第四話 ※
どんなに記憶を思い出しても、ここが魔の森という話とここから7日で街ということしか出てこない。
方向がわからないのだ。ぶっちゃけ詰んでいる。
でもここから動かないと、森の人一直線なのでとりあえず歩き出した。鑑定しながら薬草を集めながら歩く。
同じところをぐるぐる回るのだけは避けたいので、バールで木に大きな傷をつけながら歩く。
前方にウサギが見える
【ヒュージラビット】
Dランク lv8
はじめの一匹よりレベルが一つ高いようだ。5m先ぐらいなのにウサギは向かってこない。はじめのウサギはどうして向かってきたのか。
魔力のようなものを手に貯め、圧縮しファイアーボールにする。投げる前にウサギがこっちを向き、突っ込んできた
「きた! ファイアアアボーーール!」
ウサギの眉間に当たると、俺の身の丈よりも高い火柱をあげてウサギが火達磨になった。ウサギの突進はおれの1m手前で火達磨になりながら止まった。
一撃である。
「火魔法意味ねーな。種火で十分じゃねーか。」
ふと物音がして右を見るとウサギがもう突進してきている。右腕に頭突きをくらい、俺は左側の木まで吹っ飛ばされて木に激突した。
「っ!! きついぜこりゃ」
痛む右腕を我慢して、両手でバールを握りがむしゃらにウサギを殴りつけた。ウサギも頭突きをしてくるが、距離が近いため速度はそんなにない。意外と避けれる
避けながらがむしゃらにくぎ抜き側でメッタ刺しにする。
「このやろおおお!早く倒れろおおおお!」
10回も殴るとウサギは動かなくなった。
「はぁ、、、はぁ、、はぁ、、あぶねー、、はぁ、はぁ」
上着を脱いで右腕を見てみると、痣にもなってないし、傷もない。傷は作業着が厚手だからこれで防いだんだろう。痣はレベルあがったからか、ハードボイルド効果か。
「ふぅ、、しかしハードボイルド本当に意味あるんかね?」
アイテムボックスからタバコを出し一服しながら先に進む。ウサギは放置だ。
歩きながら自分を鑑定してみるとレベルが上がっていた。
【ステータス】
名前 タカフミ=コンドー 年齢 20
職業 ハードボイルド
LV 3
STR 45
DEX 49
VIT 44
SPD 31
INT 73
MEN 50
スキル
言語理解
召喚魔法lv2 生活魔法 魔力強化lv1
鑑定 アイテムボックス 詠唱破棄 成長促進
ステータスのあがり方のパターンが読めない。INTとMENは魔法系しかスキルがないんだからこれはわかるが、ほかのステータスの上昇はどういう法則なんだろう。
鑑定しながら薬草を集めつつ、バールで目印をつけつつ先に進む。
先に進むと山か丘かわからないが土の斜面が見えてきた。斜面の右手側に口が開いている。洞窟のようだ。
街もわからないし、目指す目的もないので洞窟の前まで進む。洞窟の入り口に立ち中をのぞくと、当然真っ暗で何も見えない。
ここならもしかしたら、入り口の1m先ぐらいにかまどを作りそこで火をおこせば、安全に寝れるんじゃないだろうか。
昨日は森のど真ん中で寝たが、結構危なかったと思う。それよりはましだろう。
ちょっと洞窟を入ってみよう。
右手に種火をつけ、恐る恐る進んでみる。
「すいませ~~~ん、どなたかいらっしゃいますか~~?」
返事はない。そのまま先に進む。
入り口から50mは進んだろうか、その先に仏壇のようなものが見えてきた。洞窟はそこで突き当たりになっているようだ。
仏壇の手前3mぐらい前まできたとき、むあっとなんか嫌な空気を感じた。
なんて表現していいかわからないが、なにか逃げ出したくなるような雰囲気だ。暑いわけでもないのに汗がぶわっと噴出してきた。
「な、なんなんだよこれ、、、、」
仏壇の前に立つと、仏壇には黒い水晶のようなものが台座におかれている。
洞窟にどのくらいの時間置かれていたかわからないが、毎日磨いているようにぴかぴかだ。
俺は、なぜかそれが無性に欲しくなり、ゆっくり、小刻みに震える手でゆっくり黒水晶に手を伸ばす。
黒水晶を掴もうとする瞬間、背中がゾクリとして俺は急に後ろを確認した。
だが、誰もいない。
軽く短いため息をつくと、どこからかわからないが声が洞窟にひびく
『汝、それだけの魔力を持ちながら、まだ我を欲するか、強欲だのう』
「誰だ!!!」
俺は種火を強くし、辺りを見回す。しかし誰も見えない。
「どこだ!誰なんだよ!出て来い!」
俺はバールを左手で振り上げ、右手の種火をを前に突き出し辺りを警戒する。
30秒ほど全方向を見てみたがなにも見つけられなかった。するとまた声がした。
『ほほう、面白い魂をしておるな。・・よかろう、我を食ろうてみよ!!食えねば我が貴様を食ろうてやろう!!!』
その瞬間、ガタっと仏壇から音がして咄嗟に俺は仏壇に目を向ける。
すると、黒水晶が台座から飛び出し、宙に浮いている。
黒水晶はそこから弾丸のような速度で俺に向かってきた。
「うわっ!」
反射的に俺はバールの持つ手で胸を守るような態勢を取った。弾丸のように飛んできた黒水晶は偶然にもバールにぶつかる。
キン!っと音を立てて黒水晶が弾かれると、即座に俺の周りをぐるぐる高速で回りだした。
俺は動揺してバールを振り回す。
「この!なんだよ!お前誰だ!話を聞け!」
かすりもしないバールを黒水晶めがけて闇雲にふりまわす。するとバールをかいくぐるように、黒水晶は俺の左胸に激突した。
「ぐあっ!」
バールを投げ捨て、痛みに左胸を咄嗟に抑えるとなんと黒水晶は、半分が俺の心臓の真上にめり込んでる。
血も出ていない、服も破けていないのにゆっくりと胸の中にめり込んでいく。
「くっ!くそ!取れない!取れない!!!」
爪を立て種火も消し、両手で黒水晶を取ろうとするが、ゆっくり左胸にめり込んでいく。
両手で取ろうともがいていると、黒水晶はすっぽり胸の中に消えた。
と、同時に体内から燃やされるような、体内を刃物でほじくられるような激痛に襲われた!
「っ! ・・・・・ぅ・・・・・」
痛みが激し過ぎて、声すら出せない。
「・・・・・・ぅぅ・・・・・・・・・・・」
俺は痛みに耐え切れず、意識を失った。