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プレイヤーキラー伝説! ~死神プレイの最強PK~   作者: 虎馬チキン


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28 ダークマター襲来

「破壊王! 前回のイベント4位のプレイヤーか! 相手に取って不足なし!」


 カタストロフが嬉しそうに叫んだ。

 強敵との対決。

 いかにもこいつが好きそうなシチュエーションだからな。

 わからなくもない。


 かく言う俺も燃えている。

 前回のイベント4位。

 予想外の大物が出てきた。

 カタストロフの言う通り、相手に取って不足はない。


 俺は大鎌を握り締め、誰よりも早く飛び出した。


 狙うは当然、大将の首。


「おっと、いきなりですね」


 そんな俺の前に糸目の男、サーベルが立ち塞がった。

 お供に大盾使いを一人連れている。

 邪魔だ。


「ガードンさん。よろしくお願いします」

「任された。《フルガード》!」


 サーベルの斜め前に立った大盾使いが、アーツを使って守りを固めた。

 俺は、あえてガードの上から大鎌を叩きつけた。


「ぬぅ!?」


 それを防ぎきれず、大盾使いはたたらを踏んで数歩後退した。

 だが、目立ったダメージはない。

 やはり、こんな力任せでは駄目か。

 いかに入賞特典とは言え、さすがに、ゴリ押しだけで勝てる程の性能は有していないようだ。

 まあ、当たり前だが。


「《スティンガー》!」


 俺が大盾使いを攻撃した瞬間を狙い、サーベルが突き技のアーツを使ってきた。

 首筋を狙った一撃を、首を傾げる事で避け、そのままバックステップで距離を取る。

 そして、牽制代わりにナイフを投擲。

 サーベルを狙ったそれは避けられるも、投擲されたナイフに意識が向いた一瞬を狙って再接近。


 だが、あえてサーベルは狙わない。

 破壊王も狙わない。


 サーベルと逆方向にいた魔法使い。

 完全に傍観者となっていたプレイヤーを狙い、意識を隙を突いて一瞬で首をはねた。


「へ?」


 首を飛ばされた魔法使いが呆然と呟き、光の粒子となって消える。

 そして、脱落者が出た事で、戦況は一気に動き出した。


「恐れるなぁ! 突撃!」

「迎え撃て!」


 破壊王とカタストロフ。

 両陣営のギルドマスターが号令を発し、メンバー達がそれに応える。

 破壊王が先陣を切り、ダークマターの連中がカタストロフ達へと突撃していく。

 マックスが壁としてそれを防ぐが、さすがに人数が違う。

 長くは持たないだろう。

 カタストロフと、隠れたハンターが援護射撃をしても、結果は同じだ。

 ここは、機動力と攻撃力のある俺が、敵の戦線をかき乱すのが最善なんだが……


「なるほど。お前らが俺を足止めする訳か」

「そういう事です」


 サーベルとさっきの大盾使いが俺の進路を塞ぎ、カタストロフ達と分断する。

 無視して違う方向から突破しようとしたが、二人ともそれなりに速度が速い。

 俺程ではないが、無視して強行突破すれば、追い付かれて背中から斬られるだろう。


 ならば、さっさと殺すしかないな。


 俺は再度二人目掛けて突撃した。


「来ますよ」

「何度来ても止める。《フルガード》!」


 構える大盾使いの前で、俺はサイドにステップを踏んだ。

 正確には、サイドではなく斜め前。

 そして、姿勢を低く、一瞬で大盾の影に入り、敵の視界から外れた。


「消えっ……!?」

「《デスワルツ》」

「ぐぉっ!?」


 アーツによって大鎌を回転させ、高威力の一撃を相手の死角から振り抜いた。

 構えた盾をすり抜けるように、横方向から伸びた曲刃が、大盾使いを真っ二つに斬り裂く。

 やはり、こういう時に大鎌は便利だ。


「《ソニックブレイド》!」


 だが、大盾使いが光の粒子となって消えた頃、そこには剣を振りかぶり、アーツの発射準備を完了させたサーベルの姿が。

 あのアーツは、飛ぶ斬撃。

 回避できるタイミングではない。

 ならば、防ぐ。

 

 デスサイズの束で飛ぶ斬撃を受け、その威力に逆らわずに、両脚の力を抜いて衝撃を受け流した。

 後方へと吹き飛び、地面に叩きつけられるが、すぐに一回転して起き上がる。

 ダメージはあるが、30秒もあれば《HP自動回復》で治りきるだろう。

 だが、直撃すれば死んでいた。


「今のは決まったと思ったんですがね……さすが死神。パワー、スピード、反射神経、判断力、どれを取っても凄まじい」

「……お前も悪くはない策だった。まさか味方が殺られる事前提の攻撃とはな」

「おっと、皮肉ですか?」

「いや、純粋に褒めている」


 今の攻撃、大盾使いが殺られて消滅しなければ、サーベルの攻撃は大盾使いに命中していた。

 フレンドリーファイアはないだろうが、攻撃は不発に終わっていただろう。

 ……いや、あるいは大盾使いごと斬るつもりだったのか?

 パーティーの上限人数は6人。

 襲撃者の数は約10人。

 大盾使いとあえてパーティーを組まず、俺の攻撃でHPが減ったところをもろとも斬るというのは、考えられなくもない。

 だとすれば、ますます感心する。

 剣聖あたりなら憤慨するやり方だろうがな。


 まあ、感心したからといって、殺す事に変わりはない。

 いや、むしろ、より警戒し、より確実に殺らせてもらう。


 俺はナイフをサーベルに向けて投擲し、それを避けて少しでも体勢を崩してから斬りかかった。

 縦横無尽に振るわれる死の刃が、サーベルを襲う。


「ッ……! 大鎌というのは初めて相手にしまたが、なるほど。独特の形状でやりづらいですね。あなたが愛用するのもわかります」


 余裕そうな口振りだが、サーベルの全身は一秒ごとに削られている。

 デスサイズの刃を防ぎきれず、避けきれず、身体にダメージが刻まれていく。

 自慢になるが、俺と一対一で戦って勝てるプレイヤーは、ほぼいない。


 だからこそ、『死神』は対人戦最強と呼ばれるんだ。


 デスサイズの刃が、サーベルの片腕を斬り落とした。


「ああ、これは駄目ですね。もう少し粘れるかと思いましたが、それはあなたを舐めすぎていたようです。反省しましょう。

 ━━レオンさん! 作戦変更です!」

「ああ!? もうかよ! 情けねぇな!」


 サーベルの言葉に、マックスと互角以上の戦いを繰り広げていた破壊王が反応する。

 そして、片腕を失ったサーベルは、仲間の元へと下がった。

 追撃しようとしたが、一斉に放たれた魔法が、俺の足を止める。


「野郎ども! お綺麗な決闘は終わりだ! 本気で殺るぞ!」

『了解!』


 破壊王がダークマターの連中に号令を下す。

 そして、奴らの動きが変わった。

 俺達にとって、致命的にマズイ方向へと。

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