裏返る未来
こんにちは。牙霧蛇です。(これで「ガムジャ」と呼びます。)さて、この小説を読んでくれてありがとうございます。まだまだ描き始めですが、よろしくお願いします。
ピイン パンッ
「でた。君は今日,花壇の前で災難に会う。気をつけな。 次。」
「はい。えっと。」
佐理は占い師だ。コインを使い,模様で占う。同じ模様でも,違う占い結果をいう時がある。佐理は人をよく見て,それから占い結果をいうのだ。黒いパーカーにヘビのマスクを付けた佐理はクールで,女の子からも人気だ。(もちろん男の子からも。)占いは校外でやるが、よく当たると噂で学校で予約を受け付けている姿も時々見られる。その日も、佐理は占いをしていた。
「次」
「よろしくお願いしますっ佐理先輩っ」
その子は可愛らしいピンクの、兎耳の付いたパーカーを着ていた。恥ずかしがり屋なのか、赤くなった顔をフードで隠している。
「一学年下の高校3ーD、藤乃 紀魅さんだね。」
「は、はい。」
「じゃあ、行くよ。」
ピイン パンッ
佐理がコインを受け止めた。
「はい。ジャックと城だね。」
そうつぶやいた佐理の黒と白のオッドアイは、じっと紀魅を見つめていた。そして、
「うん。君は今日、君が話したい人と一緒に話せる。君が恥ずかしがらなければ、大丈夫。」
「ありがとうございますっ!」
その子は走るように逃げていった。
「次」
「はい!」
佐理は占いが終わり、帰り道を歩んでいた。その時、
「佐理先輩!」
紀魅が走ってきた。
「紀、、、、、魅?」
紀魅は、肩で息をしながら佐理に話しかけた。
「あの、どうして、いつも、蛇の、マスクを、着けて、いるん、ですか?」
至って普通の、それだけの質問だった。なのに、佐理は足を止めた。
「大丈夫?そこのカフェで一回休もうか。」
佐理は占いの才能があった。それに注目されて、すごい、すごいと褒められるようもなった。だからこそ、クラスメイト同士がしているようなくだらない話ができなかったのだ。だから、紀魅のくだらない質問に答ようとしているのだろう。
「自分は、蛇が好きなんだ。蛇は、白い腹を上にして寝ることがないから。」
「え、裏返っちゃダメなんですか?」
「うーん、詳しく言うと、占いのコインは良と悪が裏表で書いてある。コインは簡単に裏返る。それは、良と悪は常に隣同士で、良だと思っていても、いつの間にか悪へと向かっているかも知れない。その逆もあり得る。でも蛇は裏返らない。それが、自分はこのまま、悪い方向へと裏返りはしないぞっていう自分の気持ちと合っていたって感じかな。」
「ありがとうございます。答えてくれて。実は、ずっと前から気になってたんです!」
「それは良かった。じゃあ、そろそろ夕飯作らないといけないから、またね。」
「はい!」
二人は別々の方向へ向かった。
「分かってないな。紀魅は。」
佐理はつぶやいた。佐理のマスクで隠した口の下には牙が二本、生えていた。
お楽しみいただけたでしょうか?続きの2話は、七月24日の十二時に出そうかと思っております。(まだ描き途中です。)次回を楽しみにしていただけたら、光栄です。では、また2話でお会いしましょう。
(前がきと後書き、長かったらごめんなさい。今度から読み飛ばして大丈夫です。)