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召喚術士の冒険記  作者: 壬生方 社箱
第四章 魔界篇
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第五十八話

「良かった、、、、、、ヒヤヒヤしてたんだ、、、、魔王様に求められたら断れないし、、、、」

「違うって言っただろ!ぶっ殺すぞ!!!!」



朝になった。

俺はカジャと呼ばれていた男の家に俺だけ泊まった。場があまりにもカオスになりすぎて、付き合ってられなくなったからだ。

カジャは、サリイが男と知り、サリイの会話から俺がサリイと寝たのがわかると、異常にビビりだした。男色じゃないって言ってるのに、、、、


朝メシは長老の家で食うことになってる。昨日の夕飯が爬虫類用の夕飯で、俺たちが食えなかったからだ。虫の佃煮みたいなやつとかネズミとかは食えねーよ。

だから昨日も俺たちが飯を作り、朝メシも俺たちが作ることになってる。


「魔王様の食材は本当においしいですね」

「あたいもこれなら毎日でもいいね!」

「まあ、口に合うなら良かったよ」


朝メシが終わると、アリサは亜龍族の魔法が使えるやつを集めて、《魔力を込めて》魔法を使う方法を、村の外で教えてやっている。

昨日の夕飯前の雑談で、そんな流れになったのだ。今は長老と俺だけだ。


「魔法まで教わり、食事やお土産まで頂き、何をお礼してよいのやら、、、、、」

「気にすんなよ、大したことじゃない。あー、ちょっと質問がある」

「なんなりと」

「やもり女、、、ゲッコーか、あいつに魔王の鍵を見せたら異常に怯えたんだが、ありゃなんだ?」

「今お持ちなので?」

「ああ、持ってる」


長老は目を見開き、びっくりした。


「あー、アイテムボックスに入れているから大丈夫だ」


長老は少し落ち着いて、


「さようですか、、、、、魔王の鍵のことはご存知なのですよね?」

「ある程度な、だけど何も知らないって頭で教えてくれると助かる」

「わかりました。魔王の鍵は制御出来れば大きな力をもたらし、魔界の王になる資格を得ます。二つ制御出来たものは、絶対的な王となることが出来ます。ですが失敗すれば自我を失い、無差別に攻撃するようになり、やがては殺されることになります」

「それは知ってるが、それならあそこまでビビる必要はないように思うが」

「ほとんどの魔族は狂っていまいます」

「でもよ、力が欲しくて試してみてやる!とかいうやつ居るだろ。欲しがるもんじゃないのか?」

「確率が低すぎるのです」


長老は右手をパーにして、俺に向けた。5%かよそりゃ低いな、20人に一人か。


「五人です」

「・・・・・・は?」

「鍵が生まれてから約3000年、五人しかいません」

「・・・試したのは?」


長老はゆっくり首を横に振り、


「数えきれません」


俺はあんぐりしてしまった。ふざけんなよ、欠陥品じゃねーか!作ったやつ呼んでこいよ!


「昔は鍵に挑む者も多かったと聞きますが、今では魔王の鍵は厄災と同等です」


待てよ、ちょっとおかしい。なら何で二個とも所有者がいる状態なんだ?


「レティシアとソニアは?」

「レティシア、、、、様は、生まれてからすぐに鍵を埋め込まれたと聞きます。生まれてすぐなら鍵に取り込まれても殺すのは簡単なことですから。ソニアと言うのは人狼族でしょうか?噂では最近、人狼族が鍵を取り込んだと聞いています」


ならレティシアは王になるために生まれて、王になるために鍵を埋め込まれてるのか。ひとんちのしきたりとかに首を突っ込むつもりはないが、なかなか苦労してそうだな。


「ソニアはなんのために?」

「わかりません」


知り合いでもないなら、そりゃそうか。


「なんでそんな欠陥品なんだ?」

「それもわかりません。そうしなければならない理由があったとされていますが、、、、ちなみに一番最初の被害者は製造者とのことです。強欲と言う名の鍵に取り込まれたようです」


まあ、本当にそうしなければならなかったなら、作った本人が初めの被害者ってのは納得出来る。しかしよりによって強欲かよ。強欲と話が出来ればいいんだけどな。


「もうひとつ、何故ネライクと対立した?」

「ネライクの言い分は、龍神様を崇めるのは、邪教とのことです。元々龍とその他の生き物は対立していた歴史があるそうです。龍神様を崇めることにより、魔族と敵対する輩が生まれるかもしれぬと」

「なるほど、何故お前らは龍神を神としているんだ?」

「我ら亜龍族のご先祖様だと言われているからです」

「なるほどな」


わかるようでわからない。亜龍族が崇める理由は納得だ。爬虫類だしな。

だが、元々龍を討伐しようとしたのは人間で、龍に対抗するために人間自らを改造して生まれたのが魔族だ。龍を敵視するのもわかるが、そんな昔のこと誰も気にしてないだろ。


「魔王様は今後どうなさるのですか?」

「しばらくは修行するんだ、たまにはこの村をねぐらにしてもいいか?」

「もちろんでごさいます」


すると、バーン!とドアがいきなり開いた。


「あんた一体どうなってるんだい!これも龍神の力なのかい?!」


ゲッコーは血相をかえて飛び込んできた。いや、やもりだから血相はわからないんだが。


「なにがだ、落ち着けよ」

「こんな魔法聞いたこともない!魔界で誰も知らないよ!」


あー、その事か。


「あー、良かったな、使い方を知れて」

「バカいうんじゃないよ!こんなの魔法使いに誰も勝てないじゃないか!こんなのが知れ渡ったらこの世は破滅だよ!」


・・・アリサ、やらかしたか?


「ゲッコーよ、そんなにすごいのか?」

「すごいなんてもんじゃないよ!良いから来とくれよ!」


俺と長老はゲッコーに連れられて、村のはずれに向かう。

そこには、5mを越える巨大な大岩が、真っ二つに割れており、意識不明のようにぶっ倒れたリザードマンがいた。

ぶっ倒れたリザードマンを介抱するように、亜龍族が取り囲む。アリサ、ユリア、ナタリー、サリイは、気まずそうにそれを見守る。

ゲッコーはあれ?って顔をする。

アリサたちが俺を確認すると、


「魔力切れみたい」

「だろうな」

「なんで、、、、村一番の魔法使いなのに、、、、」


俺はゲッコーの肩に手を置いて、


「確かに威力は強くなる、だけど魔力を込めすぎたらこうなっちまうし、魔力を込めてる間は隙だらけだ。そうそう万能でもねーよ」

「・・・・・・そうか、あたいはてっきりあれをいつでもいくらでもかと、、、、」

「そんなうまい話はねーよ」


とりあえずゲッコーは落ち着いた。なんだ、魔力切れで死人が出たのかとも思ったが、ゲッコーは魔法が使えないから、自分が弱くなる気分でビビったってことか。


「魔王様、もし魔王様がおやりになったらどうなるのですか?」


長老がそんなことを聞きやがる。余計なことを。


「タカフミがやったらすごいわよ。生きてるものはいないわね」

「それどころじゃありません。森は消失し、当然ネライクも一瞬で灰になります。魔界はなくなるでしょう」


ナタリー、そこまでじゃねーよ。


「そこまでじゃねーよって顔ね。あんた、龍神がいなかったら全員死んでたの覚えてないの?あんなの核と一緒よ。生活魔法しかないくせに」


お前ら盛りすぎ。


「いやはや、生活魔法でネライクが灰には言い過ぎではないですか?」

「あたいだってそこまでバカじゃないよ。そんな魔法はこの世にないよ」


いやな流れだ。


「ならやってあげたら?」

「・・・アリサ、ふざけんな」

「おお!魔王様のお力が見れるのですか!是非ともお願いしたい!」

「あたいも見たいね。ネライクを灰にしてもらおうじゃないのさ」


ゲッコーはニヤニヤしてやがる。

いや、だめだ。ネライクが灰はおおげさだけど、あの頃の俺より俺は四倍近く強くなってる。衝撃波ぐらいは届いちまうかもしれない。


「いや、止めとくよ」

「ふ~ん、やっぱりそんな魔法はないね」

「ムカッ!やってやるわよ!後悔するんじゃないわよ?!タカフミ、やっちゃいなさい!」

「バカかアリサ。いい加減にしろよ」


お前が興奮してどうする。先生だろうが。


「魔王様、年甲斐もなく野次馬根性をだして申し訳ありませんでした」

「でも、私も一度主様の本気の魔法見てみたかったわ」

「ボクも!」

「いや、本気はヤバイから」

「やっぱり出来ないんだね、人間だものね。そりゃそうか」


なんでゲッコーはこんなに煽ってくる?意味がわからない。しかしゲッコーの雰囲気が、この場の亜龍族に伝染している。


「ばか野郎、魔法は遊びじゃないんだよ。死人が出るぞ?」

「魔界で育った亜龍族を舐めるんじゃないよ、人間の魔法一発で死ぬやつなんかあたいらの村には居ないよ!」

「ご主人様、もうやってしまわれたらいいんじゃないですか?どうせ後悔するのは脳が足りない淫乱とかげです」


久しぶりに出たな、ダークエルフのダークナタリーが。


「っ!何だって?かまととエルフが!」


まわりの亜龍族がやいのやいの言い出す。面倒くせえ。


「皆のもの静まれ!!!!」


ふー、長老が止めてくれるか。角がたたずに済む。


「我ら亜龍族は魔王様の傘下に入る!しかし、納得出来ぬ者もおろう!魔王様が皆が納得出来るように力を示してくださる!!!!」

「「「「「うおおおおおおおおお!」」」」」


・・・・・・・・・ばかなの、こいつら。





・・・・・・・・・





「ねえ、やっぱりやめたほうが、、、、」

「お前が煽ったんだろうが!」


引っ込みがつかなくなり、とうとうやるはめになった。

勘弁してくれよ、、、、、

村人全員が集まってきて、野次馬しやがる。

ったく、遊びじゃねーってのに。


「長老、いいんだな?どうなっても知らねーぞ?」

「どーんと力をお見せください!」

「ケチケチするんじゃないよ!目一杯を見せてごらんよ」

「「やんややんや」」


くそが。


「アリサ、レビテーション準備だ」

「は、半分ぐらいにしなさいよ?」

「ビビるなら煽るな」


最近、加減しまくった魔法しか打ってないし、確かに今どの程度やれるのか把握したい気持ちはあるしな。

やってみるか。



「いくぞ!」


両手を大きく広げ、天にかざす。そして両手に種火をだし、全てを出しきり倒れるほどの魔力を込める。

いや、やっぱり半分ぐらいにしよう。

なんかキイイイイイインと音が聞こえるやつが、すでに耳が痛いほどの音量になってる。


『我こそは古の大魔導師の叡智を受け継ぎし者、、、、、の主人』


ゆっくり両手を胸の前でバスケットボールを掴む態勢に持っていく。両手に錬成の魔方陣が現れ、両手の焔がひとつになってさらに練られ、大気を揺らすほどの魔力が貯まる。

俺の周囲の木々の葉は全て吹き飛んだ。


『ソドムとゴモラを滅せし浄化の炎よ、終焉の使者タカフミの名において命ずる。』


バスケットボールを掴んだような手をボールを維持するように、体を右にひねりながらゆっくりと右腰の横にもっていく。例のあの態勢である。


『今こそ我の手に顕現し、形あるもの全てに等しく終焉をもたらせ』


辺りには風が吹き荒れて、大気が振動する。


「魔法障壁!」


アリサが爆風からみんなを守るために、障壁を張った。


「こ、これは、、、、、」

「おいやめろ、わかった、わかったから!」


ゲッコーがびびり出した。今さらもう遅せえ!

全身を弓のように力を込め、腰を落とし発射態勢に入る。


アリサはグリモアを手に持ち、次の詠唱に入る。



『錬成えええええええ!』


『クリムゾン、スフィアアアアアアアアアアアア!!!!』


両手を龍のあぎとのように勢いよく前に突き出し、手の中で真っ白まで練られ、光り輝く光球が目で追えないほど早く発射されると、全ての音が置いていかれたように一瞬静かになる。


「レビテーション!!!!」


アリサがレビテーションを即発動すると、村人全員が大空に舞い上がる。


光球は一瞬で森の中を進んでいき、一キロ近くで着弾する。


刹那の間があった。そのあとは地獄だった。


2.300mだろうか、空に舞い上がった俺たちより太く高い火柱が立ち上がる。そのあとに轟音が響き渡り、大気が振動する。着弾点の半径500mは形あるものは全て消え去り、そのあと2000℃を超える熱線が周囲を溶かすように燃やしていく。同時にすさまじい衝撃波が周囲を襲い、木々を巻き上げながら消失し、衝撃波は恐ろしい速度で進む。


「あああああああああ!壁ヨオオオオオオオ!」


サリイが斜め下方向に全力の壁を張る。


そして、村は消失した。


いや、着弾点周囲3kmは焦土と化した。


俺たちは宙に浮いたまま誰も言葉を発しない。



「・・・・・・む、村が、、、、、、」

「タカフミ、降りれないわ。下を冷やして」

「・・・わかった。錬成、ちょっとアブソリュートゼロ」

下に向かって、冷気の風を数分送り、アリサが下に全員を下ろす。


俺は後ろを確認すると、全員が俺を見ている。

ぐっ、、、、、


「お、俺は嫌だって言ったぞ!お前らがやれって言ったんだ!!!」


ゲッコーが口を開く。


「・・・あれが全力かい?」

「いや、半分ぐらいかな、、、、、、」


すると、いきなり二十人ぐらいの集団が三組に別れて、同時に転移してきた。


「一体なに、、、ご、、、と、だ?」

「これは、、、、、」

「何がどうして、、、、、」


どうやらネライクから転移で来たみたいだ。


「まさかお主か?タカフミよ」

「レティシア、、、、、」

「東門の城壁が崩れたのじゃ。幸いにして死者はいないが」


村人全員があんぐりしている。


「お主、何をしたのじゃ?」

「・・・ちょっと魔法を一発?」

「一発?嘘をつくでない。余でもこんなことはできぬのじゃ」

「いや、本当に、、、」

「そうか、ならやってみせよ」

「「「「「ダメーーーーー!!!!」」」」」




俺は投獄された。

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