悪影響 北の王
「き、北の王!!」
と兵士が凄まじい勢いで報告に来た
「何事だ・・・・騒々しい」
「ま、魔王が現れました!!」
その発せられた言葉をじっくりと吟味するソロス・・・コツコツとテーブルを人差し指で叩く
「・・・・・・当たり前だ・・会談は今日なのだから。むしろ来ない方がおかしい」
「そ、それが軍勢を率いています!!」
コツコツコツ・・・と先ほどよりも強く叩く
「・・・・・・こちらも5千の軍で来ているだろうが!!いったい何だというのだ!!」
ソロスは要領を得ない報告にイライラしていた。
「そ・・それが・・・・ま、魔獣を従えております!!」
それを聞き、ガタっと椅子から立ち上がる
「・・・・・・・馬鹿な」
「いえ・・事実です!!ドルーン山脈近くの森から突然大量のベアウルフが現れ、それを従えています!!」
「・・・・・・・・」
ボスンっと椅子に座り直し、両手を組むソロス
(そんな馬鹿な・・・魔獣は誰にも懐かないはず・・・・・
・・・魔族が・・魔獣を従える技術を見つけ出した?・・・・ですが、魔国侵攻の時に魔獣を使役していたという話は聞いていませんし・・・切り札だった?
それとも・・・異世界の力でしょうか・・・だとしたら、光の勇者も同じ事ができる可能性がありますね。・・・ジョルンの話では勇者は参戦しないだろうという事でしたが・・・確証はないですし・・・
いや・・闇の勇者個人の能力である可能性も否定できない・・・・
どちらにしろ・・・・現魔王が魔獣を使役できるとすると・・・・将来の私の野望に・・・・悪影響を及ぼしますね)
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ソロスは報告で聞いていたとはいえ、目の前の光景が信じられなかった
ドルーン山脈近くの森に、数十匹のベアウルフが見える
・・・・・・・・・森の中にはさらに多くのベアウルフがいるのかもしれない
そして、一際大きなベアウルフに跨っている・・・・黒髪の男がいる
その隣には銀髪の魔族の女性が控えている
(・・・あれが魔王・・・さて・・どのような人物なのでしょうね・・・)
ソロスと10人の騎士たちが魔王の目の前で止まる
グルルっと周りのベアウルフが唸り声を上げている・・・・・少し落ち着かない
すると、魔王の方から挨拶をしてきた
「初めまして・・・魔国第2代魔王・・・・カイ・リョウザンです」
「北の王・・・ソロス・スタットックです。これらの者たちは私の護衛です。レイスが狙っている可能性があるので・・・魔王は・・・・素晴らしい護衛を引き連れていますね」
「ありがとうございます」
と、にこにこ笑う魔王。それをじっと・・・見つめる
「・・・・・・・・さて・・・・早速ですが始めてもよろしいですか?今も我ら北部は神聖帝国と闘っておりますので、時間を無駄にしたくはありません」
「もちろんです」
「会談は森の中で・・私と魔王・・二人きりで行いたいと思いますが・・いかがですか?」
「いいでしょう・・・・・護衛はジェミン・・頼めるかい?」
カイは跨っているジェミンに話しかけると、
{ご安心ください・・・周りは我が一族が死守いたします}
グルルっと唸る
(・・・・・・操られているようには見えない。どういう事なのでしょうね・・・・・まったく・・・これほど近くでベアウルフを見る事になるとは予想していませんでした)
「北の王・・それでいいでしょうか?信じてもらうしかないんだが・・」
「・・・信じましょう・・・・あなたが闇討ちをするような人物だとは思っていませんから。では、参りましょうか」
というと、ソロスは魔王と共に森の中へ入って行った