが分かる


(よ、よし……何とかうまくいってるぞ!!…後…後ひと押しだ!!)


と何かを喋ろうとしたカイだったが・・・・


ヒュン・ヒュン・ヒュン・ヒュン・ヒュンと、その瞬間に無数の鎖が投げ縄のようにカイに巻きつく


これは闇の軍が対象を生きたまま捕えるために訓練するものだ…カイ自身がみなに教えたのだ


バタンっと先ほどのように地面に倒れてしまうカイ。


「ま、まさか!!」


その意味を理解し、驚愕の表情を浮かべる


そこに、どす黒いオーラを放ちながら銀の長髪をした女性がゆっくりと歩いてくる


カタカタカタカタ…………っとカイが震え始める


「レン様……ありがとうございました。これが報酬の通達です。これがあれば各部族の戦士たちと合法的に決闘ができますよ」


とリサがレンに書類を手渡している。だが、レンは受け取るのに躊躇しているようだ


それを見て、キッとレンを睨みつけるカイ。


「お、おのれ!!やっぱり俺を売ったんだな!!レン!!」


「い、いや違う!!こ、これは……」


そこにリサの勝ち誇った高笑いが聞こえてくる


「ほほほほほほ…お見苦しいですよ陛下。さぁ…逃げた分もしっかりと仕事してもらいますからね。者ども引っ立て~~~~い!!」


何人かがぐるぐる巻きになったカイを、えっさらほいさっと担いで行ってしまう


「この恨み決して忘れぬぞ!!裏切り者!!鬼!!悪魔!!人でなし!!」


「ほほほほほ…何とでも言いなさい。負け犬の遠吠えですね」


とその集団はどんどん遠ざかっていき、そこにはレン一人だけが残される。


そして―――――――――――――――――――――


「………鬼……か」


レンはその夜―――――――――――――――――結構へこんでいた。

誤字・脱字ありましたら。感想・意見待ってます。心折れそうな時の励みになります。よろしくお願いします

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