魔物退治
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シリアスはまだかとお思いになるでしょうが・・もうちょっと待って下さい
では、楽しんでいただけると幸いです
今俺達二人は謁見の間で、法王様と向かい合っている。
「魔物退治?」
「その通りです。わずか1週間で魔法の使い方を覚えてしまったお二人は、さすが勇者と云わねばなりません。ただ、訓練と実戦は違います。そこで、魔物退治をしてもらって実践を経験してもらおうということです」
「なるほど・・確かに一理ありますね。実践にまさる経験はないはずですし、学ぶことも多いと思います」
「頼もしい言葉ですね、勇者カエデ。ちょうど、北と南の村から救援の要請が出ていますので、勇者カエデには北の村を・・・・・勇者カイには南の村を・・・救っていただきたいのです。もちろん、簡単なクエストですし・・こちらとしても勇者様にもしもの事があってはなりません。しっかりと護衛をつけさせていただきます。やってくれますか?」
「・・・魔物ですか?・・正直・・見たことがないのではっきりした事は言えませんが・・まだ早いような気がするのですが・・・魔法もしっかり身についたとは言えないような・・・」
と、かなり不安なカイ。
「申し訳ありませんが・・勇者カイ。神聖帝国も危機的な状況なのです。いつ魔国の侵軍が始まるか分かりません・・お二人には急いでもらわねばならないのです」
と、いう法王様
「そうだぞ・・カイ。魔王を倒そうとしているのに、そんな魔物ごときに恐れてどうするんだ。ちゃんと護衛も付くらしいし、大丈夫だろ。それに・・・・・私はお前を信頼している。こんな所で死ぬ奴じゃないさ」
「・・・・・」
(こいつは、俺を信頼しすぎるんだよなー)
「では、勇者カエデ。勇者カイ。頼みましたよ」
「はい」「・・・はい」
俺とカエデは、謁見の間を後にした。
============= カエデ編 ===============
「これから、どれくらいかかるんだ?」
「はい。馬車で2日というところです」
今、馬車には神聖帝国・第一王女であるエリシア姫がいっしょに乗っている。
その周りを5人の騎士が取り囲んでいる。その5人の全員が、女性である。
近衛騎士のメンバーであり、剣技、魔法に優れた貴族の中から選ばれたエリート中のエリートだ。
「その村はゴブリンに襲われたそうだが・・・・・どれくらいの規模なんだ?」
「はい、報告では20匹らしいのです。軍もいつまでも村に駐屯している訳にはいきません。それに、軍がいる間は現れず、いなくなった隙をつくらしいですね。村は、老人や子供が多く対応しきれていないということです」
「・・・外道どもが」カエデが怒りのオーラを纏う。
「はい。弱きものから奪うことしかしらない、魔族どもを許すことはできません」
「安心してくれ。私とカイが魔王を倒してみせる」
そう、決意を固めるカエデであった。
============= カイ編 ===================
カエデは馬車で北へと、向かってしまった。
自分は南の魔物を倒す手筈となっている。
護衛は兵士が2人ついている。
魔法使いもつけましょうか?と言われたが丁重に断った。
あの方である可能性が非常~~~~~~に高い。
魔物との戦闘中に、パーティーの一員が天寿をまっとうするとか・・・・・マジ笑えない。
だから、魔法使いがいないことに不満はない。不満があるのは・・・・・
「・・・・これは、何ですか?」
「牛です」と、女性騎士が答える。
そう、目の前には一頭の大きな牛がいる。
(なるほど・・・・・これに乗って行けとでもいうのか)
じっと、その牛を見つめるカイ。
(ふ・・・ふふふふふ。俺が断るとでも、思っているのだろう?だが、甘いわ!!この嫌がらせの数々・・・・一度くらい度肝を抜いてやる!!)
「・・・そうですか。ありがく、乗らせていただきます」と、牛にカッコ良く跨る。
「・・・・気にいっていただけて光栄です」と、答える騎士。
(やった!!俺は勝ったんだ!!)と、喜びを隠しきれないカイ。
牛に乗り、意気揚揚と進む。
その後ろを護衛の兵士2人が続く。
と、そこへ・・・
「・・・・・・・ぉ・・ぃ・・・」
「うん?」
何かを叫ぶ声が聞こえる。気になってそちらの裏路地を覗いてみると・・・・・・・・・・・・・
「お願いします!!あの牛がいなくなったら、私たち家族は生きていけません」
「うるさい!!我らが勇者様が、必要だというのだ!!協力するのが国民の義務だ!!」
「そんな、ゴホっ、ゴホっ」 「お母さん!!」「お母さん!!」
・・・・・・兵士の方と、貧しそうな家族の方々がいた・・・・・・・・・
(・・・・いや、待て・・落ち着け俺。明らかにおかしいよね。
だってタイミングが良すぎるでしょ・・・・・
き、きっと、あれは嫌がらせのために雇った役者か何かだ・・・
ハハハハ・・・い、いい演技するね~~~。
さぁ・・・先へ進もう・・進もう)
と、牛に乗り目的地へ行こうとする。
「うわぁぁぁぁぁぁん。お母さん!!」
「ごめんなさいね。私が不甲斐ないばっかりに」
と、家族3人が抱き合って泣いている。
「グス、僕は泣かないよ!!だって、お兄さんだから・・グス・・僕がお母さんを守るよ」
(・・・・・もう・・良心が耐えらんねーよ!!)
そのまま、踵を返し城へと戻った。
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結局、牛を返して、3人で歩いていくことになった。牛を持ち主に返すように、しっかり念を押すことも忘れなかった。
(だが・・・・これでよかったんだ。だって・・こんなに心が晴れやかに・・・)
と、自分のしたことに一遍の悔いもないカイ。
そのカイの前から、あの家族が仲良さそうに歩いてくる。
「坊やたち、よかったわよ」
「うん、僕一生懸命泣いたんだよ」「僕も!!」
「騎士の方がたくさんお金をくれたから、今日はごちそうを食べましょう」
「やった・・うれしいな」「僕、お腹ぺこぺこだよ」
「じゃ、何を食べようかしらね」、そう尋ねる母親に対して
子供たちは、声を揃えて・・・こういいました・・・・・・・
「「牛が食べたい!!」
「そうね、じゃステーキを死ぬほど食べましょう」
「「わーーい」」
と、本当に楽しそうに喋っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カイはその小さくなっていく後ろ姿を、呆然と見つめていた。
すると、護衛の兵士の方々が、「・・・・勇者様・・・・その・・・頑張ってください」といった。
そこには・・・・・・・・・・・
兵士のやさしさに触れ、目から水滴がこぼれそうになるのを必死にこらえるカイの姿があった。
アドバイスありましたら、よろしくお願いします