宿木
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?ではどうぞ~~
あ、ちなみに神王編はじまってます
廊下をツカツカと、早歩きで歩く姿がある。
この魔国の第1将軍であり、魔王の妹であるリサ、その人である。
手には、何らかの封筒を持っている。
その顔に今や余裕は、まったく見られない。
「・・・・・・ぶつぶつ・・・・」と何やら一人言をいいながら、どんどんスピードを上げていく。
その原因は、1時間前にさかのぼる。
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「陛下。魔国将軍リサ。ただ今参上いたしました。」
「うむ」
魔王であるギルバートは玉座に座り、読んでいた報告書か何かから目をあげる。
そこには、魔国第2将軍である、老将・バリスタンも控えていた。
「これは、バリスタン殿もおられましたか。」
「ふぉっふぉっふぉ、これはリサ将軍。御苦労様でございます」
バリスタンはミノタウロス族だ・・昔から兄に忠実に仕えてくれている
「あー。堅苦しい挨拶は抜きにせよ。さっそく本題に入ろうではないか」
というと、何時になく真剣な表情になった。
「ふぉっふぉっふぉ、そうですな。これは重大な案件ですのでな」
しかし、重大な案件と云う割にはバリスタンの表情がニヤニヤと、おもしろそうにしているのが非常に気になっった・・・・
「は!!つきましては陛下。火急のご用件とはいったい何でございましょう?」
「ふぉっふぉっふぉ、所でリサ様。リサ様はお幾つになられましたかな?」
「は??私・・・ですか・・・・」
「お前以外に誰がおる」
「は!!今年で17になります」
「17・・・でございますか、お若い。お若い。その年で、魔国の第1将軍という重圧に日々耐えていらっしゃるのは、真・・優秀な証でございますな」
「そんな。これは私一人の力ではございません。部下の力、陛下、また賢明な将軍たちの助言あってこそと思っております」
リサは少し混乱していた。
自分はいったい何のために、呼び出されたのだろうか?
「謙遜めされるな。これもリサ将軍の御力あってこそで、ございます。ただ・・・・・・やはり一人とは大変なものではございますまいか?」
「どういう意味でしょうか?」
「大きな鳥も常には、空を飛んではいられますまい。時には、立ち止まり、羽を休める宿り木が必要なのですよ」
「はぁ」
「バリスタン。もう良い。お前の話はややこしい」
「これは失礼いたしました、陛下」
慇懃に頭を下げるバリスタン。
「リサよ、お前に婿を娶ってもらうことにした」
「・・・・・・・・・・・・はい???」
婿?・・・・・誰が?・・・・・私?・・・・・・・
「陛下!!お待ちください!!私はまだ17です!!」
「関係あるまい。17ならば、若すぎるということもない。普通の娘なら結婚しててもおかしくない年だ」
「しかし・・・・・私には任務が・・・・」
「婿を娶ったからといって、将軍をやめるわけではない。すべて、今まで通りというわけだ」
「そんな・・・・」
「何だ?もうすでに心に決めた男でもおるのか?」
陛下がおもしろそうに聞く
「そんなものおりません!!!」
「なら、何も問題はなかろう。」
反論しようにも、言葉がでてこない。
「リサ、お前も王族の一員なら理解できないわけではあるまい。国のためなら、自らの意思が通らないことなど、ざらなのだよ。」
「・・・・・・・・・」
言っていることは、理解できるが・・・・・感情が納得してくれない。
「ここに、相手のことを詳しく集めた資料がある。相手はまだこの事を知らん。よく目を通して心の準備をしておけ」
魔王陛下はそういうと、さきほどまで見ていた資料を封筒にいれ、差し出す。
受け取らないわけにはいかなかった。
「もう、下がっても良いぞ」
「失礼します!!!」
最低限、失礼のないようにして謁見の間を飛びだした・・・・・・・・・・そして今に至る。
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執務室に戻ると、封筒を机に叩きつけた
愕然としたような、泣きたいような、とにかく最悪な気分だった。
結婚など考えたこともなかった・・・・・・・・・
なぜ、こんな気持ちになるのかも分からなかった。
仕方がないのかもしれない・・・・自分は王族なのだ・・・・・・自らの意思で選べるなどと思っていたわけでもない。
だが・・・・・・実際につきつけられると・・・・我慢ならないものがある。
だが、現実逃避をしても始まらない。
いつもはふざけた兄だが、魔王としての威厳をもったときの兄の言うことは絶対なのだ。
逆らえるわけがない。
鎮痛な面持ちで自分の将来の伴侶を確認することにした。
重い足取りで、机に向かう。
封筒をあけて、報告書を取り出してみる。
そこには・・・・・・・
魔国将軍・・・・カイ・リョウザンの名が刻まれていた。
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