教え
え~~~楽しんでいただけてるのでしょうか?
カイはゆっくりと、その檻に近づいていく。
「・・・・・人狼族・・・ですか?」
カイは感情のこもらない声で聞く。
「はい。人狼族は、人前に滅多に姿を現しません。捕えるのに苦労しました」
と、少し得意げに話す伯爵。
カイの目は檻の中の人狼族の女の子しか見ていない。
「・・・・・神聖帝国では・・奴隷は禁止されていると聞きましたが・・・」
「はい。奴隷はアートス神の教えに反するもので、決して許されません。ただ・・・これは人間ではありません・・・魔族です。奴隷ではなく・・・家畜ですよ」
「・・・・・なるほど」
と、カイの顔にうすら寒い笑みが浮かぶ。
だが、伯爵は気付かない。
「生意気でしたが・・・・少し薬で調教しておきました・・・・勇者様の好きになさってかまいませんよ。馬車馬のように、肉体労働に使うもよし・・・・あるいは・・・・」
と、下卑た笑いを浮かべる。
「まぁ、勇者様も男性ですので・・・分かってくださると思います」
笑顔のまま話かける。
「・・・・では・・先ほどの人狼族の襲撃は・・・」
「はい・・・この‘物’を取り戻そうと決死の特攻をかけたのですよ。そこをあなた方のおかげで、無駄な犠牲を出さずに済みました。これは・・・何か・・運命的なものを感じますな?」
ガハハハと声を出して笑う伯爵。
「・・・・・」
その時・・黙って一部始終を見ていたレンは、かろうじてカイの動きを目で追うことができた。
両手を目にも止まらぬ速さで動かしたかと思うと・・伯爵の首筋に2本の小さな針を打ち込んだ。
そのまま、崩れ落ちるように倒れる伯爵。
「・・・首筋のツボに針を刺した・・・・一本は体の動きを奪うものだ・・・どうだ?体も・・声すら出せないだろ?
そして、もう一本は・・・・・・・・・・お前の痛覚神経を極限にまで高めた」
パクパクと口をさせながら、恐怖に目を見開いている伯爵。
「この状態では、風が吹くだけで痛みが生じる。こんな風にな!!」
と、大きな体を足蹴にする。
「!!!」
苦しそうな表情をするが・・・声を出すこともできない。
「さらに俺からもう一つ・・・・・特別プレゼントだ・・・・ここに針を刺すとどうなると思う?
・・・時間が経てば経つほど・・・・痛みがだんだん増していくんだよ」
ゆっくりとしゃがみ、伯爵の目をのぞき込む
「この極限の状態で・・どれだけ耐えられるか・・・おもしろいだろ?」
と、首筋に一本の針をゆっくりと刺していく。
「!!!」
伯爵は、身動き一つせずに苦しみ抜く。
「耐えたからといって、助かるわけじゃない。確実に死にいたる。精神の崩壊だ。お前は、耐えていることを心から後悔するだろう・・・この世界の医術をすべては知らない。だが・・・1000年の秘術を甘くみないほうがいい。助かる見込みはないとしれ」
すでに、カイは伯爵を見ていない。
鉄鋼のついた手袋をはめると、それに魔力を込める。
そして、檻の鉄格子を切断する。
視線さえ虚ろな人狼族の女の子を、抱きとめたカイ。
「・・・ごめんな・・・・・本当にごめんな・・」
部屋には、カイの謝る声のみが響く
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