表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王たちの宴  作者: スギ花粉
113/200

ここにはない 盗賊王編

え~~スギ花粉です。楽しんでいただけてるでしょうか?ではどうぞ~~

ヒュン!!…………タタタタタタ……………ヒュン!!……タタタタタ


アゴラス………魔国の首都であり、そこには多くの魔族達が暮らしている。


夜でも出店が立ち並び、そこは活気に満ちあふれている。


初代魔王……ギルバート・ジェーミソン……が残した功績は数あれど、彼がそのカリスマ性をいかんなく発揮し、心血を注ぎ、造り上げたものが二つある。


一つ目は、神聖帝国から魔国を守るために建設した…‘壁’…。長きにわたる神聖帝国との闘いでも、一度も魔国の地を踏ませなかった。まさに難攻不落の要害。


二つ目は……あの偏屈な種族であるドワーフ達の協力を取り付け、巨人族…鳥人族…様々な魔族の力を結集して造り上げた………アゴラスである。


中央にそびえたつ魔王城は、細部に至るまで細かい装飾がなされており、職人のこだわりが感じられる。


城の周りに一段目の城壁があり、そこから城下町が円をかくように広がっている造りである。そして、城下町をぐるりと取り囲む形でさらに城壁が取り囲んでいる。


この首都を攻め落とすとなると、敵は相当の犠牲を覚悟せねばならないだろう。まさに鉄壁の守りだ。


そして……アゴラスの街がきらびやかに光を放つなか……民家の屋根の上を疾駆する二つの影がある。


見事に国境の厳重な警備を突破し、アゴラスへの潜入を果たしたメリルとカイである。


ヒュン……タタタタタ…………ヒュン……タタタタタ………スタ…スタ。


パッと屋根から飛び降り、物影に瞬時に隠れ……こそこそと城壁の様子を確認している


「キキキキ……あれが魔王城か……さすがに立派だな!!」


「………」


だが、カイはそれに答えない。アゴラスに入ってから少し口数が少なくなっているのだ。


「お~~し……ここまでは順調だ!!…後はこの城壁をこの縄でよじ登ればいいんだ……よし!!………行くぞ!!」


と鉤爪のついた縄を取り出し、進もうとするメリル。だが、カイがメリルの腕をガシっと掴み止める。


「………メリル…ダメだ」


とっとっとっ踏鞴を踏んでしまうメリル。そして少し怒ったように振り向く。


「何だよカイ~~……今さら行かないってんじゃね~だろうな~」


「……違うよ……ただ、今はダメだ」


「???…ダメ?」


カイが何を言おうとしているのか分からず、首を傾げるメリル。


「うん……よく分からないけど、今の時間帯は見廻りのものがいるような気がするんだ…何の根拠もない感なんだけど…」


と自分自身でもよく分からない事を必死に説明するカイ。だが、今ここを登れば確実に見つかるような気がするのだ。


そんなカイをメリルはじっと黙って見つめていたかと思うと……


「……カイ……それでいいんだよ。盗賊ってのは感を大事にしなくちゃいけねーんだからな。よ~~し……俺っちはカイの感を信じるぜ!もう少し待とう!!」


と言ってくれた。




================    ===================





しばらくの間……二人はそこでじっとしていた。そして1時間あまりがたった頃……


「………どうだ?カイ……そろそろ大丈夫か?」


「う~~ん……多分」


「よし!!行くぞ!!」


キン……キン…と鉤爪のついた縄で城壁をするするっと登り、見事に城の中庭に降り立つ。


そして二人は近くに生えている木にすぐさまよじ登り、作戦会議を始める


「……それで…これからどうするの?」


実は潜入するにあたり、詳しい計画はまったく考えていなかった。


カイはメリルに心配になり確認したのだが………


「そういうもんは、その場その場で臨機応変に決めるんだ!!」


という事だった。……カイがかなり不安になったのはいうまでもない。


メリルは、そうだな~~~と腕を組みながら考えてから、懐から何かを取り出した。


それは子供達が書いた欲しい物リストだ。カイも見せてもらったが、魔王のマント・貴婦人の手鏡・玉座……などなど、絶対に手に入れられないものから、何でそんなものを?というものまで様々だ。


するとそのリストらしきものを、びりびりっと破くメリル。そして…ありえない事を言い出した


「じゃあ…俺っちはこっちな!!そうだな~~大体集めたらここ集合な?」


「…………うん?」


(こっち?……集合?………どういう事かな?あはははは……まるで……まるで……別行動するように聞こえるぞ!!)


カイは今自分が考えたありえない想像のために、ダラダラと冷や汗をかいている。そんなカイを余所に今にも木から飛び降りようとしているメリル


「メ、メリル…う、嘘…だよね?」


震えるような声でメリルに話しかけるカイに対して………


「ハァ~~カイは馬鹿だな…二人いるのに一緒に行動するなんて効率悪いだろ?あ!!後な?ここではリスト以外の物を盗むのは許さないからな!!俺っちが調べたかぎり、ここにはねーんだ!!」


と訳の分からない事を言い出すメリル。


「ちょっと……待っ」


とカイが止めようとするのも聞かずに、メリルは気配を消し、華麗に魔王城に潜入していった。


「え…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~」





================  メリル    ===============




「キキキキ……さすが魔王城だな~~。凄い造りだ!!」


その長い廊下を、柱に隠れながら、ススススっと音もなく進んでいく。


そして、鍵がかかっている扉をチョチョイっと開けてしまう。


そして、いつものように入っていくが……お目当ての物がなかったようだ。何も持たずにすぐ出てくる。


「う~~ん……貴婦人の手鏡?こんなもん…どこにあんだ??」


その後も、様々な部屋を鍵を開けては侵入する事を繰り返すメリル。


そして…………………


「………何もね~~~部屋だな~~」


次に入った部屋は、無駄な家具というものがまったくなかった。ベットとタンスしかない。


ゴゾゴソっと漁る。下着などを見るかぎり、どうも女の部屋のようだ。


だが、女らしさなど微塵も感じさせない。そこからは戦場のような殺伐とした雰囲気しか感じられないのだ。


その時……………ピクっとメリルの第6感が警鐘を鳴らした……逃げろと!!


バン!!っと急に入口の扉が開く。バッ振り向くメリル………そこには・…


「…………貴様…何者だ」


深紅の髪をし……それに負けないくらいに真っ赤な槍を構えた奴が……入口に立ちふさがっていた。


誤字・脱字ありましたら。感想・ご意見待ってます。マジで励みになります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王たちの宴・アンケート!!
王たちの宴アンケート
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ