信頼
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では、どうぞ
「・・・・・・医術?」
「そう。了山家は、昔から武術を本流としてきたけど、それと同時に医術としての技術も確立してきたんだ」
宿屋の部屋で二人、ベットに座り向いあいながら喋る。
「もちろん、普通の医療も学んだけど・・・・・了山家の伝統は特殊でね、それがこの鉄針だ。」
カイはそういうと、鉄針を大事そうに指にはさみ、掲げる。
「・・・・・・鉄針・・・・・」
「そう。普通なら傷を治すなら、糸をつかって縫合をする。けど、了山家の鉄針はその人が持っている自然治癒力を高めたりが主流だ」
「・・・・なるほど。薬と同じような役目を果たすわけか?・・・・・」
「まぁ、そう考えてもらっていいよ。
病気といっても末期とか、深刻なものは治せないけど・・軽い病気なら治癒力を高めて治せるよ
あと、疲労回復の効果もあるんだ
そうだ!!レン、今までのお礼もかねて、鉄針を打たせてくれないか?」
「・・・・そうだな・・・俺も、その針とやらには前から興味を持っていたんだ。ぜひ、頼む」
「まかせろ!!よし・・・・じゃあ、まずは上着を脱いでベットに横になってくれ」
「・・・・・・・・・・何?」
「だから、上着を全部脱いで横になってくれ。疲労回復は特に、肩、腹、背中など上半身にツボが集まっているんだ。大丈夫だ、すぐに済むからな」
カイは嬉しそうにそう言うと、テキパキと準備をし始める。
レンは、少しあわて始める。
「・・・・ま、待て・・・カイ・・・お、俺は・・・やっぱり、いい」
嬉しそうに、準備を始めていたカイが手を止め、レンを見る。
「何で?まぁ・・・・・鉄針は未知のモノだし、無防備な背中を任せるわけだからね、互いに信頼関係がないとダメなんだけど・・」
カイは少し、寂しそうに準備したものを片づけ始める。
「・・・・違うぞ、カイ。俺はお前を信頼していないわけじゃない。ただ・・・・・その・・・・何だ・・・・その針というものは、腕とかではダメなのか?」
「もちろん、腕とかでもできないことはないけど。う~~~ん、あまり効果は期待できないかもよ。腕は別のツボって感じだし」
「・・・・・・・別のツボ?」
「そう。まぁ、あれ関係だよ・・・・・我慢できなくなるというか・・・・・男なら何となく分かるだろ?そういう類のツボさ」
と、少しニヤっと笑うカイ。
「・・・・・・何だ?・・・・・」
まったく、理解できないと眉をひそめるレン
「性欲だよ、せ・い・よ・く。我慢できなくなった時に、抑えたり、逆に思いっきり発散させてりするもので・・・・略・・・レンもいざとなったら言ってくれてかまわないぞ」
ペラペラと喋るカイに対して、真赤になってうつむくレン。
「・・・・・・・お、俺は大丈夫だ」
「そうか、まぁ・・・・・鉄針は、今度にでもしておくよ。怪我をしたり、疲れたりしたら俺にまかせてくれ!!その時は、全力で鉄針を打たせてもらうよ!!」
「・・・・・その針を打つ所は」
「もちろん、上半身だよ!!」
にこにこ笑いながらいう、カイ。
「・・・・・・そうか」
(死んでも傷つくわけには・・・・・いかないな)
密かに、重大な決意を固めたレンであった。
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