誰だ 盗賊王編
……ひどく………熱い……頭が割れるように痛い
喉が渇く…………水が欲しい
「・…・………水…………を」
「ほいよ」
と口にお椀をあてられる。それをごくごくと飲み干す
「・・・あり・・・がとう」
「いいってことよ」
そのまま………俺は深い眠りに落ちていった
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眩しい光が、チカチカと目に入る
「う、うん?」
そして、ゆっくりと目を開く
最初に目に飛び込んできたのは岩だった。むくっと起き上がる。
そこはまるで洞窟のようだ…けどベットもあるし、家具もある。
「・・・・・・・・・・・」
しばらく……ぼ~~と辺りを見渡す
さらに起き上がろうとして・・・ギン!!・・・と何かに引っ張られた
そして気付く……自分の腕に太い鎖がついているのだ
「…これは?」
ギン…ギン…と引っ張ってみる。ある一定の長さがあり、部屋の中を歩けるようにはなっているらしい。
その時、扉がパンっと開く。
「おう!!起きたか?」
と、ずんずんと一人の女性が近づいてくる。
褐色の肌に、長い黒髪を後ろで縛りポニーテールのようにしている。
そして……自分の額に手をあててくる。
「う~~~ん……うん!!熱は下がったようだな」
「・・・・・・・・」
(この人は……誰だろ?)
自分は黙ってその人物を見つめていたが…
「おいおい……命の恩人にお礼はねーーのかよ!!」と言われた
「え?命の・・・・恩人?」
「そうともさ!!俺っちが病気で苦しんでるお前に、水とか飲ませてたんだ・・つまり俺っちが助けたんだ!!」
さらにズイッと自分に顔を近づけてくる女性。俺は咄嗟に少しだけ後ろに体を反らす
「あ、ありがとう」
「どういたしまして・・・キキキキキ」
と可笑しそうに笑っている。すごくきれいな人だ。特に笑顔がよく似合う
「それで…あの……あなたは誰なんですか?」
「うん?ハァーー…一回言ったじゃね~~か~。俺っちは砂漠の女盗賊……メリルってんだよ!!」
「……メリル……え?聞いた?」
「そうさ!!まったく忘れちまうなんて馬鹿なんだな」
と馬鹿にしたように怒られた。どこでだろうか………まったく思いだせない
「………あの~~メリルさん?」
「メリルでいいぞ。さんづけなんて気持ち悪い」
「………………じゃあ…メリル?この鎖、何?」
と自分の腕に巻きついている太い鎖を指さす
「うん?……それは逃がさないようにだよ。お前は俺っちの召使いだからな」
「は?召使い?」
まったく状況が理解できずに、頭の上にクエスチョンマークを浮かべる
「そうさ。お前は瀕死の病気だった…それを俺っちが発見した…そして水を飲まして直した。だから俺っちはお前の命の恩人だ。つまり、お前は俺っちのために生きないといけない!!だから、召使いだ!!俺っちは家事とか嫌いなんだ…だから全部お前がやるんだぞ!!」
と自分の方を指さす
(な、何か理不尽な要求をされてるような気がする)
そんなカイをよそにメリルと名乗ったその女性は、何かを思い出したかのようにポンっと手を叩く。
「そうだ!!お前…名前は?」
「え?知らないの?」
「俺っちが、知ってるわけないだろ?おいおい何言ってんだよ」
やれやれと呆れたように両手を上げるメリル
(い、いや…一度会ってるんだよね?)
何だか会話がかみ合ってないような気がしながら、口を開けて喋ろうとして、ピタッと一瞬だけ止まる。
そして・・・・・・・・・・・・・・
「―――――――――――――俺は―――――――――――――――――カイだ」
と言った
「そうか!!カイか…ふ~~~ん。どっかで聞いた名前だな?」
「・・・・・・」
「なぁ…腹減ってるか?」
するとぐ~~っと自分のお腹が鳴った。それを聞き可笑しそうに笑うメリル
「キキキキ…体は正直だな!!まぁ・・病み上がりだし。仕事とかは明日からでいいぞ。ちょっと待ってろ…なんか食べ物持ってきてやるからな!!」
バッとベットから華麗に飛びおりると、メリルはバタバタと部屋から出て行った
その扉の方をじっと見つめているカイ
そして――――――――――次に自分の右手を頭にもってくる
「そうだ――――――――――――――俺は――――――――――――カイだ
カイとは――――――――――――――――――――――――――誰だ?」