助かる 盗賊王編
え~~楽しんでいただけてるでしょうか?スギ花粉です。ではどうぞ~~
「ハァァァァ!!」「セリャァァァ!!」
キィィィィィ――――ンっと鋼がぶつかりあう。
パッパっパっとその二つの影は、間合いをとる
「ふ!!」
メリルは一息に5本の短刀を投げていた。だがその闇の先で短刀を払う音がうつろに響いてきた。
その一瞬の隙をつき、前転から器用にくるくるくるくるくるっと回りあっという間に間合いをつめる
細長い手を存分に唸らせ、半月刀の白い光が走る
それを赤鬼の槍がうなり、その半月刀を跳ね上げた。
キィィィ―――ンっと高い音が響いた時には、赤鬼の槍はもう、その跳ね上げた力をそのまま回転の力にしてメリルの右脇に攻撃を加える。
それをバッとしゃがみこんでよけるメリル。
赤鬼の槍は突くだけではない。自在に反転し、あるいは唸りを上げて回転して、攻撃をうけ、弾きあげるのだ。
その上、半月刀を弾くとき、微妙な角度をつけているために、弾かれるたびに刃こぼれしていくのが分かった。
「く」っとしゃがみ込んだまま、片手で飛ぶようにして離れるメリル。
それを追い、神速の槍を繰り出す赤鬼。
だが、メリルは最小の動きで槍の穂先をくぐり、赤鬼が槍を回転させている間にその懐へと飛び込んだ
懐に入られると槍は使いにくくなる。
メリルの半月刀が、ヒュウっと赤鬼の胴をないだ。
「ぐっと」
赤鬼はその場から一気にはなれる。腹を切った感触はあったが、腹に革をあてているらしくそれほど深くはだろう。
だが、その赤鬼は斬られたからといって動きを止めるような事はしなかった。
闇の中から走り出し、飛びかかってきた。
そのまま、めまぐるしく赤鬼の槍が突き出される。その槍の穂先が残光をひいて襲ってきた。
何とかメリルはその突きをかわし続けた。
槍とまっこうから斬り結ぶと半月刀が折れてしまう。
わずかに角度をつけながら槍をはねあげて、懐に飛びこむ隙をうかがっていた。
赤鬼が槍を引くのにあわせて、メリルはまた飛びこみその首めがけて半月刀を突きだした。
赤鬼はそれを体をひねってよける。
メリルの半月刀が白い残光の孤をえがいて、ふりおろす。赤鬼はそれを槍で半月刀をそらし、メリルの左手にまわった。
そのまま槍をつきだすと、メリルはそれを避けるように後ろに下がる。その時少し、よろめいた。
赤鬼はその隙を見逃さなかった。
神速の槍が突き出される。メリルは何とか避けたが、その槍がメリルの左の脇の下に張りり、そのまま円をえがくように巻き上げた。
「が!!」メリルはうめいた
脇の下に入った槍の柄が、まるで、ねばりつくように左腕をぐるり巻き込み、腕の関節を決められたメリルは、体ごとねじられ、うつぶせに叩きつけられた。ギシギシっと骨がきしむ音が聞こえた。
だが、次の瞬間メリルは左腕がよけいに傷つくのも構わず、ダンっと両手を体の下にひきつけて、ばねをきかせて、跳ね上がった。
下から放たれた片手斬りをかわしきれず、赤鬼の左手に小さな切り傷ができる。
それを受けて、双方がバッと後ろに飛ぶ。
互いに激しく息をつき、身をかがめて、その影二人は相手の隙をうかがった。
(……凄まじい……さすが赤鬼だ。油断すれば死んじまう)
メリルは自分たちが音のない闇の中にいるような気がした。次の瞬間……決着をつけようと思った矢先に、いるはずがない者の声が響いた
「メリル!!」
メリルはバッと後ろを振り向いた。そこには城壁を縄をつたっておりてくるカイの姿があった。
「馬鹿野郎!!逃げろっつっただろ!!」
「メリルを置いていけないよ!!」
カイはそのまま、自分たちの方へと走りより、赤鬼を見てピタッと動きを止める。
そして…………
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
っと叫び声を上げたかと思うと、頭を押さえてその場にうずくまってしまう。
「!!!」
っとその赤鬼がカイに近づこうとした。
それを見て、メリルは懐から煙玉を取り出し、地面にたたきつける。
ボムっとその球がはじけ、辺りを白い煙が蔓延する。
ヒュンヒュンヒュンヒュン………短剣を投げつける
キンキンキンキン………それをすべて防ぐ音が聞こえてくる。その隙にカイに駆け寄った。
「カイ!!どうした!!」
「うぅぅぅぅ」
と頭を抱えて呻いたままだ。メリルはかなり動揺した。
(ど、どうしよう……カイが…カイが!!死んじまう!!ラグナ―に……ラグナ―に診せないと!!)
メリルは瞬時に判断し、カイを担ぐと縄をつたってするするっと城壁を登る
クルクルクルクルクル………
だが、槍を回転させて煙を払った赤鬼が追ってきた。
「カイ!!」
とその赤鬼が叫んだ。その瞬間…担いでいたカイがさらに反応した。
後ろを見ると赤鬼が縄をつたって追ってきていた
「く!!」
それを見て瞬時に縄をきる。共に落ちる3人。
だが、メリルはさっと自分の縄を投げ、城壁を登り切り、そのまま登り飛びおりる。
その間もカイはずっと苦しそうにしている。
「カイ!!しっかりしろよ!!絶対助ける!!」
メリルはカイを担いだまま、民家の屋根を一目散に走ってき、そのまま闇へと消えていった
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