第五十七話
朝飯を食って、更に森の奥に入る。
帰りのことを考えなくて良いのはデカイ。ユリアは十分役に立ってるよ。
今日朝起きてからはまだ魔物に出会ってない、どんどん奥に進むと、、、、、
「・・・・・・やばいな」
「なにがよ?」
俺の気配探知に、数百以上の魔物が引っ掛かった。そのうちの一匹がものすごい早さでこちらに向かってくる。気づかれてるな。
「みんな!構えろ!くるぞ!」
全員が武器を構えて、戦闘に備えると、、、、、
一匹、いや、一人のとかげ人間が木ノ上から俺たちを見下ろしている。
とかげ人間は、大きな太い尻尾が腰から生えており、体表をつるんとした蛙のような皮膚をしていて、手に水掻きがついている。だが、木に捕まっている姿は明らかに人間だ。
とかげと言うよりやもりに近いか?
やもり人間は、攻撃をしてくるでもなく、じーっとこちらを見ている。
・・・まさか、あの数百はこいつらの村か?会話が出来るかな?
「あー、話は出来るか?」
「・・・人間、どこから来たんだい?」
声が高い。女か。よく見たら胸が膨らんでいる。
「ネライクだ、狩猟に来たんだが、どうやらお前らの村に行き着いてしまったみたいだ。えっと、お前らは魔族でいいんだよな?」
「ネライクから人間が?嘘を言うんじゃないよ」
「あー、聞いてないかな?新しく魔王になったタカフミってんだが?」
「・・・・・・お前が?」
「ああ、証拠は、、、、、、ああ、これでどうだ?知ってるかな?」
俺はアイテムボックスから、怠惰の魔王の鍵を取り出す。
すると、やもり女はカッと目を見開くとすごい速度で20mほど後退した。
やがてゆっくり、恐る恐る近づくと、
「それをしまいな!」
「ああ、わかった」
俺が怠惰の鍵をしまうと、やもり女は更に近づいてきた。
「お前、まさか終焉の使者かい?」
「あー、そうなるな」
「・・・・・・真の魔王が現れたか、、、、、レティシアを殺したのかい?」
「まさか、生きてるよ」
「ならその鍵は」
「俺の体内に強欲が、さっきのは怠惰だ。こっちのダークエルフの体内にもなんかわからないが入ってる。ソニアとレティシアのもそのまま体内に入ってるぞ」
「・・・・・・」
やもり女は表情が読めない、やもりだからか?それにしてもよく鍵を知ってたな。見たことあるんかな?
「村に案内する、付いてきな」
「まさかと思うが、取り囲んで攻撃してこないよな?」
「・・・ずいぶん気が小さい魔王だね、キ◯タマついてんのかい?」
いやいや、警戒するだろ普通!鑑定してやる!
【ステータス】
名前 ゲッコー 年齢 128
職業 狩人
LV 92
STR 945
DEX 1400
VIT 896
SPD 1924
INT 321
MEN 186
スキル
弓術lv5 短剣術lv5 気配探知lv5
瞬歩 隠密
やばい、総掛かりでは勝てそうだが、はたしてこの速度についていけるかどうか。俺がバールを持てばなんとかなるか?
「どうすんだい?着いてくるか、ここで殺り合うのか、すごすごとネライクに帰るのか。決めなよ、魔王様(笑)」
ムカッ。やもり女の表情は読めないが、絶対語尾に(笑)がついてるはずだ。殺り合うのは得策じゃない、仮にも魔界に住む同士だろう。逃げるのはムカつく、ならいくしかないな。
「行くよ」
「なら着いてきな」
やもり女は歩き出した。俺たちはやもり女の後ろをついていく。やもり女は完全に全裸だが、全くエロくない。当たり前だ、は虫類に欲情するほど餓えてはいないからな。
俺はなんかうしろから視線を感じると、ナタリーとアリサとユリアがジト目で俺を睨んでいる。
「・・・今度はとかげですか?ご主人様」
「まさかハ虫類まで守備範囲とは、さすがの私も予想外だわ」
「・・・・・・不潔」
「お前らな~、今のやり取りでどうしてそう思ったんだよ。一戦始まるかギリギリだったじゃねーか」
「視線です、ご主人様。ご主人様の視線は女の特徴を執拗に追っています」
・・・・・・マジか、、、、、まさかそんな。いや、たしかに性別を確かめようとはしたけどよ。
「戦闘に性別は関係ないのよ?確かめる必要ないわ」
俺はアリサを見る、本当こいつは俺の考えが読めるとしか思えない。多分夜の女王「職種にそんなスキルないわよ」
もうだめだ、考えたら負けだ。無で行こう、無で。
やもり女が振り向くと、
「あたいも人間とははじめてだね?そんなにしたいのかい?」
「っ!ふざけんな!一言も言ってねえ!」
「ふんっ、じろじろ嫌らしい目で見てるくせに」
やもり女は前に向き直った。
やっぱりあれか、女は男の視線がわかると言う、だから胸をチラ見でも見たらバレるってあれが真実なのか?なら俺は日本でどれだけバレてたんだよ。恥ずかしい、もう日本に帰れない。
「そういうことよ」
「・・・・・・アリサ、今は俺の顔も見えてなかった。やっぱりスキルだろ?」
「背中が語ってるのよ」
・・・もういい、スルーだスルー。
・・・・・・・・・
10分ほどで村につく。村は建物がが3,40件立ってるほどの小さな集落だ。だが、ネライクのような近代的なものは一切ない。木ノ上に、木を寄せ集めて家を作ったもの、シダの葉のようなもので屋根を作った木の家、かまくらのように土で作ったもの、色々あるがすべて原始的だ。アマゾンの原住民でもここまで原始的ではないだろう。
人もさまざまだ、パッと見ただけでもやもり人間、RPGに出てくるようなリザードマンタイプ、蛙が二足歩行したようなやつ、蛇のように首が長いやつもいる。
服は半分ぐらいのやつらが腰巻きをまいたり、肩から布をかけてたり、簡単なものを身に付けてるやつがいる程度だ。
あれだな、やもり人間の村じゃなくて爬虫類の村だな。
門番がやもり女に話しかける。
「ゲッコー、そいつらは?」
「長老に会わせる」
「・・・何故だ?」
「本人曰く魔王だそうだ」
「なんだと!?」
門番のリザードマン四人が、びっくりして殺気だった。
やっぱりか!俺たちが身構えると、
「慌てるな、どうやら50年前の続きじゃないよ。話くらい聞いてみるもんさ」
「・・・・・・わかった、だが俺も同席する」
「かまわないよ、ほら、行くよ」
村の中心にある、この中では大きい木の家にたどり着いた。この家は木材をきれいに積み上げたログハウスになっている。
やもり女だけ先に中に入り、もう一度出てきてから皆中に入った。入り口入ってすぐがリビングみたいになっていて、大きなテーブルと丸太を切っただけの椅子が10近く並んでいる。
俺たちはやもり女に誘導されるまま、そこに腰かける。
リビングの奥の扉が開き、よぼよぼのリザードマンがやって来た。長老だろう、長老もテーブルにつく。
「まずはようこそ、ガックの村へ」
「ありがとう、タカフミと言う」
長老に俺たち一人一人の名前を教える。
「で、ワシたちがネライクとあまり良い関係ではないのは知っとるのか?」
「いや、知らない。そもそも狩猟に来ただけでこの村の存在さえ知らなかった。何故ネライクと揉めてるんだ?」
「・・・話せば長いのじゃが、一言で言えばワシらの信仰が許せないと言うことじゃ」
「・・・レティシアや他のやつらもそんな傲慢に見えなかったが、、、、、、なんか邪神とか、あー、人間の神を信仰してるとか?」
「違う、ワシらが信仰しとるのは龍神じゃ」
「あー、あのジジイか」
「貴様!!!!」
門番から着いてきた男が立ち上がり、俺をすごい剣幕で睨み付ける。
「龍神様を侮辱するのは許さん!!!!」
「待つのじゃ、カジャ。お前さん、今なんて言った?」
長老が門番をたしなめると、今度は長老が年に似合わない目付きで俺を睨む。
「あー、俺が悪かった。信仰をバカにしたわけじゃない」
「そんなことはいい」
「長老!!!」
「黙れカジャ!、今大事な所じゃ。お前さん、龍神に対して今なんと言ったのじゃ?」
ゲッコーと呼ばれていたやもり女は、何かに気づいたように目を見開き席を立った。やばいかこれ?地雷踏んだか?
「悪かったって、許してくれ」
「・・・もう一度言う、龍神に対してなんと言ったのじゃ」
「・・・・・・ジジイと、、、、、」
席を立ったやもり女が何かを手に持ち、戻ってきた。
木彫りの龍の像だ。そこはかとなくファブニールに似ている。
「カジャ、これがジジイに見えるか?」
「・・・・・・見えません」
「こいつはこれをジジイと言ったぞ?古の龍神は姿を変えられると聞く。お前さん、まさか龍神がまだ存命だと言うのか?いや、龍神の居場所を知っとるのか?」
・・・どう答えるのが正解だ?言葉に詰まるな。
「この像は遥か昔、我らの先祖に言葉と文化を与えてくれた智の神じゃ」
「あー、やっぱりファブニール?似てると思った「「ガタガタッ!」」」
俺が言い切る前に、爬虫類族全員が立ち上がった。
長老はわなわな震えている。
「た、、、、頼みます、、、、、お話を聞かせてくだされ、、、、」
長老は心臓の上を苦しそうに押さえて、言葉をつなぐ。
「長老、落ちついてください!」
「これが落ち着けるか!」
俺はコーラと全員分のコップを出して、皆に勧める。
「話すからこれでも飲んで落ち着けよ。長老の心臓が止まりそうで怖えーよ」
・・・・・・・・・
「では、本当に龍神はまだご存命なのですか?」
「ああ、俺が会ったのは龍神王と、ファブニール、ヴィーブルだけだけどな、あ、あとティラノ、、、ティフ、、、」
「まさかティルノーグ様で?」
「あー、それだ!俺はあいつに召喚されたんだよ」
「それ、龍神の使いじゃないのさ!」
「使われたくねーよ、それにあいつは自由に過ごせと言ってたしな。俺に人間が信仰してる神をなんとかしてくれと言ったのは龍神王のジジイだ」
俺はタバコに火を付けて一服をする。
「ならば、使者様は龍神王の願いにより魔界に来て、我らのために戦うと?」
「んー、ちょっとずれてるが大まかにはそうかな」
爬虫類族全員が椅子から立ち上がり、床にひざまづいた。
「我ら亜龍族、魔王様の傘下に入らせてください。是非とも戦いの際には先兵としてお使いください。我ら命をかけてお役目を果たして見せます」
全員が床に頭をつけた。
「勘弁してくれよ、大丈夫だから」
「何卒!何卒!」
ダメだ、会話にならねえ。
「わかった!わかったから、頭を上げろ」
「ありがとうございます!」
長老たちはまだ頭を上げない。
「・・・初めの命令だ、椅子に座れ。座らないとこの話は無しだ」
「「「「はっ!」」」」
全員が椅子に座る。やりずれえ。
「いいか?普通にしろ、かしこまった話し方もなしだ。俺はただの旅人と思え。やりずらくて仕方ねえ」
「しかし、、、」
「しかしもお菓子もねーんだよ、俺と対等に付き合え。これが条件だ」
「かしこまり、、、、、わかりました」
「まだ硬え」
「わかったよ、これでいいのかい?魔王様」
ゲッコーは順応が早い、つうか性格だな。
「おう、それでいい」
「変わった魔王だね、まあ、嫌いじゃないよ」
ゲッコーは笑ったような気がした。やもり顔はわからねえ、アリサみたいに読心術があれば、、、、、
「なら今晩はここにお泊まりくだされ、ささやかですがもてなしをさせて頂きます」
「長老、あたいが身体で、もてなすよ」
「おお、魔王様はゲッコーをお気に入りか!それはめでたい!」
「待て!違うから!」
ゲッコーは妖艶そうな雰囲気をかもしだし、
「なんだい?あんなに熱い眼差しで隅から隅まで見つめたくせに。欲しいんだろ?遠慮するんじゃないよ」
「おお、素晴らしい!ゲッコーよ、必ず子を成しなさい。神子として育てようぞ」
「違うっての!話を聞け!」
「安心しなよ、こんな小娘たちみたいに、股さえ開けばいいと思ってるような女じゃないよ。きっちり満足させてやるよ」
お前やもりじゃねーか!つうかこいつらを煽るなよ!
「ここだけは黙れないわ」
「ええ、アリサ。とかげ風情にエルフの一万年におよぶ房術が劣るわけありません」
「こっちだって、日本仕込みのソ◯プテクニックがあるのよ、原住民に負けるわけないでしょ」
「ご主人様は男も最高だ、吸い付くようだと言いました!」
「ふんっ、じゃあ勝負だね」
「ゲッコーよ、負けるでないぞ!魔王様を骨抜きにするのじゃ!」
「負けるわけありません」
「ボクも!」
「マットとローションを!誰かマットとローションを用意して!」
ダメだ、またカオスに侵された。
俺は一番後ろに座るユリアの隣に椅子を持っていく。
「主様、責任とりなさいよ」
「勘弁してくれよ、、、、、まさかお前が避難場所になるとは思わなかったよ、、、、」
「っ!、、、わ、私と寝るつもりなの!?」
ユリアは顔を赤らめる。お前もかよ、来栖はどうした?
ユリアは一人の世界に入り、もじもじしだした。
なんだこりゃ、、、、、
「俺、女恐怖症になりそう、、、、、」
「大丈夫です!ボクがいます!」
「てめえは引っ込んでろ!腹黒ニューハーフ!」
はぁ、、、、、今日、無事に乗り切れるんだろうか。




