頑固
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魔王城にある執務室には、現在二人の人物がいた。
漆黒の髪に漆黒の目をした青年・・・魔国第2代魔王・・・・カイ・リョウザン
もう一人は、銀の長髪に、銀色の目をした魔人族の女性・・リサ・ジェーミソンである
カイは1時間前からず~~~~と喋り続けている
「・・・リサ・・俺は思うんだ・・確かにコンフルは便利かもしれない。だが!!便利なものを使えば使うほど・・それだけダメになると思うんだ!!」
「・・・・・・」
リサは黙ってカイの言い訳を聞いている
「そう・・・会談は1週間後だ・・逆を言えば・・それだけ時間に余裕があるということだ!!」
カイは熱弁をふるっている。
「・・・・・・つまり?」
今まで黙っていたリサが、底冷えのするような声で先を促す
カイはしばらく黙ったまま、窓の外を見つめて・・こういった
「・・・・・歩いていきます」
スパンっ!!・・・とハリセンのようなもので思いっきり叩かれた
いったいどこにそんな物を隠していたというのか・・・・・
(・・俺・・魔王だよね・・・魔国で一番偉いんだよね?)
「陛下・・・・あなたがどれだけこの国にとって大切な存在か理解しておいでですか?・・陛下がお強いのは私も存じております。ええ!!存じておりますとも!!ですが・・・・万が一という事もございます!!ドルーン山脈を歩いていく??愚かなことを言われては困ります!!」
カイは少し拗ねたように言う
「・・・・・ギルだって行ってたよ」
「兄様は兄様!!・・・陛下は陛下です!!」
「・・・・・・・・・・」
(何だろう・・ものすごい理不尽を感じる)
「どんな危険があるか分からないのですよ!!絶対に許しませんからね!!」
ふ~~~・・ふ~~~~・・・・とリサはカイを凄まじい形相で睨んでくる
「・・・・・分かった。リサの言う事も当然だ。降参しよう・・・・1週間後コンフルで行く事にするよ」
============= 夜 ===============
「なんてね」
深夜のみなが寝静まった頃を見計らい、カイはアゴラスを抜け出し、外壁に備えている馬屋から一頭の馬を引き出していた
「・・・人間は大地を踏みし種族・・そもそも空を飛ぼうという考えがおかしいんだ・・うん」
と何やら自己弁護のような一人言を呟く
「まぁ・・・馬ならそう時間もかからずに、ドルーン山脈の麓につける。そこからスピードをあげれば・・・余裕でこの神聖帝国北部の・・サイロ・・・という村にはつけるな」
(・・・・うまくいけば・・・あそこに・・・・寄れるかもしれない)
地図で村の位置を確認する。
そして馬に跨るとパカパカと進む。
バリスタンが持ってきたのは、北の王からの書状だった。
内容は・・・・魔国との同盟を前提とした会談を行いたいとの事だった
これは魔国の最重要の会談だ・・・・・上層部にしか知らせる訳にはいかない。
レイスが潜んでいる今、闇の軍にこれ以上の負担をかける訳にはいかない。だから、通常任務を命じてある。
レンにも言ってない。魔国の事に巻き込む訳にはいかないから。
だから、俺一人でこの会談を成功させてみせる!!
とカイはパカパカと一人寂しく、ドルーン山脈を目指すはずだった
だが・・・・アゴラスを出て少し行った所で・・・
フードを被り馬に跨った、何者かが森から現れた
一瞬身構える・・・・・だが・・・・発せられたその声には聞き覚えがあった
「・・・・・やはり来ましたね」
カイは驚いた、そこにいるはずのない人物がだったからだ
「・・・・リサ」
その人物がフードをとると、きれいな銀の長髪が現れる
「・・・・・陛下の嘘を見破る事など、私には造作もない事です」
「どうして・・」
「止めても無駄だという事は分かっておりました。ですが・・陛下お一人で行かせる訳にはまいりません。護衛として私が同行します」
「え?・・いや・・でも」
「私はこれでも、魔国第1将軍です。・・・腕にはある程度自信があります、足手まといには決してなりません」
「だけど・・・」
戸惑うカイに対して
「ご安心ください・・・バリスタン将軍に言って休みを頂きました。仕事を放り投げてきた訳ではありません」
(いや、別に仕事の事なんかどうでもいいんだが・・・こんな事言ったらまた叩かれるだろうけど)
と、少しずれた事をいうリサ。
「・・ドルーン山脈は魔獣の巣窟をいわれてるんだよ。そんな所にリサを連れていく訳にはいかないよ・・・・しかも・・レイスの危険だってないわけじゃ」
とカイが説得し始めた時、リサはそれを遮る
「陛下・・・私はこれでも・・・・・・兄様の妹なのですよ」
と銀色の瞳に頑固な光を宿し、カイを見つめる
その瞳の意味はよく知っている・・・ギルも時々そんな目をしていたから・・・絶対に譲らない時の目だ
ハァーーとカイはため息を吐く
「分かった・・・一緒に行こう・・」
「はい!!」
こうして二人は真夜中に、ドルーン山脈を目指し出発した
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二人が馬に乗ってドルーン山脈に向かったのを、はるか遠くからではあるが見つめている者がいた
「・・・・・・」
今の時間帯は深夜・・・しかもこの距離だ・・・・絶対に見えるはずがないのだが、その人物はじっとカイたちの方を見つめている
しばらく何か考えていたようであったが・・・・・口に指をくわえると息を吹く
「~~~~~~~~~~」
特殊な音が響きわたる・・・一般人には決して聞き取れないような小さな音だ
すると・・・・・・・気配もなく続々と同じようにローブを着た者たちがそこに集結する
「「「・・・・・・」」」
一人のローブを着ている人物が、手で合図をする
するとその集団は音もなく・・・・・はるか遠くからではあるが二人の後をつけていった
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