ゼノの誕生会
今作から投稿を始めましたかくっちです。少しずつ投稿していこうと思います。読んでいただけると嬉しいです。
古代ギリシャのとある国に一人の王がいた。その名はディオニス。彼の国は、夜でも歌を歌っているようなほどとても陽気で明るい国だった。そして、ディオニス自身も陽気で彼の家族や家来たちとも仲良く、楽しく暮らしていた。
ある日、
「兄上様」誰かがディオニスに呼び掛けていた。
「何じゃ」振り返るとそこにいたのは、ディオニスの妹ソフィアだった。
「この度は私の息子ゼノ誕生会に出席して頂き、ありがとうございます」そう、今日はソフィアと彼女の婿ティオフィロスとの間の息子ゼノが十歳の誕生日を迎えたのだった。
「そんなにかしこまらんでいい。ワシも今日という日を心待ちにしたおったからなぁ」
二人が談笑しているとそこにゼノとティオフィロスがやってきた。
「伯父様、伯父様!」
「おぉゼノじゃないか。誕生日おめでとう」
「ありがとう、伯父様!」
「コラ、ありがとうございますでしょ」ソフィアが言った。
「まぁ良いではないか。このくらいの時は元気な方が良い」
(あぁやっぱりこのくらいの歳の子はかわいいのぅ)
「兄上、誕生会の準備が出来たので、ご着席ください」ティオフィロスが言った。
「わかった。すぐ行く」
ディオニスが座ったところで、ゼノの誕生会が始まった。誕生会では、王家ということもあり、国の要人が大勢集まり、とても盛大なものになった。ディオニスや妹家族は心の底から楽しみ、喜んでいた。
その晩、ディオニスは寝室の窓から夜空を眺めていた。
「今宵も星がきれいじゃのぅ。明日も今日のような良き日になれば良いのぅ」
そうして、ディオニスは眠りについた。
この時、ディオニスを含めた全員がこれから起こる惨劇を予期していた者はいなかった。
今回は、次回から本格的に始まるディオニスとその仲間たちが作り出す話への導入ということで、妹ソフィア、妹婿ティオフィロス、妹の息子ゼノが登場し、ゼノの誕生会を舞台にして彼らの日常を描きました。
次回から展開していくストーリーをお楽しみに!