546話 ボス部屋②
爆発の衝撃が収まり、部屋の中央に立ち込めていた煙が徐々に晴れると、ボスの巨体が完全に横たわっていた
テレス「やった!ボス討伐完了!」
ミーファ「意外と余裕だったね」
レミア「これで次に進めるね!」
ベル「お疲れ様。初のボス討伐おめでとう!」
テレス「ありがとう」
ミーファ「倒せてよかった」
レミア「やったね!」
ベル「初めてのボスでも、テンパったりせずにいつも通り動けてたから合格かな」
テレス「…これで合格なら、逆に不合格はなんだったの?」
ベル「誰か1人でもボスの攻撃を受けること、それだけ」
テレス「もし攻撃を受けてたら?」
ベル「いつもの訓練メニューを全員分10倍」
ベルは真顔でそう伝えた
テレス「え!?危なかった!」
ミーファ「え!?そんな!」
レミア「聞いてないよ!?」
ベル「だって言ってないもん」
テレス「いきなり言われても困っちゃうよ?」
そう言ってテレスは可愛く抗議していた
ベル「この程度ならテレスたちなら余裕だと判断して課題にしたよ。もし俺が“課題停止”とか言わない限り、3人の誰か1人でも攻撃を受けたら、メニュー100倍だからね」
テレス「さっきより増えてる!!」
ミーファ「ちょっと!増やさないでよ!」
レミア「増えてるし!!」
ベル「誰も攻撃を受けなければ、それでいいことだよ」
テレス「…確かにそうだけど、ベルくんの予想では私たちが攻撃を受けないでどのくらいの階層まで行けるの?」
ベル「多分30階層くらいかな」
テレス「意外と行けるんだ」
ベル「俺の想定外がなくて、なおかつテレスたちがしっかり動けた場合に限るけどね」
テレス「そっか、じゃあ100倍にはされたくないから頑張らないと!」
ミーファ「そうだね。あれを100倍やると、次の日たぶん動けなくなるもん」
レミア「うん、100倍はさすがにきついし、頑張るよ!」
ベルのちょっとしたイタズラのつもりで出した無茶振りが、かえってテレスたちのやる気に火をつけたようだ
ベル「その前に、ボスのドロップアイテムを見よ?」
そう言いながらベルは指を指した
テレス「そんなのあるの!?」
ミーファ「なにそれ!」
レミア「初めて聞いた!」
3人は予想外の展開に驚いているようだった。
ベル「ボスしかドロップしない特別なアイテムがあって、倒せたご褒美みたいなものなんだよ」
テレス「そうなんだ!見てみよ!」
そう言うやいなや、ボスがドロップした宝箱のもとへと駆け出していった
テレス「これ、開けていいの?」
ベル「いいよ、テレスたちが倒したんだから、開ける権利はテレスたちにあるよ」
テレス「そっか。じゃあ誰が開ける?」
ミーファ「テレスでいいんじゃない?テレス1人だけ動きが多かったし」
レミア「私もテレスでいいと思うよ」
テレス「わかったわ、じゃあ開けるね」
そう言って目の前に置かれていた鉄の宝箱を開けた
テレス「鉄の剣?」
宝箱から出てきたのは普通の鉄の剣らしきものだった
テレス「これは普通の剣?」
ベル「普通の鉄の剣なんだけど、効果として耐久力上昇の効果が着いているから、普通の鉄の剣の10倍くらいの耐久力があるよ」
テレス「いいもの?」
ミーファ「それはいいものなの?」
レミア「強いの?」
ベル「性能自体は普通の鉄の剣だから、微妙かな。だけど、耐久力がかなり高いから初心者におすすめな剣って感じかな」
テレス「じゃあ私たちは使わないね」
ベル「そうだね。でも、ギルドとかで売ればそれなりのお金にはなるよ」
テレス「そうか、じゃあ帰ったら売ろっか」
ミーファ「今持っている武器より強いわけじゃないから、そうだね」
レミア「そうしよう」
そう言ってテレスは手に入れた鉄の剣を空間収納へと収納していた
ベル「じゃあ次へ進もうか」
テレス「そうだね、どんどん行こう!」
そう言って次の階層へと降りて行った