屋敷
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?
「どうぞ、どうぞ、遠慮なさらずに」
と伯爵が料理をすすめる。
今、レンとカイの前には豪華絢爛な料理が立ち並ぶ。
「いえ・・こんな事してもらうわけには・・・」
と、日本人らしく恐縮してしまう俺。
「・・・パクパク」
その横で、レンがすでに食べ始めている。
「いえいえ、人狼族から我が屋敷を守ってくださったほんのお礼ですよ。さらに、勇者様とかの有名な赤き狼を、招待できるなんて光栄というものです」
と、ガハハハと笑う。
「さて・・・勇者様は神聖帝国をどのように感じていらっしゃいますか?」
「どうって?」
「正直に申されて結構ですよ」
(いったい、何が言いたいんだろうか?)
「・・・・この神聖帝国はかつて一人の英傑が建てたものなのです。
スタンニス・グランワール。初代の王です。
そして、初代法王・サーティ・グランワールと共に長年にわたる治世をおこなったのです。
そして、この国は大きな発展を迎えました・・・・。しかし、その後の神聖帝国は酷いものです。
男より女の方が魔力が高く、また魔法の才に恵まれることが多いため・・・必然的に女が男よりも優先されるようになりました」
「・・・・・・・・・・・・」
(・・・・なるほど。今わかったぞ。この世界に来てからの違和感が・・・謁見の間の貴族・・・城にいる騎士・・・・すべてにおいて女性の割合が高いんだ・・・)
「男の中で魔法が使えるのは、ごく僅かです。異世界人の勇者様には分からないかもしれませんが・・・本当に珍しいのです・・・・・・・今や平等であった継承順位も、女性が優先される始末。
地方の領主たちも女ばかり。男の有力者は少なくなってしまいました」
「「・・・・・・・」」
「おかしいとは思いませんか?どうか、私たち国王派に力を貸していただきたい。そして‘男性’の地位向上を目指していこうではありませんか」
「・・・俺は・・」
「もちろん、ただとは申しません。それなりの‘お礼’はさせて頂きます」
パンパンと、手を叩くと扉を開け、執事が台車で何かを運び込む。
白い布がかぶっているので、何かは分からないが、相当大きなものだ。
「これをお納め下さい」
と、シーツをとる伯爵。
ガタっと、座っているイスから立ち上がるカイ。
「これは・・・・」
驚愕してそのシーツの下にあるものを見る。
そこには・・・・・・・
手枷・足かせをはめられ、鉄の檻に入れられる・・・・・・・・
人狼族の女の子がいた。
誤字・脱字ありましたら
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