忠告 北の王編
今、城壁の上から南の大地を見ている
自分の横にいるのは、ソロス・スタットック・・・北の王だ・・
「さすが法王・・・すばやい判断だ。すでに魔国に向かっていた軍勢を呼び戻している」
「ですが・・・よろしかったのですか?中央の兵が東へと向かいました、その時に援軍を装い帝都を落とす事もできましたのに・・」
ソロスのジョルンに対する敬語はなくなっていた。自らの部下に話しているのだから、当然だった。
「そうだ・・・・確かに合理的だ。しかし・・・それではダメだのだ。・・・愚かだがな」
と皮肉そうに笑う年若き男
ジョルンはそれを見て、なぜかは分からないが
「それでいいのですよ・・・」といっていた
ジョルンは自らの信頼する兵1千と共に北へと下った
自分は北に行くと、信頼する兵たちの前で明かした。すると自分も連れて行ってくれと頼み込む者が大勢いた。
意外だった・・・・・・・だが、嬉しくもあった。
その気持ちはありがたいと思ったが、家族がいる者が大半だった。だから、他の者に迷惑がかからないような者たちを選別した。
「・・・しかし・・良いのですか?いきなり私を総大将などにして」
「構わない・・実力があれば登用する、当たり前のことだ。北の兵は惰弱な地方軍とは違うぞ」
「はい・・・全身全霊をかけて勝って見せます」
「・・・・・もうすぐ冬が来る。地利・天候・すべてが我らの味方だ
ここである程度・・・時間を稼いでもらうぞ」
「かしこまりました。1年でも2年でも持ちこたえて見せます」
ジョルンは感激していた・・無駄なしがらみが何もない
北の兵たちは初めは怪訝そうに自分を見ていたが・・・模擬戦をしてからは自分を認め始めていた
いい兵士だ・・・・鍛え抜かれている
この者たちと、全力をもって戦いの事だけを考えられる。
・・・・・・・・・・・・・・軍人はそれでいいのだ
(もしかしたら・・・・・叶うかもしれない)
「今・・・準備をしていてな・・その成功いかんで楽をさせられるかもしれない」
「準備?・・・ですか」
「ああ・・だが成功する可能性は高い」
自分は知らなくてもいい・・・・・・自分の戦場はここなのだ
ジョルンは未だ来ぬ軍を・・・・・・・・・・・・・・
北の大地をいつまでも見つめている・・・・・・・・・
「気をつけろよ・・・レイスが狙っておるやもしれんぞ」
とソロス・スタットックが可笑しそうに忠告した