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プレイヤーキラー伝説! ~死神プレイの最強PK~   作者: 虎馬チキン


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10/36

10 第一回公式イベント 開始

「お兄ちゃん! 今日は遂にイベントの日だね!!」


 アーマードベア討伐から約一週間。

 朝食の時間に、舞がその話題を振ってきた。

 父さんと母さんは早朝出勤でいない。

 たまにはこんな日もある。


「そうだな」

「楽しみだなぁ~!! どんな事やるんだろう?」


 浮かれる舞を尻目にコーヒーを啜る。

 美味くもなく、不味くもない。

 いつものインスタントな味だ。


「ねえねえ! β版の時はどんなイベントだったの?」

「あの時はシンプルなバトルロイヤルだった。今回もそんなに複雑な事はしないと思うぞ。初回だからな」

「そっか~!」


 今日は【アドベンチャーズ・オンライン】のホームページで前々から告知されていた第一回公式イベントの日。

 舞はワクワクが抑えられないようだ。

 この日の為に、夏休みの宿題を消化するペースを上げて、今日一日分のノルマを先に終わらせていると言えば、どれだけ楽しみにしているのかがわかるだろう。

 かくいう俺も楽しみだ。

 今日は存分に暴れるとしよう。



 そうして朝食を食べ終え、舞は即行で部屋へとダッシュした。

 俺は洗い物を済ませてから部屋に戻り、VRギアを装着してログイン。

 イベント開始は午前12時。

 時間にはまだ余裕がある。


「ステータスの確認をしておくか」


 街の中で死神スタイルになると悪目立ちするので、そういう心配のないスラム街へと向かう。

 前に取得しておいた《隠密》のスキルによって、チンピラNPCに絡まれる心配もあまりない。

 もし絡まれても、問題なく処理できる。


 そんな場所で俺は死神スタイルに着替え、ステータス画面を開いた。


ーーー


キョウ LV15


HP 100/100

MP  50/50 〈+15〉


STR:85 〈+40〉〈+10〉

VIT:0  〈-18〉

AGl:85 〈+4〉 〈+10〉

INT:0

DEX:0


ステータスポイント 0



スキル


《大鎌:LV15》《攻撃力上昇:LV10》《速度上昇:LV10》《危険感知:LV8》《投擲:LV8》《隠密:LV7》《気配感知:LV4》《HP自動回復:LV2》


スキルポイント 0



装備


武器:『デスサイズ』

頭部:『死神の仮面』

胴体:『魔術師のローブ』

右腕:『鎧熊の籠手』

左腕:『鎧熊の籠手』

脚部:『俊足のレザーブーツ』

装飾:『力のペンダント』


ーーー


『デスサイズ』


分類:大鎌

効果:〈STR+30〉〈VIT-30〉


ーーー


『死神の仮面』


分類:頭部装備

効果:〈MP+10〉


ーーー


『魔術師のローブ』

 

分類:胴体装備

効果:〈MP+5〉〈VIT+2〉


ーーー


『鎧熊の籠手』


分類:腕装備

効果:〈STR+7〉〈VIT+10〉


ーーー


『俊足のレザーブーツ』


分類:脚部装備

効果:〈AGl+4〉


ーーー


『力のペンダント』


分類:装飾

効果:〈STR+3〉


ーーー


 レベルが上がり、俺も大分強くなった。

 二日目の段階でレベル11まで上がったのに、残りの日数をかけて4レベルしか上がっていないが、これは仕方ない。

 このゲームは格下を倒し続けても、あまり経験値が入らないようになっているからな。

 大きくレベルを上げたいのなら、何度もアーマードベアのようなボスモンスターに挑む必要があっただろう。

 それは面倒だからやらなかった。


 そして、スキルの方も随分と増えた。


 《危険感知》は自分が攻撃を受けそうになった時に知らせてくれるスキル。

 ただし、本当にダメージを受ける直前にならないと発動しない上に、スキルレベルの低い内は発動自体しない事もざらという微妙な性能。

 それでも、これに助けられた事は何度もある。

 故に、俺は重宝している。


 《投擲》は前にも使った、物を投げてダメージを与えるスキル。

 これがあるのとないのとでは、投擲物でのダメージが大きく違う。

 前に『錆びたナイフ』を投げた時に、一撃で相手を仕留められたのはこのスキルのおかげだ。


 《隠密》は、その名の通り見つかりにくくなるスキル。

 音の発生を抑えたり、感知系のスキルに引っ掛かりづらくしてくれる。

 あくまでも見つかりにくいという程度で、見つかる時は普通に見つかるから過信は禁物だがな。


 《気配感知》は、敵がどの辺りにいるのかがわかるようになる索敵スキル。

 これを欺く為に《隠密》のスキルが存在すると言っても過言ではない程の高性能なスキルだ。

 その分、取得するのに大量のスキルポイントが必要だった。

 しかし、今のスキルレベルは4。

 索敵範囲も狭く、現時点ではそこまで強いスキルとはいえない。

 それでも、便利な事に変わりはない。

 

 《HP自動回復》は、何もしなくてもHPを回復してくれるスキル。

 ただし、その回復速度はかなり遅く、ポーションを使った方が手っ取り早い。

 だが、俺はHPの数値自体が少ないから、その分回復が早いのだ。

 それこそ、場合によっては戦闘中に全快できる程に。

 俺のステータスは一発でも直撃を食らえば死ぬが、アーマードベアの時のように、かすり傷程度なら何回かは耐えられる。

 このスキルはそれを補強する為に取った。

 もっとも、一番最後に取得したスキル故に、まだスキルレベルは2。

 今回のイベントでは、さほど役には立たないだろう。


 そして、装備。

 その中でも、一際異彩を放つ『デスサイズ』。


 デスサイズは武器子が特殊な製法を使って作り上げた、俺の専用装備。

 柄も刃も漆黒に染まった、まさに本物の死神が持っていそうな不気味な大鎌だ。


 その性能は、圧倒的な攻撃力の代わりに防御を完全に捨てている。

 せっかく他の装備で上がった防御力が相殺されてしまう程に。

 武器子曰く、他の性能を犠牲にする事で特定の性能を大幅に向上させる製法があるらしい。

 時間も金も素材も多く必要な上に、大体がこんな感じのキワモノ性能になるから、あまり使われない技術でもあるらしいが。


 ちなみに、こうして見ると大きく防御力が低下したように見えるが、システム上、どれだけ数値が下がっても0を下回ってマイナスになる事はない。

 つまり、俺の防御力は0のままだ。

 だからこそ、デメリットを気にせずにデスサイズを使える。


 他の装備は、間に合わせで済ませた。

 『死神の仮面』は俺の代名詞だから別として、『魔術師のローブ』『俊足のレザーブーツ』『力のペンダント』はNPCの店で適当に買い揃え、

 『鎧熊の籠手』は、武器子がデスサイズをはじめとした装備の作成で忙しかったから、これまたNPCの鍛冶師の所に素材を持ち込んで作ってもらった。

 何故、鎧ではなくローブなのかというと、鎧を着けてもデスサイズのせいで防御力が上がらないからだ。

 それなら、違う装備で少しでも他のステータスを上げた方がいい。

 MPはアーツで使うからな。


 デスサイズと比べると大きく見劣りするような性能しかないが、現時点ではそれなりに上等な部類の装備。

 今回はこれで充分。

 β版の時に使っていた専用装備一式は、追々、武器子に作ってもらえばいい。


 そうして確認作業を終え、最後の追い込みとばかりに多少の経験値稼ぎをしている内に、イベント開始時刻がやってきた。



『冒険者達よ。聞こえるか』



 サーバー全体に響き渡るように、オープニングムービーの時にも聞いた、やたらと貫禄のある声が聞こえてきた。


 

『己の道を突き進む諸君に、試練の時がやってきた』


『今回の試練は戦いである。別々の道を進む諸君が一堂に会し、武を競う事となる』


『そして、試練を乗り越えし者達は、無二の報酬を得るだろう』


『この試練を受けるも良し。避けるも良し』


『ただ、己の心に従い、好きな道を選ぶがよい』



 声が止むと同時に、運営から一通のメールが送られてきた。

 ルールの説明と、参加の可否を問う内容。

 メールの最後に、『このイベントに参加しますか? yes/no』という項目があった。


 今回のルールは、β版の時と同じバトルロイヤル。

 制限時間は1時間。

 ただし、前回と違って、今回は最後まで生き残れば勝ちのサバイバルバトルではなく、ポイント制。

 一人倒せば2ポイント。

 逆に倒されれば-1ポイント。周囲に他のプレイヤーがいない地点からリスタートとなる。

 そして、累計ポイントの多いプレイヤーの優勝。

 上位入賞者には、特典が与えられる。


 なるほど。

 これなら即行で脱落するという事はなく、全員が最後までイベントを楽しめる訳だ。

 β版の反省点を生かして改良を加えてきたか。


 他の細かいルールにも一通り目を通し、『yes』を選択した。

 すると、『登録名を入力してください』という画面が表れる。

 このシステムは、イベントには出たいけど、目立つのは嫌だというプレイヤーへの配慮だ。

 ここにプレイヤーネームとは違う名前を入力し、変装でもしていれば正体がバレるような事はまずない。

 つまり、俺達のような賞金首も身バレを気にせずに参加できるという事だ。


 俺は登録名の記入欄に『死神』と入力した。



『試練を望む者達よ。その行く末に幸あれ』



 その声と共に、周りの景色が変わった。

 スラム街の雑多な街並みから、木々が鬱蒼と生い茂った森の中へと。

 別のサーバーに飛ばされたのだ。

 これが、今回のバトルフィールド。

 その一部。


《カウントダウンを開始します。10、9、8、7、6……》


 さっきの声とは違う、音声ガイドがカウントダウンを始めた。


《5、4、3、2、1、0。────これより、【アドベンチャーズ・オンライン】第一回公式イベントを開始します》


 そして、イベントが始まった。

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