謝る
え~~~今日はあとがき読んで欲しいですね。ではどうぞ~~
カイとレンは朝早く・・・森を二人で歩いている
「かっこ悪いとこ見せちゃったね」
とカイは少し照れたように喋る
「・・・・・・・そんな事はない」
いつものように冷静に答えるレン
「でも、少しすっきりしたよ。ギルの事が悲しくない訳じゃないけど・・・死を少し受け入れられたかもしれない」
「・・・・・そうか」
「うん・・・今、アゴラスでは次の魔王についての話し合いだ。まぁ・・リサ将軍が次の魔王で決まりだろうね
・・・・・魔族の中では強さがすべてだ・・・・だから納得しない奴もいるだろう・・けど」
ぱっと跳躍して、空中で様々な体術の型を繰り出す
そしてスタッと着地するカイ
「・・・・・俺が納得させてみせるよ」
にこっと笑いかけてくるカイ
「・・・・・・・・・・・」
それを黙って見ているレン
二人が‘壁’に戻ると、一人の兵士が血相を変えて走ってきた
「カ、カイ将軍!!どこにいらしたのですか!!」
「あ~~ごめんごめん・・・心配させちゃったかな?」
「そんな事より、アゴラスより急使がきております!!今すぐにアゴラスへ帰還するようにとの事です」
「アゴラスに??」
カイは怪訝そうな顔をする
「何だろう?・・分かった・・・すぐに戻ろう・・レンも一緒に戻る?」
「・・・・・・・・・・ああ」
レンはいつにもまして無口だった
================ アゴラス =====================
「ふざけるな!!!」
カイの怒号が響きわたる
「ふぁっふぉっふぉ・・いえ真面目な話です。ふざけてなどおりません」
それにバリスタン将軍は飄々と答える
「次の魔王が・・・・・・俺だって!!俺は人間だ!!魔国の王になれるはずがない」
「いいえ・・・・カイ将軍。
あなたは人間ではありません・・・・・・・・・・異世界人です」
「子供の屁理屈だ!!」
「ええ・・・子供の屁理屈です。ですが・・みな・・その屁理屈には気付かないようで」
「リサ将軍はどうなるんだ!!その立場は!!」
「・・・・・そのリサ様からの提案でございます」
「な!!」
カイは絶句する
「・・・・・一番ギルバート様を理解し・・・又・・‘壁’での戦いぶり・・カイ将軍こそ王の器だと熱弁をふるいましてな」
「・・・・」
「カイ将軍・・・今この国はギルバート様という主軸をなくしてしまいました。頼れる柱が必要なのです」
カイはバリスタン将軍を睨みつけていたが・・・・・・・・しばらくしてこう言った
「・・・リサ将軍と・・・話をさせてくれ」
「かしこましました」
============= 執務室 ==================
「陛下」
カイが執務室に入ると、開口一番にそう呼ばれた
「おい・・リサ将軍・・やめてくれ・・・なぜ・・俺なんだ」
それの問いに対して・・・・
「・・・・・・私じゃダメなんです」
そういうと俯いてしまう
「何がダメなもんか・・今まで立派にこの国を支えてきたじゃないか」
カイはリサ将軍を説得しようとする。
だが、それをリサ将軍の絶叫が遮る
「ダメなんですよ!!‘壁’での戦いではっきり分かったんです!!神聖帝国の軍勢を見たとき・・私は怖くなってしまったんです。
何も考えられませんでした・・・・・兄様の遺言だったのに・・・・。
兵たちの事さえ考えられなくなってしまった。
けど・・あなたは違う・・しっかりと兵たちに勇気を与えてくれたじゃないですか・・・・」
「俺はただ・・必死に・・・」
「必死でも、できることに意味があるんです!!すべての者が期待しています・・・あなたこそが‘王’です」
「・・・・・・」
バリスタンの時のように絶句するカイ
そして、リサ将軍とカイは睨みあう形になる
リサ将軍の銀色の目がカイを射抜いてくる
その場を沈黙が支配する
・・・・・・・・・・・・・・
カイはそのまま黙って部屋を出て行った
=============== ===================
今、俺たちはコンフルに乗り・・・・・・・・とある場所へ向かっている
カイには俺にしがみついているが、いつもの様に悲鳴を上げたりしていない
俺たちは無言で、空を飛んでいる
しばらくすると・・・・何かキラキラと光の反射が目に入る
・・・・・・・ジャーン湖が近付いてきたのだ・・・・・
そしてギルがいつも釣りをしていた岩山の先へと下りる
そこには・・・・・・・・・白銀のベアウルフ・・・・・ジェミンがいた。
{お待ちしておりました}
「・・・・・・・・・・よく分かったな」
レンとカイは、コンフルから飛び降り話しかける
するとジェミンは、悲しそうな表情を見せる
{・・・・ギルバート様の魔力が消えましたので}
そこで、レンはある事に気づく
「・・・そうか・・・ギルがお前に頼んだこととは」
{はい・・・私はギルバート様の・・墓守でございます。死んでからもここで釣りをするとおっしゃっておりました}
「・・・・・・・・」
カイは黙ったまま・・・ギルの剣を持って岩山の先端へと向かう
そしてギルの剣を突き立てて、その前であぐらをかく
「「・・・・・」」
無言でレンとジェミンと共に剣を見つめる
どれくらいの時がたっただろうか・・・・
その静寂をカイが破る
「・・・・・まさか・・こんなことになろうとはね」
「・・・・・つらいか?」
「重い・・・・・ギルはすごいよ、こんな重圧の中・・弱音を聞いたことがないもんな」
と、剣に話しかける。
「ギル・・これでいいのか?・・・・お前は俺に託してくれたのか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・違っていたら、あの世で謝るよ」
スタッと立ち上がり、ジャーン湖を見つめている
その背中にレンが言葉を投げかける
「・・・・決めたか?」
「ああ・・・・・・・・・・・・・・・・俺は・・・・
・・・・・・・・・すべてを背負う・・・・・・・・・
魔国も・・・・・民も・・・・・ギルの思いも・・・・
俺は・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・魔王になる!!」
この小説の正式なタイトルを発表します。「王たちの宴・・first・・魔王編」
になります。え~~長かったですね。まぁ・・ばればれだった気もしますが。
小説のタイトルは変えません、ネタバレになるので。みなさんの心の中に記憶してください