答え
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?
「カイよ・・・・・」
「何だ?」
「・・・・・つまらぬ男ぞ!!!」
魔王の怒号が謁見の間に響き渡った。
「お主は本当にそうするべきだと思っておるのか?」
心臓がドクンと跳ねた気がした
狼狽しそうになるの必死にこらえながら、答える
「・・・・・・そうだ、双方に犠牲が出なければそれにこしたことはない!!神聖帝国に隷属されている魔族の人々も助けられるはずだ!!」
魔王が、玉座から立ち上がり鞘から剣を抜き放ち、剣先を向ける。
「嘘を申せ!!!・・・・湖での会話・・・ドルーン山脈の間も・・・お前の話を真剣に聞いた。
その中で神聖帝国の人間が魔族を家畜同然に扱っていることを語ったお前の目。
その憎悪は・・・・・本物だった」
心臓の鼓動がどんどん早くなっていくのを感じる
「お前はどう感じておるのだ?・・・・アートス神だか何だか知らぬが・・・・
人間が最上の存在であり、それ以外は獣と断じる馬鹿げた教えを!!
・・・我らが同胞の尊厳を踏みにじる愚か者どもを!!
それが神の教えであり、正義だと声高に叫びよる!!
すでに気づいておるな・・・・・
お前は・・・・・正しさなど・・人によって違うということに・・・・
正義など幻想にすぎぬことに気づいておろうが!!」
今度こそ、体が震えるかと思った。心臓が鷲掴みにされていた。
「お前は・・・いつしか真剣に考えなくなったのだろうな・・・・・・・・・
そう!!自分では考えず、より楽な方法を見つけ出したのだ・・・・・・・
親友の考える正義を・・・盲目的に信じるということをな!!」
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考えなかったわけではなかった
かつて、自分が殺したテロリストたち
彼らもまさかこんな銃も持っていない子供に殺されるなんて思っていなかっただろう
彼らは戦場では勇敢な戦士だった
でも・・・家族の前では・・・・やさしい・・・一人の人間だった
確かに、彼らは自爆テロという形で多くの命を奪っていった
だが、彼らとて・・・・・軽蔑、差別、さまざまな偏見の中で生きてきた
そして・・・・自分たちの信じる正しさの中で生きていた
彼らの信じる正義を否定する権利があるのか?
自分が正しいと本当にいえるのか?
俺は悩んだ・・・・・どうすればいいのか・・・何が正しいのか・・・・
その時・・・俺を助けてくれたのは・・・・・カエデだった
「カイ・・・自爆テロを行うなんて悪いやつだ・・・だから・・・お前は正しいよ・・」
カエデはそういう面では、純真・・・・・いや、単純だった。
彼女は爆発で死んだ人、それを見て悲しんでる家族がいる
彼女にとって、それだけで絶対の正義になりうるのだ
俺はカエデを利用した・・・・・そう・・・・利用したんだ
自分では考えず・・・カエデのいう正義を・・・・・
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カイは自分の内面を見事に見抜かれ、焦りを隠せないでいた
だから・・・・自然と声を荒げることになってしまった。
「だ、だったら・・・お前はどうなんだ!!自分のやっていることが、正義と言えるのか・・・!!」
魔王は、まったく動じていなかった。
「我は・・・この大陸に覇を唱える。そう、歴史上誰も成し遂げていない、この偉業・・・
これは正義などではない!!! 我の・・そう・・・男としての夢だ!!」
「・・・・・男としての・・・・夢・・・・?」
「そうだ。男として生まれ、我が唯一抱いた夢。」
胸が熱くなってくるのを感じる・・・・久しく感じることのできなかったものが湧き上がってくる。
魔王が剣を天高く掲げると、カイの両端に立ち並ぶ武官が鞘から剣を一斉に抜き放つ
「虐げられてきた我が民に発展と栄光を!!」
魔王がいった。
「我らが暗闇に対して燃える灯となろう!!」
剣を天に突き上げ、銀色の髪の女性が叫ぶ。
「「「夜明けをもたらす、礎になろう!!」」」
ほかの者たちが呼応し、剣を天に掲げる。
謁見の間の50人近くが剣を天に掲げ、同じことを叫ぶ。
「「「「眠りし者は目覚めよ!!
すでにホルンは鳴り響いた!!
恐れず進め!!
誇りを胸に!!
我らは民を守りし、楯になろう!!」」」」
叫び声が消えると、謁見の間は突然の静寂につつまれた。
そこに魔王の声が重く響く
「さて、カイよ。これが我らの答えだ。残念ながらお前が持ってきた解決策とやらにのるわけにはいかないな」
魔王はニヒルに笑って見せた。
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