表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ネオ・ブリザードの万華雹

立役者のいない世界平和

 

 いせかーい、異世界の事でした。



 ある所に、白い胴着を着た男性と、オレンジ色の胴着を着た男性が道端で闘っていました。


 その闘いの最中、白い胴着の男性は『波功拳』を、オレンジ色の男性は『虎擊拳』を、ほぼ同時に放ちました。


 ですが、その『波功拳』と『虎擊拳』は、紙一重のところですれ違い、それに気付いたふたりは、間一髪のところでお互いの攻撃をかわします。



 それから『波功拳』と『虎擊拳』の、宛の無い旅は始まりました。



『波功拳』は太陽の昇る東へ、野を越え、山を越え、海を越えて何処までも飛んで行きます……



 そして『虎擊拳』も、太陽の沈む西へ向かって、野を越え、林を抜け、洞窟を抜けて行きます……






『波功拳』は飛び続けている間、色んな物を見てきました。


 私利私欲にまみれた王様の命により、無理矢理、魔王討伐に駆り出される民衆の姿を……



 そして『虎擊拳』も、西へ飛び続けている間、色んな物を目にしてきました。



 悪逆の限りを尽くす魔王の力で、無理矢理、勇者狩りに駆り出される部下達の姿を……




 ですが『波功拳』も『虎擊拳』も、ただ慣性に任せて飛び続けるばかり。どうする事も出来ません。




 そんなある日でした。




 私利私欲にまみれた王様は、朝早くから外の景色を見ようと窓を開けました。



 ……ああ、何て綺麗なんだろう……世界は我の為にある。そう考える王様。



 ……その時です。



 遥か遠くから何かが飛んで来るではありませんか。それはどんどんどんどん大きくなり、王様に迫ってきます。



 ……それは『波功拳』でした。



 王様は、見たこともない『波功拳』に呆気にとられるばかり。



 そうこうしているうちに『波功拳』はどんどん近づいてきます。そして、とうとう王様とぶつかってしまいました。



『波功拳』は王様を激しく吹き飛ばすと長い旅に終わりを告げ、王様は地面で大口を空けながら、血だらけで絶命してしまいます。





 時を同じくして、魔王城でも同じ事が起こっていました。



 たまたま、魔王城の屋上に出ていた魔王。そこに、何処からともなく飛んで来た『虎擊拳』が背中に直撃したのです。


 虚を突かれた魔王はどうする事もできず屋上から転落、帰らぬ人となりました。






 これにより権力という呪縛から解き放たれたふたつの国は、お互いに和解、末永く幸せに暮らしました。


















































 そして、道端で7日間と7時間7分7秒も闘っていた、白い胴着の男性とオレンジ色の胴着の男性も、お互いの勇姿を称え合い、固い握手を交わしていたのでした。



 ……おしまい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] シュールですね! 『波〇拳』と『虎〇拳』真ん中を〇にするとあら不思議! 二つは長い旅の果てに『真空波〇拳』と『覇王翔吼拳』になってしまったのですね……
[良い点] 確かにこれはもうこれは「覇王翔吼拳」を使わざるを得ないですよね! [一言] 私は龍虎乱舞が好きです!
[良い点] 黒猫虎さまのレビューから飛んできました。 攻撃がどんどん飛んで行って、本人達の知らないところで活躍している……面白い発想ですね。 読み終えたあとにもう一度タイトルを見て「なるほど!」と思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ