508話 説明を受ける②
鋼の塊を持って作業場へと移動してきた
{鉄の棒の先に四角く鋼がくっ付いているよ}
{作者 詳しくは分かりにくければ軽く調べて見て}
バンカラ「持ってきた鋼の塊を火のついた炉へ入れる」
そう言いながら鋼の塊を炉へぶち込んだ
バンカラ「熱するのに時間がかかるから先のある程度の説明な、鋼が熱されて赤くなってだんだん柔らかくなってくる、だからそれをハンマーで叩いて伸ばしていく、ある程度伸びたらそれを折り返すってのを何回か繰り返して鋼を作る時に入った不純物を取り除くんだ。それが終わったら今度は鋼を作りたい剣の幅と長さまで伸ばす、その後に剣の刃の部分の斜めのところを作っていくんだ」
その説明を聞き、ルンカルとカミルは頭に?を浮かべてポカンとしていた
バンカラ「素人でもわかりやすいように話したんだが今のでもダメか…ならベルド、お前はわかったか?」
ベル「はい、熱されたら折り返し鍛錬をして、その後に素延べ、最後に火造りですよね」
バンカラ「そうだ!よくわかったな、しかもワシらしか使わんような言葉まで知ってるとは、さてはお前…やってたな?」
ベル「いえ、実際に見るのもやるのも始めてです」
バンカラ「ほんとか?」
疑っているようだ
ベル「ほんとです」
バンカラ「そうか、まぁそういうことにしておこう」
それから数分が経ち、バンカラは作業を始めた
バンカラ「じゃあ始めるぞ、よく見ておけ」
そう言い、炉に入れていた鋼の塊を炉から出した
バンカラ「最初はとにかく叩く!」
カン!カン!カン!
金床へと乗せた鋼をハンマーを使い叩き続け、再度炉へと入れた
バンカラ「この工程を何回か繰り返してある程度の長さになるまで叩き続ける」
その後も数回同じ作業を繰り返し、鋼の塊が元の長さの倍くらいになっていた
バンカラ「このくらいに伸びたら半分に割って折り返す、そしたらまた最初と同じ工程を繰り返すんだ」
そして複数回叩いては折り返す工程を繰り返した
バンカラ「よし、このくらい繰り返したら次の素延べの工程へ移る、素延べってのは作りたい剣の長さまで鋼を伸ばす工程だ」
ルンカル「鋼って叩いたら意外と簡単に伸びるんですね」
バンカラ「こいつもそうだが金属ってのは熱したら基本どんなもんでも柔らかくなるんだ、まぁ金属が柔らかくなる温度が違うから無理なやつは無理なんだけどな」
ルンカル「じゃあこれはどのくらいなんですか?」
鋼がどのくらいの温度で柔らかくなるのか気になったようだ
バンカラ「分かるわけないだろ、温度なんて感覚だ」
ルンカル「……なるほどです」
少し不満そうにそう答えていた
バンカラ「…そうだなぁ、ワシら鍛冶師は鋼の色と炭の燃える音で温度を見てる、だから感覚としか言えないんだ」
ルンカル「そうなんですか……なら温度を測る魔法とか使わないんですか?それを使えば感覚に頼らなくても正確にできると思うんですけど」
バンカラ「確かにそうかもなぁ、それがあれば後進育成も捗るんだがな〜、問題がある」
ルンカル「なんですか?」
バンカラはとても深刻そうにそう言っていた
バンカラ「ここには魔法をまともに使えるやつがいねぇってことだ」
ルンカル「いないんですか!?」
ベル(いなかったんだ)
バンカラ「あぁ、魔法が必要なところは全部魔道具を使ってるからな」
ルンカル「そうなんですね、ちょっと待っててください」
バンカラ「待つのはいいがもうスグ次の工程に移るぞ?」
ルンカル「わかりました、すぐ済ませます」
バンカラ「わかった」
何も聞かずに了承していた
ルンカル「なぁベル、温度を測る魔法を使える魔法道具とか作れないのか?」
ベル「温度計ねぇ〜、考えるからちょい待って」
ルンカル「わかった」
ベル《できる?》
ピクシー《可能ですよ》
ベル《ほんと?それって簡単に作れそう?》
ピクシー《温度を測る魔法の魔法陣はかなり複雑なので小型化は難しいかもしれませんが、できるだけ小型化するならスマホくらいの大きさにはなると思いますよ》
ベル《俺がやってもそうなる?》
ピクシー《マスターならどこまででも小型化できます、ですが今回の場合はマスターは関与しない方がいいかと》
ベル《なんで?》
ピクシー《ドルナードにここ以外にも何ヶ所も武器などを作る工房があります、それなのに武器屋ミレーユのためだけにその魔法道具を作って渡してしまうと他から、俺達にもその魔法道具をくれ!みたいなことになりかなりめんどくさいですよ?》
ベル《めんどくさいならなし》
ピクシー《ドルナードには魔法道具などの作製と販売をしている商会の本店があるので、そこに作製の依頼をしてみてはどうでしょう。上手く行けばその魔法道具の所有権はマスターになりますので、売上の1部を貰うことができますよ。それと予定では温度計はその商会に作製と販売は任せるのでお金さえあれば誰でも買うことが可能になるのでめんどくさいことは起こりません》
ベル《俺に商売の話をしてわかると思ってるの?》
ピクシー《いえ全く、なので簡単にまとめると一般的に作れる範囲でマスターが温度計を作成し、そのお店に持っていきます、そこで温度計の量産が出来ないかをお願いして、お店側が需要があると判断して量産が可能なら作製と販売をしてもらうという話です、そしてその売上の1部を使用料として貰えます》
ベル《ダメだわからん、とりあえず普通に作れるくらいの温度計をお店に持って行って作れるか聞けばいいのかな?》
ピクシー《そんな感じです》
ベル《確かそのお店も体験のうちにあったよね、だから明日にでも行こうかな》
ピクシー《いつ行くかは任せます》
ベル《じゃそういうことで》
「できるよ」
ルンカル「はや!?まだ5秒も経ってないぞ?」
ベル「できるはできるけど小さくするのは無理そうかな、構造が難しい」
ルンカル(無視かい)
「そうか」
ベル「とりあえず明日にでも体験で魔道具のとこ行って聞いてみるよ」
ルンカル「わかった、温度を測る魔法道具があれば色々便利になると思うからな」
ベル「まぁどうなるかは知らないよ?」
ルンカル「なるようになるだろ」
そんなことを話していると
バンカラ「次の工程を始めんぞ」
そう言い、バンカラは素延べを始めた