5話
ようやくみんなの鑑定が終わったところで王様が立ち上がる。
「勇者の者達よ、早速明日は簡単に魔法や剣術の試験を受けてもらう。それに備えて今日は城でゆっくりするがよい」
「城の案内は私の娘イリスに案内させよう」
王様はとなりにいるお姫様に目を向ける。
お姫様は頷き、俺達の前へ歩いてくる。
クラスメイトのほとんどはお姫様を恍惚の表情で見つめている。
……若干1名は後ろで俺にずーーっと視線を向けているようだけど。
お姫様は僕達の前に立つと上品な仕草で口を開く。
「御機嫌よう、勇者様方。僭越ながら城のご案内はわたくし、ネイユード=イリスがやらせていただきます。」
そう言うとイリス様はお淑やかに頭を下げた。
礼儀正しい人だなぁ。
「それでは勇者様方、わたくしに付いてきて下さい。」
姫様の案内に従い城内を歩く。
城内は物凄く広く、とても豪華だ。
城内を歩いていると、鎧を身につけた兵士や豪華な装いをした人がこちらを見てくる。
最初はイリス様を見ていると思ってたけど、どうやら俺を見てるらしい。
・・・正直居心地が悪い。失礼だけど視線が少し気持ち悪い。こちらの体の隅々まで見るような視線。
俺はその視線に耐えきれず、気を紛らわせようとイリス様の後ろ姿を見つめることにした。
姫様の後ろを見続け数十分、これから俺たちが泊まる部屋のある通路に案内された。
「ここ4階は、男性の勇者様方が宿泊される部屋の階でございます」
通路の奥まで部屋が続いてる。ホテルみたいだ。
「そして女性の勇者様方は、この階のひとつ上の階、5階に宿泊していただきます」
「それでは男性の勇者様方、好きな部屋を選んでください。……内装は一緒ですが。」
クラスメイトの男子達がそれぞれ部屋を選ぶため、奥に行く。俺もそれに続こうとした時、
「女性の方はこちらですよ?」
イリス様に呼び止められてしまった。というか女性って……俺は男なのに。
「俺、男ですよ……」
そう言うとイリス様お上品に微笑み、
「ご冗談を。貴方様ほど可憐で美しい御方は今までに見たことがありません。
もし貴方様が男性ならば、私に淑女を名乗る資格などありません。」
か、可憐で、美しい…?
全く持って俺が男性だということを信じてないイリス様。そのことに少しムッとなる。
「俺はれっきとした男です!!」
少しイリス様を睨みつけながら言うと、イリス様は頬を赤らめる。
「……はぁっはぁっ………はぁはぁ………やっぱりこの子、欲しい………」
なにやら興奮した様子で不穏なことを言うイリス様。ちょっと怖い。
「イリス様ぁー、この子女ですよーー。だからはやく連れていきましょうー!!」
「ちょ、ちょっと何言ってるの霧島さん?!」
霧島真澄さん。彼女はクラスの女子のリーダー的存在。
そんな彼女がとんでもないことを言った。俺が男なのを知ってるのにどうして?!
それに周りの女子もなんか頷いてるし!なんで頷くんだよ!!
「そ、そうですよね!さぁ行きましょう!」
霧島さんに呼ばれて調子を取り戻したイリス様に無理矢理手を掴まれ、抵抗するわけにもいかず、そのまま連れていかれてしまった。