旅立ち 神王編
ぎーーー、と扉を開ける。
あれから………ルーウィン様とダリオン様の手紙を受け取ってから、どれだけの時がたっただろう
外はすでに深夜となっている。月の光が闇夜を少しだけ照らす。ここがどの辺りなのかはよく分からない。だが、森を抜ければいくらでも軌道修正できるだろう。
自分がついたときにそこにいなければ、一度も行った事もない神聖帝国の帝都に行くまでだ。
ざっと地面を踏みだす。
「・・・・・やっぱり、行くのかい?」
すると後ろから気配もなく、声をかけられる。自分の師匠だ………初めてもった。
「はい」
と、すぐに返事をする。決して振り向かない。自分の進むべき道はこちらなのだから。
「神王やダリオンは、ジョンに生きてほしいと願った・・・・・それは俺も同じだよ」
カイ師匠は少し悲しそうに話しかけてくれる。
(わかっています………あの手紙の意味も………お二人のやさしさも………でも)
ギュッと拳を握りしめる。未来になど興味はない…自分は今を思うさな生きてやろう
「申し訳ありません、カイ師匠。それでも自分は…・……行かねばなりません」
自分の気持ちを素直に話す。
「……………力づくでお止になりますか?」
師匠が本気になったら、自分に勝ち目はないだろう。だが、もし止めるなら死ぬ気で戦うしかない。
だが、そんな自分の心配をよそに・…
「そんなことはしない。ジョンの気持ちが分からないわけじゃない」と言ってくれた。
「…………感謝します。」
自分は闇夜に向かって歩き出す。すると、目の前に何者かがあらわれ、自分の前に立ちふさがる。
暗闇でもわかる・・・燃えるような深紅の髪。顔の下半分をマスクで隠している
「………………」
「…レン師匠」
しばらくじっと見つめられた。自分もじっと見つめ返す。決して目を逸らさない。
すると、黙って何かを手渡される。
「・・・・・・・・知り合いにうってもらった。受け取れ。」
それを受取り、包みをとってみる。そこにあったのは、漆黒の槍。
レン師匠の槍にも、決して劣らない見事な槍。
きれいな・・・・・カイ師匠の髪の色のような・・・・漆黒の黒。
レン師匠は自分を通りすぎる時…………ポンっと肩に手をのせてくれた
「俺達からの贈り物だよ。受け取ってくれるかい?」
「・・・・・・弟子が師匠を超えずに死ぬ。それは一番の無礼だぞ、ジョン。」
泣きそうになった。お二人には本当にお世話になった。今生の別れになるかもしれない。
ジョンは振り返り、二人に深い深い一礼をする。
「短い間でしたが、ありがとうございました!!行ってきます!!」
「………ああ」
―――――――あくまで冷静なレン師匠。
「ジョン……思いっきり…暴れてこい」
――――――――最後までやさしい、カイ師匠。
「はい!!」
と、もう一度返事をする。
――――――――目的地を目指す
―――――――――神聖帝国軍がいる―――――――――ゴーラス平原へ!!