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王たちの宴  作者: スギ花粉
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犠牲

え~~楽しんでいただけてるでしょうか?めっちゃ宣伝しますが・・・神王編はじまってます。ぜひ、読んでくださいね

            

リサは執務室の中を、うろうろと歩いていた。

     

ぐるぐる・・・・・同じ場所を何度も何度も。


そのまま、すでに1時間あまりが経過していたが、本人にその自覚はまったくない。


    

(男など問題にもしてこなかった私が、同じ魔人族でもない・・・しかも、あの男??)

    


(私は誇り高き、魔国第1将軍です・・・・・・・・・・ありえない!!)



(しかし・・・・・・・兄上の言うことは絶対ですし・・・・・・)


    

(仕方ないと割り切るべきでは?・・・・・・・・・これも魔国の将来のため・・・・・・そう!!魔国のため・・・・犠牲になるしかない・・か・・・)

   

途端に、心がふわっと軽くなった。

    

わくわくと胸が躍り、自然と顔がほころび始める。

   

いつの間にか、滅多に見せない微笑など浮かべている。


だが、そのことに決して気づいていない。

    

(まぁ、カイ将軍がこの国のために働いているのは事実ですし・・・・・・・その点は評価してやらないこともないですね・・・・・うん・・・・・・・)


「・・・・・・・魔国の将来について語るべきことは多いですし・・・・この国はこれからが大事です・・略・・」


   

「お~~~~~~い」

  

   

「・・・・・仕方ないですね・・・これも、王族の務め・・・・・・」

 

「おい!!リサ将軍!!魔国第1将軍!!」


「・・・まぁ・・・・・魅力的でないわけでもない・・・・・か・・・・・」

   

かぁっと頬が熱くなった。 

   

どぎまぎして、胸が苦しくなってきた。

   

なにか、大声を出してそこら中を走りまわりたい気分である。

   

   

急に恥ずかしくなり、慌てて左右を見渡して誰もいないのを確かめたほどだ。




・・・・・・・・・・・・・そこにカイがいた・・・・・・




「やっと気が付いてくれたか?リサ将軍・・ほれ、頼まれてた闇の軍に加えたい者のリストとこれからかかるであろう予算の・・・・・・・」

  

「うぁっぁっぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁっぁぁっぁ!! せーーーーーりゃーーー!!」

    

リサは即座に抜剣すると、カイに斬りかかる。

 

    

「危な!!」


それを、バッと飛び退ってよけるカイ。

  

    

「ころ!!危ねーだろーが!!何すんだよ!!」


「カイ将軍!!かってに部屋に入るとは何事です!!」


「いや、ノックもしたし・・・・・部屋にいるみたいなのに、気づかなかったからな」


「・・・・・・・き、聞きましたか?」


「何を?」


心底、わからないといった表情のカイ。

     

ホッと胸を撫で下ろすリサ


「それで、リサ将軍。予算のことなんだが・・・・・・・」

     

カイの顔が近づいてくる

    

「うぁっぁぁぁぁあ!!だ、黙りなさい!!気安く私の名を呼ばないでください!!」


「はい??・・・・・じゃあ、何て呼べば・・・・・・魔国第1将軍リサ?・・・」

    

「それだけでは、我らが陛下への尊敬が感じられません!!だいたいカイ将軍は・・・・・・・うんたらかんたら・・・・」

   

 カイは理不尽にも、リサの説教に3時間あまり付き合うこととなった。

=============  ===============  ============

      

廊下を魔王とカイが雑談をしながら、歩いている。

      

 向い側から、リサが歩いてきた。

     

「うむ。リサではないか」

     

     

「これは、魔王陛下」


と、頭を下げるリサ。


頭を上げるとリサは、キッとカイを睨みつける。


     

「私は政務がありますので、これで失礼します。カイ将軍」


「政務御苦労さま」

      

と、そこでカイは、スーッと息を吸い込む。

      

「10年前、我らが魔王陛下は小さな村からわずか百騎あまりでの出陣で・・・・・・略・・・・そこから、様々な部族を味方に時には敵にまわしながらも・・・・・・・略・・・・・そして遂に誰も成し遂げなかった魔族統一をなした偉大なる魔王陛下であられるギルバート・ジェーミソン様。その妹であられる魔国第一将軍リサ」

    

カイの文言を一言一句、間違いがないか確かめるリサ。

    

「よ、よし。いいですか!!我らが魔王陛下への忠誠を常に持ってください!!わかりましたね!!」

    

「はい、わかりました!!」


と直立するカイ。

   

リサはそのまま足早に廊下の角を曲がり、二人の視界から消えていった。

    


「・・・・・何だ・・・・今のは?」

    

「いや、俺にもよく分からないんだが・・・・」

    

「・・・あの、馬鹿ものが・・・・・」

    

魔王のつぶやきは、魔王城に消えていった。

  

誤字・脱字ありましたら

感想・アドバイス待ってます。心折れそうな時の励みになります

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