それがし
え~~~楽しんでいただけてるでしょうか?どうぞ~~
カイは何とか、声を振り絞った。
「そうか・・・・・では、俺の話は終わりだ。苦労をかけたな。」
そういい、謁見の間を出ていこうと、踵を返す。
「待て・・・・・、お前の話は終わった・・・・だが、我の話は終わっていない」
と、カイを引きとめる魔王
「これ、以上何があるってんだ?」
カイはゆっくりと、振り向いた。
「カイ。我はお前が気に入ったのだよ・・・・・臣下となれ。カイ・リョウザンよ」
再び剣先を向けられる。
「お前の力を我の夢のために、覇業のために我にかせ!!!」
カイは驚きを隠せないでいた。
「お前!!俺は異世界人で、しかも・・・魔王を・・・・お前を倒す勇者として召喚されたんだぞ!!」
やはり、魔王はニヒルに笑う
「異世界から突然勇者として召喚され、神聖帝国の戦いに巻き込まれる。
そして闇の力を持つために、神帝国から命を狙われたのであろう?
そして今や、国家指名手配を受けるまでになった・・・
それでも、神聖帝国の事までも考えるのは光の勇者という親友のためか?
すばらしきかな!!
見事だ・・・・・お前は・・・・まさしく・・・・」
と、そこで一旦区切る。
そして、改めてカイを見つめる。
「その・・・・・・お前がほしい!!」
「だが、俺にはカエデが・・・・」
魔王が両手を広げる
「信念を持て!!カイよ!!男であろう・・・?
何をなすにも、自ら決断しなくてはならないぞ!!
親友は大事だろうがな・・・
親友のために自らの信ずる道を諦めることは違うぞ!!」
レンから見て、カイはひどく動揺していた。
それと同時に、ある程度納得してもいた。
カイはレンから見て、武術に優れまた医術にも精通している
だが・・・・・・・・・・
信念・・・・・か・・魔王がいった言葉が重くのしかかる。
自らを突き動かす力の源。
自分にとっては大陸一の武芸者となるという信念
ギルにとっては大陸の覇王となる信念
では、カイの信念とは何だ
「・・・・・・・・考えさせてくれ」
「うむ。一日待とう!!明日またこの時間に答えを聞かせてもらうぞ!!カイ・リョウザン」
================ 客間 =============
今、客間にはカイとレンがいる。
レンはいつものように、冷静にイスに腰掛けている。
カイは・・今・・・・苦しそうだ。
「レン・・・・・俺は、どうすればいいんだろう」
「・・・・・・・俺に聞くのか?」
「・・・・・いや、すまん。忘れてくれ。これは俺の問題だ」
「・・・・・・悔いは残すなよ」
といって、レンは扉から外に出ていった
=============== カイ =================
初めて、湖の岩山で会った男。
なんてこともないと思った。
どこか、抜けているような子供っぽい印象を持った男。
あった瞬間からなぜか、気になって・・・・いつしか好きになってしまった男だ。
自分のことを・・・・自分よりも理解してくれた男だ
この大陸で覇王になるという男。
・・・絶対の正しさなどないのだ・・・・・・・
それなら、自分の思う正しさを・・・・・信じるべきじゃないか
じゃ・・・俺の中での正しさとは・・・・・・何だ?
俺が成し遂げたいこととは・・・・何だ?
============= 謁見の間 ===================
カイは一本の剣を持ち・・謁見の間に入った
「カイ・・・お前の答えを聞こうか」
「・・・・ギル・・・俺はな・・・自分がどうしたいのか考えた・・・・いったい何をすべきなのかをな」
そういうと、剣を鞘からジャリンっと引き抜く
周りの武官が色めきたつ、
「静まれ!!」
魔王はまったく、動かない。
玉座からじっとこちらを見つめている。
「・・・・魔族は誇り高い種族だといった・・・・でもな・・人間だって誇り高い者はいる・・・・・なぜ分かり合えないと決めつける・・・・共に生ける世界だってあるはずじゃないか?」
「カイ・・・それは理想論だ」
「ああ・・理想論だろうな・・・だが・・理想なんて、そんなものだろ?
馬鹿みたいな、不可能な夢を掲げて・・できるだけ現実で近づけていく
・・・・これが俺が目指すもの・・・俺なりの信念だよ・・・・・
・・自分のすべてを懸ける価値があると思う・・・・・・
・・・・・・で・・・・・だ・・・・・・・・・・・・・・
これを実現したいわけだが・・・・・・・・・・
神聖帝国では無理だろ?俺は闇だし・・・指名手配犯だ・・・
だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魔国を利用させてもらおうと思う・・・・・・・」
とニヤッと笑う
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・くくくくくくく、ハハハハ
我らを利用する・・・・・・・・・だと?
くくくくく・・・・・・・・・・・・・・・
何やら、吹っ切れた顔をしておるな・・・」
「ああ・・・俺なりの理想を目指すぞ・・だから・・魔国とも・・対立するかもな」
「・・我も魔王だ・・・・お前なんぞに負けはせんわ!!受けて立とうぞ!!」
カイは剣を振り上げ、
大理石の床につきたてる。
そして、剣の前で胡坐をかき、親指を床につけ頭を下げる
「それがし、了山家、第47代当主、カイ。
古来よりの武術を継承するものなり
それがしの力は主君には、勝利と栄光を
怨敵には破壊と破滅を与えん
お気をつけなさいませ
この力は、もろ刃の剣
道を踏み外しとき、あなたへの災いへと転じましょう
それでも、それがしを受け入れるなさるか?」
魔王は、やはりいつものように、ニヒルに笑う。
「・・・うむ・・・・・・・望むところだ!!!
この時より、カイ・リョウザンは、初代魔王・ギルバート・ジェーミソン・の臣下となった!!
異議のある者は今、名乗り出よ!!」
永遠とも思えるような時間が・・・・たったような気がした。
「お前は、ただのカイとして、異世界人として、我の前にひざまづいた!!
そして、魔国将軍・・・カイとして立ち上がれ!!
我らの・・・新たな同志の誕生ぞ!!」
カイは立ち上がり、玉座の男を見上げていた。
カエデを・・・・・・・・主君とは思っていなかった。
そう・・・・・親友だったのだ。
初めて、主君というものに仕えることができたのだ。
それは、想像もしていなかった、喜びだった。
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