古の掟 北の王編
(自分の領地は神聖帝国の中央よりだ・・・何よりまず法王様に取り入った。今・・・・総督に兵を出させろと脅迫を受けている)
冷や汗ものだった
それがやっと総督が北部の領主たちを自分の城に集めてくれた
これで・・・一安心だ
だが・・自分の娘を連れてこいとは、いったいなぜなのか・・・・・?
ハァーーーーとため息を吐く。長く一緒に娘と馬車に乗っているが、会話はいっさいない。
我が娘ながら・・男勝りに育ったものだ・・・しかも・・・精霊信仰をしている
やめて欲しかったが・・・言えなかった。
そもそも北部では精霊信仰が盛んなのだ・・・・・アートス神はやはり無理やり押し付けた感が否めない
ライガーは総督に娘を連れてこいと言われた意味について、考えてみる事にした
(総督はもしかしたら、自分の娘を気にいったのかもしれない。それなら、もうけものだ)
自分は、小領主から総督を息子に持つ者になれるだろう
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「皆の者・・よく集まってくれた」
今、この場には北部の領主たちが座っている
総督は全員を見渡すと、ゆっくりと喋り始める
「・・我ら北部の民は・・王国を築いていた。100年前・・・賢王が死んだとき・・・その息子が神聖帝国に誘拐された・・・唯一の後継ぎであった・・・涙をのみ・・神聖帝国に屈した。そして隷属され・・・併合された」
(なぜ・・今・・そのような話を・・・100前のレイスが関わるような話をしてどうするというのだ?)
ライガーの疑念を余所に総督は話続けている
「だが、我らは北部の民・・厳しい寒さを乗り越えてきた誇り高き民族だ。彼らに我らを支配する権利ががあるのか?いや・・・ない!!もう・・・帝国の支配は受けぬ!!」
ライガーはガタっと椅子から立ち上がる。
「・・・・反逆だ・・・それは神聖帝国に対する反逆ですぞ!!」
だが、年若き北部総督はライガーの方を見向きもしない
「・・・我らに精霊の加護があらんことを・・・古より君臨する北の王よ!!今、ここに宣言しよう!!100年前に途絶えた・・・・王の系譜を復活させよう・・我こそ第87代・・北の王・・・
ソロス・スタットック!!」
「な、何ということを!!・・・法王様は決してお許しになりませんぞ!!」
とライガーがそこまで言った時・・・・・・やっと周囲の異変に気づくことができた
自分以外がみな・・・・イスに座ったままなのだ
(ま、まさか)
「・・・・北の王を名乗るためには、すべての領主の承認が必要だ・・・みなに問う・・我を北の王として承認するか!!」
「承認します!!」
自分以外の領主たちが答える
(認めん!!私は認めんぞ!!)
「・・・・グラートン家の領主の娘・・・マーガレットよ・・お主は承認するか?」
「はい・・・我らが北の王よ」
と、答えるマーガレット
(自らの親を売るだと!!)
バッとその場から逃げ出し、出口へ走る
だが・・・・バタンっ!!と扉が開いたかと思うと大勢の兵士が現れ、ライガーはあっという間に捕まってしまう
そして外に連れ出され・・・自分は地面に押さえつけられる
総督がゆっくりと自分に近づいてくる。
「ライガー・・・・・北の領主でありながら・・女狐へと媚を売るその態度・・許しがたい
古の掟により・・北の王を認めぬものは・・王自身の剣で斬る」
ジャリンっと剣が鞘から抜かれた音が聞こえた
「お許しを・・お許しを・・・」
(嫌だ!!死にたくない!!助けてくれ!!)
「ふん!!」
と風をきる音が聞こえる
そこでライガーの意識は、途絶えた