序章 祠で目覚めて
この漫画はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
ーーーーー目が覚める。否。体はすでに起き上がって居たのだから”起きる”だろうか.......?まあそんなことはどうでもいい。何日、何年経ったか分からないほど久しぶりの目覚め。そのためだろうか。起き上がれたものの、立とうとするのは、力が入らなくて難しかった。
「ーーーーーーーーー.............あァ、ッ........」
少女らしい華奢な腕で、つるが茂る石壁を押しながら、ゆっくりとその重い腰を上げて立ち上がる。その時に、壁に開いたわずかな穴から光が目に入り、目を灼かれたかのように呻いてしまった。
その時に軽く目から涙が流れたようだ。頬を流れる涙が熱い。
ああ。でも光が眩しかったということの他に、もう一つ理由があった。
それは、ーーーーー悲しかったのだ。
「ーーーーーなんで、.....そんな......ァ......!」
変わり果てた世界に対し、言葉を紡ごうとしたが、途中で失敗した。
空虚な肉体から涙がこぼれ続ける。心の底から悲しみが溢れ、嗚咽が止まらない。見たくもなかったものが目に焼き付いて離れない。
ーーーーー小さな洞窟から見える、村々が燃える光景を。
ソレをしっかりと認識してからは、ひたすら泣いていた。
或いは、耐えきれずに嘔吐して、ただ喚いていた。
しばらく経ってある程度泣き喚くのが止んだ頃、ポツリと小さな口を開く。
「ーーーーーなんで?...........なんで!また私が!!!」
世界を呪うように叫ぶ。握りしめていた手からは、赤黒く光る血が指と手の平から流れていた。ーーーーーそして、少女が泣くその光景を眺めるかのように、洞窟の奥で、一筋の剣が輝いていた。
ーーーーー少女を祝福するように。または、助けてと叫ぶ人々を表現するように。
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