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王たちの宴  作者: スギ花粉
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望み 竜王編

え~~スギ花粉です。明日から東京に行きますので、更新は難しいかも。友達の家に泊まるので、インターネットできたら更新できるかもしれませんが。


なので、2話ぐらい一日に更新です。自分の首しめてるような気がしますが。では、楽しんでいただけたら幸いです。

「………我の住処で何をしている?」


その金の長髪を後ろで縛った男は、私たちの方をじっと見つめていた。私は、かなり場違いだがその金色の瞳がすごくきれいだと思った。


「「「わぁぁぁぁぁ!!」」」


その時、自分の後ろから雄たけびを上げながら盗賊達が丘を駆け上がってきた。それを見た近衛騎士がいきなり前方の男に斬りかかった。


「待っ…」


私はそれを止めようとしたが、それで近衛騎士は止まらなかった。剣を振り上げ、上段から思いっきり斬りつけたのだ。私は咄嗟に目を瞑った。


ガキン!!っと鋼が何か固いものに当たった音がした後、ドサりっと何かが倒れた音が聞こえた。


ライサが震えながら、ゆっくりと目を開けると………そこには近衛騎士が倒れていた。


そして、いつの間に抜いたというのか金髪の男は双剣を手にしていた………近衛騎士の血で赤く染まった双剣を。


(え?…え?)


自分が想像した光景とはまるで逆の状況に、ライサはパニックになった。王女様は驚いた表情でじっと男を見つめている


ヒュン!!っと剣を振り、血を飛ばす謎の男。


「………騒がしいな」


一言……それだけ言い残してその男は私達を素通りし、ゆっくりと丘を下って行った。私はすぐさま、セシル様に近寄った。


「セ、セシル様!!ご無事ですか!!」


「ええ……私は、大丈夫よ。ライサ」


セシル様は少し混乱しているようだが、見たかぎり怪我をしていないようだ。


私はそのまま、倒れた近衛騎士に近づき、前のめりになっている騎士を何とかひっくり返した。


「ぐ!!」


(よかった!!まだ、息がある)


びりびりびりっと自分のドレスを引きちぎり、傷口に布を抑えつけた。


「大丈夫!!きっと、助かるわ!!」


ライサが名前も知らない近衛騎士を励ましていると、下から大声が聞こえてきた。


「な、何だお前…ぐ!!」「こ、殺せ!!」「何としてでも殺せ!!」


わぁぁぁぁ!!わぁぁぁぁ!!っと雄たけびと鋼がぶつかる音が聞こえていたが………だんだんと静かになっていった。


私は近衛騎士の手当てをしていたから、何が起こっているのか分からなかったが、セシル様は丘の上からその様子をずっと見ているようだ。


「ゴフ!!はぁ……はぁ……はぁ……」


「しっかりしなさい!!諦めたらダメ!!」


(ダメ……血が止まってくれない!!)


私は半分涙目になりながら、騎士の傷口を押さえていた。だけど、素人の自分でも分かった。これは………もう……


ザシュ!!っとその近衛騎士の喉元に剣がいきなり突き立てられた。プシュ―っと鮮血が飛び散り自分にまともにかかった。


あまりの事に悲鳴を上げることも忘れ、自分はぱくぱくっと口を動かす事しかできなかった。


「………もう助からぬ。いたずらに苦しませず、祝福をくれてやるがいい」


いつの間にか自分の横にあの金髪の男が佇んでいた……そしてヒュンっとその剣の血を払った。そして、セシル様をじっと見つめ……最初とまったく同じ事を聞いてきた。


「………我の住処で何をしている」


それにセシル様は臆する事なく答えていた。


「お騒がせたことを申し訳なく思います。私たちは襲われておりました…………あなたが今皆殺しにた者たちに」


「…………そうか」


その男はそれを聞いて、瞬時に興味を失ったように洞窟の方へと戻っていった。それを見たセシル様があの男を追って、洞窟へと入っていこうとした。


「セシル様、おやめ下さい!!危のうございます!!」


それを見て、必死に止めるライサ。だが、そんなライサの言葉にもセシルは耳をかさなかった。


「大丈夫です………私を殺す気なら、今の瞬間にやっているはず」


ライサの血まみれの手を振りほどき、セシルは洞窟へとはいって行ってしまった。


「ああ……もう!!」


ライサはその後を血まみれの服のまま追っていった。




=============  ==================



そこは、横にも縦にもかなり巨大な洞窟だった。十数メートルはあるだろうか。


そして、ライサがその洞窟の奥へと進んでいくと、そこには地面に寝転んでいる男とその少し離れた所で必死に話しかけているセシル様の姿があった。


「………勘違いするな。我はお前達を助けた訳ではない……騒ぎがうっとおしかっただけだ」


一国の王女に対してあまりに無礼なその態度のまま、吐き捨てるようにいう謎の男。


だが、それを怒るわけでもなくセシル様は必死に話しかけていた。


「私はドラグーン王国第一王女・セシル・ドラグーンと申します。どうか!!私たちを助けていただけないでしょうか!!」


「…………何故、我がそのような事をせねばならぬ」


「ただとは申しません!!私はこの国の王女です。もし、私達を無事城まで届けて下さるというのなら、あなたのどんな望みでも叶えましょう」


それを聞いた瞬間、今までまったく動かなかった金髪の男がぴくっと動いた。


「……………それは無理だ」


しばらく黙ったままだったが、その男はそれだけ言った。ライサは何故かはわからないが、その一言に怒りとも……悲しさともつかない……何かを感じ取った。


「いいえ、無理ではありません。我がドラグーン王国はこの大陸の西の大国です。しかし、いつしか必ず大陸を支配します。そうすれば………叶わぬ望みなどありません!!どうかそのお力を私に貸して下さい」


それを聞いた男が、静かに立ちあがった。しかし、私達に背を向けているためにどんな表情をしているのかはまったく分からなった。


「ほう………絶対に叶えると申したな」


「はい」


そう力強くうなずくセシル様の言葉を聞き、くるっとその男は振り返った。そして……自らの‘望み’を叫んだ。


「では………叶えてもらおうではないか。




 

 



 

 ――――――――――――――――――我を殺すということをな!!!」

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