光の勇者と赤き狼
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?ではどうぞ
(ふ~~~、強かった)
カイは、倒れている爪・牙があり、上半身が毛で覆われている者たちを見る。
「いったい、何者だ?」
「・・・・・人狼族だ」
「人狼族・・・ってことは・・・」
「・・・ああ・・・・・魔族だ。だが・・・おかしい。人狼族はめったに人前に姿を現さないはずだ。・・・・・・目的は・・・何だ?」
「俺たちが直接狙われたというより・・・・・何か・・・後ろの屋敷を襲おうとしてたみたいだけど・・・」
と、自分たちの後ろにそびえ立つ見事な屋敷を見る。
「・・・・人狼族に狙われるだと?・・・・相当きなくさいな」
「あそこの屋敷って・・・」
と、そこまでいった所で。
「カイ!!」
自分の名前が呼ばれた。
何か、ちょっと会わなかっただけなのに、ひどく懐かしく感じる。
そちらを振り向くと・・・・・・やはりカエデがいた。
「おお!カエデ」
と俺も呼びかける。
この異世界で数少ない心を許せる相手というのは、やっぱり嬉しい。
カエデが、どんどん近づいてくる。
「何をしていたんだ?随分遅かったじゃないか?」
「まぁ、色々あってな」
「どうせ、道草をくってたんだろ?魔物を倒したら、さっさと戻って来い」
「・・・・・・」
(こ、こいつは・・・・俺が魔物にやられちゃったとか、心配はねーのか?)
レンは、俺達のやり取りを黙って見ている。
「あ、そうだ!!カエデ、紹介するよ。俺を助けてくれた傭兵のレンだ。レン、こっちは前に説明した光の勇者で、俺の幼馴染のカエデだ」
と、カエデとレンに互いを紹介する俺。
レンは、カエデの事を上から下まで、じろじろと見ている。
(やっぱり・・・カエデは美人だしな。レンも元の世界の奴らみたいに・・心動かされるかも)
と思っていたが・・・・・・・
レンは一言
「・・・・・女だったのか」
といった。
「そうだよ。ああ、言ってなかったっけ?でも・・・めちゃくちゃ強いよ」
と、さりげなくカエデの強さをアピールし直す俺。
(ふふふ、完璧だ・・・・ここでレンの興味を完全にカエデに向けられれば・・・・・
俺は・・・・・死なずにすむ!!!)
「私は、水月楓だ。カエデが名前だ。カイとは、ずっと昔からの付き合いでな。カイを助けてくれて感謝する。よろしく」
と、手を出して握手を求める。
それを見たレンは
「・・・・・・・傭兵の赤き狼だ」
と、いった。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
(あれ?・・・レン?それだけ?握手は・・・・?)
「「・・・・・」」
片手を上げたままの状態で固まっているカエデ。
その状態を冷静に見つめるレン。
双方を交互に、戸惑いながら見るカイ。
そのまま・・・・・永遠ともいえるような時間が流れる。
(・・・・何か少し、ピリピリしてない?)
その空気の中、カエデが、レンに話かける。
「・・・私もカイのように、レンと呼んでいいかな?」
「・・・・断る。俺は認めたやつにしか、名前は呼ばせない」
「そうか・・・」
と、ゆっくりと手を下ろすカエデ。
「・・・・・」
(長年の付き合いだから、分かる。カエデ・・・・・めっちゃ笑ってるけど・・・・目がやばい)
そのまま、両者の間で火花が散っている。
(・・・何故だ?何かやばい雰囲気じゃね・・・?)
「・・・貴方は、もしかして・・・・・お・・」
とカエデが何か言いかけた時。
貴族らしき人を先頭に、たくさんの兵隊が現れた。
その反対側から、エリシア姫と・・近衛騎士の面々まで現れる
その貴族らしき男の人は、俺たちに近づいてきて
「すばらしい!!先ほどの戦いを屋敷より見させていただきました。いや~~お見事です。いやいや申し遅れました、私はあの屋敷の主でティーレン・ランドルフと申します。貴方様方は、勇者カイと・・・・かの有名な傭兵・・・・赤き狼・・・ではありませんか?」
「は、はい。そうですが」
と、多少困惑しながら答えるカイ。
「そうですか!!ぜひ、お礼も兼ねて・・・お二人を晩餐に招待したいのですが、よろしいですかな?」
といった。
それを聞いて、エリシア姫が冷めた声で話しかける。
「・・・・ランドルフ伯爵?勇者カイは招待するのに・・・カエデ様は招待しないとはどういう事ですか?」
「これはこれは・・・王女様。いえ、これは私の屋敷を人狼族から守ってくれたお礼ですので・・」
と、両陣営が睨みあう。
(な、何か?こっちでも火花散ってるんだけど!!)
「・・・・・・ちょうど腹が減った。せっかくだ・・・招待されようじゃないか」
(嘘!!貴族とか、嫌いだって言ってたくせに!!何で今日に限って!!)
「おお!!そうですか・・ではこちらに、どうぞ」
と屋敷へと案内し始める伯爵様。
「・・・・ほら!!行くぞ、カイ」
と、ずんずんついて行ってしまう。
「あ~~~~もう!!」
と頭をがりがりと、掻くカイ。
「カエデ!!また、後でな!!」
といって、俺はレンの後を追っていった
================== カエデ編 =================
「おい!!カイ!!・・・まったく・・・・・・まぁ・・とりあえず無事でよかった」
「そうですね」
と答えるエリシア
「明日には会えるだろう。久しぶりに腕がなる」
端から見て明らかに元気を取り戻したカエデ
それとは対照的に、エリシア姫は心穏やかではなかった
(ティーレン伯爵は、国王派の者。・・この機会に男の勇者カイを取り込む気ですね。法王様へお知らせしなくては・・・・・)
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