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王たちの宴  作者: スギ花粉
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みな 盗賊王編

え~~スギ花粉です。楽しんでいただけてるでしょうか?ではどうぞ~~

俺は闘っていた。


凄まじい槍だった。紙一重で避けるので精いっぱいだ。


タタタタ……っと森の中を駆け回り、俺は舞うように飛び、蹴りをみまう。


時に手刀……正拳…回し蹴り…踵落としなど……様々な技をくりだしている。


こんな動きが自分にできたのか?と思うほどの動きだった。


俺たちはしばらく闘い続け、そして睨みあった。


そして………俺が何かを話しかけた所で、記憶が切り替わってしまった。


今度は目の前の鍋をかき回していた。誰かが騒いでいるような気がする…よく分からない。


そして目の前にはあの深紅の髪の人が、槍の手入れをしているのが見えた。


「お~~い!!できたぞ~   。ほれ……    も槍いじってないでこっち来てよ」


また、俺が話しかけている。だが……誰だ……名前が分からない。


すごく楽しそうな雰囲気だ。あなたと俺は敵ではなかったのか…いったいどういう事なんだ


そしてまた、切り替わってしまう。


今度は……泣いている。あなたは…なぜ泣いている?いったい何があったというんだ。


そして…この胸を締め付けるような慟哭は何だ?


いや…………これは俺か?なぜ…俺は泣いているんだ?俺はいったい…誰なんだ!!





==============   ===================





「おい!!カイ!!」


「・・・・・・・」


「カイ!!」


ハッとカイはこちらを振り向く


「……やぁ……メリル。どうしたんだい?」


「・・・・・」


アゴラスから帰ってからは、カイはずっとこんな感じだ。


チャングル山に戻ってラグナ―にすぐに診てもらった。だが、どこも悪くないという……そしてカイがラグナ―にこう言ったのだ


「……自分の記憶が…少し戻りました…」と


それからカイは、ぼ~~としている事が多くなった。


子供達と遊んでいる時も、自分といる時もだ。ギガン族のみんなの様子も少しおかしかったが、今はカイの方が気になった。


カイに聞いてみると、あの赤鬼と自分は知り合いかもしれないというのだ。


メリルはその時……初めて考えた。分かっていたはずだったが、急に現実味を帯びてきたのだ。


(もし……もし……カイに記憶が戻ったら、どうなるんだ?)


そしてメリルは急に怖くなってしまった。



――――――――――――――カイはどこかに行ってしまうのか



―――――――――――――――俺っちをおいて



――――――――――――また……一人になるのか……



―――――――――――――そんなの……そんなのダメだ!!



部屋でぼ~~っと座っているカイにバッと近づくメリル。そして……


「カイ!!お前は俺っちにもんなんだからな!!………だから…だから勝手にどこにも行っちゃダメなんだ!!」


そのメリルの顔には珍しく、焦りが見えている。


「だ、大丈夫だよ。メリル」


その剣幕におされながら答えるカイ。


「・・・・・」


だが、メリルは黙ってカイの腕をとると、しっかりとその腕に抱きつく


「メ、メリル?」


カイはあまりの事に驚いている。そんなカイに、


「俺っちはカイを離さねー!!ずっと一緒だ!!」と言った。


困り果てた表情をするカイ。そこに……ゴンゴン……扉を叩く音が響く


「…メリル…私だ。オガンだ。入るぞ」


「ああ…いいぞ」


「い、いや、ちょっと待っ」


カイはメリルを制そうとするが……


ガチャっとオガン族長が扉から入ってきて、メリルとカイを見て少しギョっとしたように立ち止まる。


「………何をしている?」


「い、いや…あの…メリルが」


「何だよ…オガン。俺っちはカイを放さなねーんだ!!そうすれば、ずっと一緒だからな!!」


それを聞いたオガン族長は………


「…………そうか」とだけいった。


「???」


カイは不審に思った…いつものオガン族長とは少し雰囲気が違うような気がするのだ。そんなカイの疑念を余所に……


「メリル…カイ…お前たちには、夕刻の族長の会議に共に出席してもらう。これを断る事はできん。分かったな?」


「族長の会議??でも、いつも族長以外は入っちゃだめだって言ってるじゃねーか」


「……そうだ……だが、今回はいいのだ。よいな?絶対に遅刻は許さん。…それとカイ…ラグナ―様がお呼びだ。一人で祈りの間に来るようにとの事だ」


「???…一人で…ですか?」


「そうだ。用件は聞いていない。確かに伝えたからな」


それだけ言い残して、オガン族長は踵を返すと部屋から出て行った。


「……何かオガン、元気なかったな。」


「うん…どうしたんだろう…………それでさ、メリル?あの~ラグナ―様の所に行かなくちゃいけないから、放してくんない?」


「嫌だ!!」


「・・・・・」


それから、何とかメリルを説得してラグナ―様の元へとカイは向かった。



============= 会議の間   ===============




ずらっと左右の列に5人ずつ……ギガン族の族長たる茶色のローブを着た族長たちが並んでいる。


(……やっぱり何か変だ……みんなの様子がおかしい)


メリルはこの会議の間に入ってから違和感を感じていた。張り詰めるというような感じではないが……何かおかしい。


ヒソヒソっと隣に座っているカイに話しかける


「なぁ?何か変じゃねーか?」


「・・・・・」


だが、カイはそれに応えずに腕を組み目を瞑っている。カイもラグナ―の部屋に行き、帰ってきてから様子がおかしい。


いったい何なんだ?っとメリルが思っていると……


ぎ~~~っと扉が開き……紫のローブを着た、ギガン族唯一の神官であるラグナ―が入っていた。


そして自分とカイの正面に座る。それと同時に……


「これより!!ギガン族の会議を行う!!」


ドン!!っと10人の族長達が拳を地面にたたきつける。


すると……ラグナ―がゆっくと自分達に話しかけてきた。


「……さて……メリル…カイ。お前達二人に伝えねばならぬ事がある。心して聞くのじゃ」


「おう!!俺っちはいつでもいいぞ!!」


「………」


カイはこくりっと黙ったまま頷いた。


その二人の反応をゆっくりと確認し……………


「―――――――――――――うむ………では、メリル……カイ……よく聞きなさい。





 ――――――――――――このチャングル山で暮らすギガン族……総勢7千363名。





 ――――――――――――――――――我らは……みな………死ぬ」




誤字・脱字ありましたら。感想・ご意見待ってます、すごく励みになります。

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