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王たちの宴  作者: スギ花粉
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え~~スギ花粉です。いつの間にかお気に入り登録が180件超えてました。180人も読んでくれてる事を嬉しく思います。感想とかぜひ欲しいですね。励みになるので・・・どうぞ~~~

今、カイは‘壁’にある執務室にいた神聖帝国軍が撤退していったので、他の将軍たちはみなアゴラスへと戻っている。


神聖帝国に対する、一応の備えとしてカイが残ったのだ。


そして執務室には、カイ以外に闇の軍のマリア、シルヴィア、コーリンがいる


「なるほど…神聖帝国の北部で反乱が」


「はい。北部総督のソロス・スタットックが北の王を名乗っています。北部領主をすべて味方につけました。」


とコーリンが話はじめる


「しかもな?ジョルン将軍っていう中央の名将まで味方につけたっちゅうことで。結構中央は動揺しているらしいで」


マリアがコーリンの補足をする


「ですから、こちらへの進軍はないと思われます」


とシルヴィアが報告を締めくくる


急な撤退を不審に思ったカイが、闇の軍に諜報活動を命じていたのだ。


「わかった。ありがとう。油断はしないが、厳戒態勢は解こう。3人も通常任務に戻ってくれ」


「「「は」」」


そこに、コンコン、と扉を叩く音が聞こえた


「カイ将軍、よろしいでしょうか?」


「何だい?」


「いえ、あの・・・赤き狼と名乗る方が訪ねてきております」


「何!!すぐに行くと伝えてくれ・・いや待て・・俺が直接行く」


と部屋と飛びだしていくカイ


その場に残される。闇の軍の隊長3人。


「……将軍…何かやつれてたな~」


「ああ・・・・今日もあまり召し上がられてないそうだし・・心配だ」


と顔を曇らせるシルヴィア


「仕方ありますまい・・私もカイ様に死なれたら、立ち直れるか自身がありません」




==============  ===================




外に出ると真っ赤な髪がまず目に入った


「レン!!」


「・・・・久しぶりだな・・カイ。・・・・少し・・・・やつれたな」


「そうかな・・ハハハ・・闘い続けだったからね」


と笑うカイを、しばらく見つめるとレンはこういった。


「カイ・・お前・・・・仕事は残ってるか?」


「うん?まぁ・・戦後処理とか雑用はあるよ」


「・・・・そんな物は部下にでもやらせろ・・・・今日はお前の鍋が食いたいんだ・・森へいくぞ」


「鍋?・・う~~ん・・仕事があるんだけど・・久しぶりだしな~~・・うん、いいよ!!・・ちょっと待っててね用意してくるから」


と準備を整えた二人は近くの森へと並んで歩いていった




================ 夜  ================



「ほれ、できたぞ~~レン。おいしそうだろ~~~」


とカイは自分の鍋料理をお椀によそる


「・・・・・・」


それを黙ったまま受け取るレン


「どんどん食べてよ、いっぱい作ったから」


カイはにこにこと笑顔を浮かべている


「・・・・・・・」


レンは相変わらず何も喋らない


二人で鍋料理をすする


どちらも話し始めず・・・・そこを静寂が支配する


・・・・・・・・それを破ったのはカイだった


「・・・・・ジョンがな・・・・・羨ましいんだ・・」


「・・・・・・・カイ」


「俺もな・・心にぽっかりと穴が空いたみたいなんだ・・・・ギルを背負っておろした時・・何となく死ぬって分かった。・・だから俺も・・後を追おうと覚悟を決めた」


そして・・・空を見上げるカイ・・・夜空は木に遮られ見えない


「了山家は主君に仕える一族だ・・・・敵には破滅を・・主君には栄光を与える。まぁ・・長い歴史の中・・ほとんど水月家が主君だけどね。そして・・・・・俺たちは死を恐れない・・・・恐れるのは主君の名誉が穢されることだ・・・・


常に勝利だけで飾ってきた訳じゃない・・・所詮は一人の力だ・・・・・負けることもあるさ


それでも・・・主君を敵の辱めに晒す事など断じて許さない・・敵の手にかかるくらいなら、自らの手で・・・・・・そして黄泉の世界までつき従う・・・どこまでも・・・どこまでも・・・未来永劫に渡ってだ・・・・・けど・・」



苦しそうに言葉を切る


「・・・頼む・・・ってさ・・・・ずるいよな~~ギルは~~~・・そんな事言われたらさ・・死ねないじゃんか」


と乾いた笑い声をあげるカイ


「・・・・ギルはいい奴だったよ」


「ああ・・子供っぽくて・・我がままで・・でも威厳がある王で・・ハハハ・・憎めないやつだったよね」


レンはその姿をじっと見つめ・・・


「・・・カイ・・お前・・・泣いたか?」と聞いてきた


「うん?・・ハハハ・・そういえばまだ・・泣いてないな・・おかしいな・・こんなに悲しいのに・・全然涙は出ないや」


「・・・・・・・・泣け」


「ハハハ・・レン何いってるんだよ・・だから・・出ないっていってるじゃんか」


「・・・強がるな・・お前は自分を律している・・・・・無理をしているよ・・・自分がしっかりしなくちゃと思っているんだろう?」


「・・・・・・」


カイは何かを喋ろうとしたようだが…声が出ないようだ


「・・・俺も悲しい・・・長い付き合いだったからな」


「・・・・・・」


「・・・・・・報告を聞いた時・・俺は信じられなかった。あのギルが死んだだと?馬鹿な事を言うな!!と兵に詰め寄ってしまったよ」


レンはじっと鍋の火を見つめている


「・・・・俺は・・・・・・誰よりも強くなろうと誓った・・・だからどんなに辛くても泣く事を自分に禁じたんだ・・・・だけどな・・・・・・カイ」


そして顔を上げてカイを見つめるレン


「・・・・・・・・・今日ぐらいは・・・・・・・・いいよな?」


その言葉を聞いて・・・・・・・・・・・・・


カイの目から大粒の涙がこぼれ落ちる


どんどんどんどん・・・・・・・・・


カイは嗚咽を上げ始める


「レン・・・レン!!」


「ああ・・・分かっているよ、カイ・・・俺は・・ここにいるよ」


と言いながら、レンの目からも一筋の涙が流れ落ちる


「俺は・・・・俺は・・・うわぁぁぁぁぁぁ!!」


その慟哭は森へと・・・消えていった



誤字・脱字ありましたら。感想・意見待ってます。励みになるので

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