07 そして
彼女の異常は彼等にとっては認められないものだった。
彼女の異常は巧妙に隠されはしなかったが、存在しないものとして扱われた。
結果、彼女の異常は誰にも打ち明けられず、日々の生活で生まれる問題への有効な解決方法を考えられる事もなく、彼女の物語は一つの結末へ至ってしまった。
理由は何だろうか。
一人の少女の苦しみを無かった事にしたその理由は。
当然、私はその原因を考えた。
彼女を袋小路へと追い込んだその原因を。
何度も何度も考えて出した結論はこうだった。
彼女の周囲にいた彼等、私の嫌いな彼らは、面倒くさかっただけなのだと。
だから問題に向き合わなかったのだと。
彼女の目を耳を通して、見て来た彼らの人物像。
その情報を共有している私は、そう長く悩むことなく理由が分かってしまっていた。
彼らは何かの難事を苦労して乗り越えようというタイプの人間ではなかった。
そして、自分の理解できるもので、理解できる世界にいる事で満足してしまえるようなそんな人間だった。
彼らは人の内面に踏み込んで物事を解決した事がおそらくない、そういった事を面倒くさいと考えるような人間だ。
やった事がない事に挑戦する事を不快に思う。
それは自分達の常識にない物だから、今まで曲りなりにもやっていけているのだから、そう思って根本的な解決をはかろうとしない、今がやっていけているのならわざわざくろうして状況をよりよくしようとは思わない。
そんな所だろう。
そんな私の考えが間違っていると言うのなら、そちらの方がまだ救いがある。
けれど、もし私の考えた通りならば何て残酷なのだろう。




