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プロローグ
山田ケンイチ 四十五歳 システムエンジニアでゲーマーの会社員。山田家の父親。
山田ヨシエ 四十八歳 ラノベや異世界ファンタジーには詳しくない小説家。山田家の母親
山田ユウカ 十七歳 腐女子で駆け出しボカロPの女子高校生。山田家の長女。
山田ヒロト 十四歳 ラノベオタクでゲーマーの男子中学生。山田家の長男。
山田リョウ 七歳 マイクラ大好きなすばしっこい小学生。山田家の次男。
子供の頃は、漂流生活に憧れていた。
ここではないどこかへ、たとえば無人島へたどり着き、新しい大地で新しい生活を始める。今まで築き上げてきた人間関係も、便利な近代文明も、常識も、なにもない世界。
私が大人になり、母親になってからも、ふとした瞬間にどこかに行ってしまいたくなる。今が幸福であるか不幸であるかには関わりなく、それはやってくる。
私たちには冒険が足りない。ただ貪欲に、生きるために生きる生活を、自分たちだけのために。