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召喚術士の冒険記  作者: 壬生方 社箱
第四章 魔界篇
57/64

第五十二話

「ここが港か」

「そうだ、魔王様」

「これが海ですか、キレイですね」

「・・・ツッコミは疲れるわ、私はボケ固定よ!」

「私、、、、、このパーティーでやってく自信ない、、、、、」

「大丈夫です!ボクみたいに全てを受け入れればいいんです!」

「・・・ふざけんな、てめえが一番腹黒じゃねーか、、、、、」




・・・・・・・・・




海面衝突まであと5秒ってあたりで、ソニアが港を見つけた。


『魔王様!港だ!』

「ユリア!飛べ!」

「・・・・・・、、、詠唱してたわよ!それしかないものね!転移!」


ヒュン!


海面衝突スレスレで、ユリアが港を視界に納めて転移したのだ。

そもそも、ユリアが転移の詠唱をしていたから俺は落ち着いていた。港が見えなくても空に転移すれば、クー・ドなんたらの勢いだけは殺せると思っていたからだ。自由落下なら死にはしないだろう。



・・・・・・・・・




港の波止場の先端に、転移で到着すると同時に、ソニアは人型になり、ナタリーが下着を含めて渡す。

真っ昼間の港で、全裸の女が服を着始めるあたり自体が異様だが、大狼よりはマシだと思う。


「あ、あんたら、、、、どこから来たんだ?」


ドワーフの水夫のようなやつに話しかけられた。


「知ってるかな?俺はハードボイルド大魔導師と言うんだが」

「とうとう自分で言ったわ、神経を疑うわ、、、、、」

「大魔導師様!、もちろん存じております!、休めるところにご案内します!」

「・・・・・・便利ね」

「だろ?俺も最近気づいたんだ」


なぜ、このドワーフのやつらは証明もせずに信用するのか?

こんなんで闇取引の商売なんて出来るのか?魔界のやつらに良いように言いくるめられてなきゃいいが、、、、、



「ご案内します、こちらです」


俺たちはドワーフの水夫に、石造りの小屋のようなものに案内された。





そこに入ると、、、、、、武装した兵士のようなドワーフが20人ほどおり、武器を突きつけられた。


「・・・・・・どこが便利なのよ」

「・・・・・・まあ、俺は逆に安心したよ。このくらい疑い深くないとな?」

「てめえら、何を落ち着いている。ここは御禁制の場所だ。普通には入ってこれねーんだよ。しかも大魔導師だ?寝言は寝てから言え」


兵士の一人が俺たちに向けて殺気を放つ。

するとソニアが前に出る。


「妾は魔王四近衛の一つ、人狼隊隊長、同時に次期魔王候補のソニアだ。魔界と連絡が取りたい。魔界の港に繋いでくれ」


ドワーフは一瞬目を見開いたが、すぐ冷静を取り戻す。


「魔界だあ?知らねえな、そんなものは。ここは秘密の漁場だ」

「そうだぜ、秘密の漁場だ、見た以上は帰すわけにはいかねえ」


ドワーフたちが殺気だつ。俺たちも構えようとするが、ソニアが手で俺たちをなだめる。


「ふむ、ならこれでどうだろうか?」


ソニアはその場で大狼に変身した。服を脱がずに変身するので、パンツから何からビリビリにやぶれた。

ソニアは頭を天井にぶつけて、少しかがんでドワーフたちを見つめる。


『そちらに迷惑はかけない、連絡を取りたい』


ドワーフたちは、全員壁まで後退りした。

そのうちの一人が、


「・・・確かに。通信魔道具を貸そう」

『ありがたい』


ソニアは人型に戻る。ナタリーはまた下着から全て、服をソニアに渡す。


「こっちだ」


石造りの建物を出て、少し離れた木のアパートみたいな、連なった建物の一室に入る。詰所のようだ。


「これがそうだ、魔界の港に繋がっている」

「ありがとう」


ソニアは通信魔道具に手を当て、


「こちらソニアだ、ジーン、いるか?」


数秒待つが返答はない。


「こちらソニア、ジーン、聞こえるか?」

「こちら駐屯地、IDを言え」

「46866897 ソニアだ」

「・・・・・・確認した。ジーンを連れてくる、しばし待て」


IDって、、、、、、軍隊かよ。

思わずアリサと顔を見合わせてしまった。


「ソニア~?対象は見つかったの~?」


めっちゃくちゃ軽いノリの女が通信魔道具に出た。


「ああ、対象は《鍵を2つ手に持つ》繰り返す、対象は《鍵を2つ手に持つ》。同行許可を得ている」

「・・・・・・・・・マジ?」

「本当だ」

「そちらに向かう。波止場の先端で待て」

「了解した」


軽いノリの女は、いきなりソニアみたいな口調になった。

なるほど、ソニアのこの口調は女王タイプじゃなくて軍隊の特徴だったか。妾とか言うから、生まれつき女王気質の女なのかと、、、、、、。


「助かった。我々は波止場から帰還する」

「お勤めご苦労様です」


ドワーフの水夫は、本物の魔界の軍隊だと分かると、口調を変えてきた。


俺たちが波止場に歩いていくと、既に人が一人立っている。

そいつは、いやその女は、背中に小さな羽が生えた《全裸》の女だった。またかよ。

俺は歩きながら、ソニアに質問する。


「・・・なあ、ソニア」

「なんだ?魔王様」

「魔界は全裸がデフォルトか?」

「デフォ?」

「みんな全裸なのか?」

「いや、そんなことはない。やつはサキュバス族だからな」

「全裸の言い訳になってないわよ、、、、、」

「魔王様だと通達したので、正装でやって来ただけだ」


正装って、、、、、、正装の意味を知ってるのか?

あっ、サキュバスだから?


小さな羽の生えた全裸女は、俺に向かって敬礼した。


「私は、魔王四近衛、悪魔隊所属、転移長ジーンであります!お初にお目にかかります、魔王様!」

「・・・・・・全裸で恥ずかしくないの?」

「はっ!私はサキュバスですので、これが武装であります!」


真剣な顔でそんなことを言う。

申し訳ないけど、少し笑っちゃったよ。


「あー、さっきの通信魔道具聞いてたよ。楽にしていいぞ?」

「はっ!・・・良かったぁ~。マーたんったら話わかるじゃな~い」

「マーたん?」

「そっ、魔王様だからマーたん?」


痛い子だった。いや、むしろこれが武器か?これで男を骨抜きにして倒すと?


「今アンタ、コレが武器かとか思ったでしょ?」

「だからアリサ、なんでわかるんだよ」

「・・・私も思ったからよ、、、、、」


なるほど。納得。


「話し方は何でもいいんだけどよ、で、これから魔界に行くのか?」

「ん~、そうなんだけどぉ~、この人間はどうするの~?面倒だから魚の餌にしちゃう感じかなぁ~」


あっ、この一言で大体理解したぞ。これ、《俺》は魔界に招待されたけど、アリサたちはされてないんだ。むしろ関所を作るほど人間出入り禁止なんじゃ?これから先ずっとこの扱いか?

盲点だった。


「この人間どもは魔王様のお気に入りの奴隷だ」

「えーっ、魔王様はこれからたくさん子供を作ってもらわないといけないのに、人間に構ってるひまないよお~?」


ソニアを除く、アリサたち全員は俺の顔を見ている。

ここは俺がはっきり言わないとな、っと思っているうちに、


「黙れ!ジーン!今のうちに言っておく。万が一魔王様のお連れに手を出したり、魔界に着いてから魔界の住人がお連れに手を出そうものなら、魔王様は人間に与するぞ!魔界の未来はこの方たちに掛かってると思え!!!!!」


ソニアのいきなりの檄に、俺たちもジーンもビクッとした。


「今後、お連れを軽く扱う言動をしてみろ。お前も、魔界も未来がないと思え。、、、、、、返事は!」


「はい!ソニア様!」


ジーンはピンと引き締まった顔で、背筋を伸ばし敬礼をした。

普通ならこれで安心できるんだが、全裸なのが緊張感を失わせる。


「まあ、まずまず安心?」

「出来る限り妾が守る。だが、警戒はしていてくれ。ア、アリサたちが死んでしまったあとに、実行者を処罰しても遅いのだからな」

「ご主人様、行かない方がいいのではないでしょうか?」

「私も同感よ、タクトたちやテラーナを先でもいいんじゃないかしら?」


俺がアリサを見ると、


「今回はアンタに任せると言わないわ」

「やめるか?」

「違うわ。行くのよ。私たちの命をかけてでも行くのよ」

「・・・なんでだよ?」

「正直、わからないわ。でも私の中の何かがそう言うのよ。言うなれば女の勘ね」


アリサは冗談で言ってるようには見えない。実際膝が少し震えている。理由はわからないけど本気なんだな。


「わかった。行こう。ナタリー、ユリア、サリイ。どうする?止めとくか?」

「ご主人様、それは卑怯です」

「・・・ご主人様」

「そうよ、言ってよ」


だな。


「わかった。俺が守るからお前らついてこい」

「「「はい!」」」


バガーン!


ソニアはジーンを殴った。

俺はソニアに駆け寄り、ソニアの腕を掴む。


「なにしてんだよソニア!」

「こいつのせいで魔界の未来がおしまいになるところだったのだ!」

「大袈裟だ」

「大袈裟ではない!現にアリサが行こうと言わなければ、この話は流れていた!」


ジーンは口から血を流して立ち上がり敬礼をする。

マジかよ、軍隊に染まりまくってるな。


「いいか?!口でいくら平和と言ってても、一人一人が多種族を蔑むなら戦争はなくならない!なぜそれがわからない!」

「申し訳ありませんでした!」


ソニアは泣いていた。確かにソニアは人型になって現れた後に、アリサたちを蔑んだことはない。せいぜい人間どもと言ったくらい程度だ。

ソニアの言ってることは正論で正しい。だがそれは一筋縄じゃいかねーんだよ。


「ソニア、気持ちはわかるし、お前が正しい。でもな、なんでも一気に白から黒には変わらねーんだ。俺たちに気を使うのと同じように魔族にも使ってやれ」

「・・・はい」

「ジーン、俺はまだ魔王になるとは決めてない。だが、このやり取りで俺が魔王になることで、平和の架け橋になれるなら、考えても良いと思ったよ。ジーン、協力してくれないか?」

「もったいないお言葉であります!」


ジーンは敬礼をする。


「今は雰囲気的に難しいかもしれんが、またいつもの口調で話したいな」

「・・・ありがとうございます!」




・・・・・・・・・





ジーンの転移で、魔界側の港に着いた。

港の作りは変わらないが、波止場には大きな船が止まっている。作りは木製みたいだが、大きさは豪華客船ぐらいはあるぞ。これからギガントムテムに行くのだろうか。詰所みたいなほうに目を向けると、明らかに魔族と思われる人間たちが整列して立っている。角があるもの、人間にしか見えないのに羽が生えてるもの、虎もいる。普通の虎にしか見えない。手が触手な人間、もう様々だ。



「お待ちしておりました。まずは現魔王、カタリナ様にお会いいただけないでしょうか?」


頭に2本の真っ直ぐな角が生えている、屈強な男がそう言ってきた。見た目はなかなか強そうだ。試しに鑑定してみる。



【ステータス】

名前 ギザルド 年齢 202

職業 凶戦士


LV 326

STR 2063

DEX 1866

VIT 2321

SPD 1639

INT 620

MEN 895


スキル

剣術lv5 槍術lv5 斧術lv5 身体強化lv5

気配探知lv4 魔力探知lv4 



つよ!俺たちの倍じゃねーか!

こんなやつらばっかりか?

いやまて、力量の差があるなら鑑定出来ないんだよな?

ならソニアはどれほど強いんだよ。もうお前が魔王やれよ!



「あー、いきなりだが、お前でどのくらい強いの?」

「私ですか?そうですね、上位ではあると思いますが、大いなるお方たちには敵いません。一般兵士よりは頭一つ抜き出ていると自負しております」


・・・あくまでも兵士よりは強いってだけか。こりゃ、ソニアや上位陣とは相当差がありそうだな。

ちなみに今の俺たちはどうなんだ?




【ステータス】

名前 タカフミ=コンドー 年齢 20

職業 終焉のハードボイルド


LV 20

STR 980

DEX 1112

VIT 965

SPD 996

INT 1412

MEN 1409


スキル

言語理解

杖術lv3

召喚魔法lv4 生活魔法 魔力強化lv5 魔力操作lv5

鑑定 アイテムボックス 詠唱破棄 並列魔法 運命

成長促進 気配探知lv5 魔力探知lv3 錬金lv5 練成


終焉の理



【ステータス】

名前 アリサ=ローレンス 年齢 15

職業 夜の女王


LV 20

STR 513

DEX 955

VIT 500

SPD 986

INT 1001

MEN 1102


スキル

重力魔法lv3 闇魔法lv2 付与魔法lv5

空間魔法lv1 風魔法lv5

魔力強化lv5 魔力操作lv5

簡易鑑定 魔力の理 魅了(テンプテーション)



【ステータス】

名前 ナターシャ=フォレストウルフ 年齢 48

職業 ソードダンサー


LV 51

STR 970

DEX 912

VIT 495

SPD 954

INT 439

MEN 718


スキル

二刀流lv5 剣聖技lv1 身体強化lv5 忍耐lv3 見切りlv2

魔力操作lv4


????????????




【ステータス】

名前 サリイ 年齢 12

職業 近衛騎士


LV 51

STR 920

DEX 865

VIT 1016

SPD 695

INT 411

MEN 670


スキル

剣術lv5 盾術lv5 頑強lv5 解体lv2 守護技lv2

魔力操作lv3




【ステータス】

名前 ユリア=ストラスファー 年齢 18

職業 魔法使い


LV 32

STR 45

DEX 112

VIT 60

SPD 120

INT 201

MEN 197


スキル

空間魔法lv3 水魔法lv2 火魔法lv4

魔力強化lv2 火の理



あのオリハルコンゴーレム戦でレベルがあがったようだ。

ナタリーとサリイはたった1しか上がってないのに、俺とアリサは20も上がってる。これは逆に1になって良かったかもな。

四人とも、ギザルドと同じレベルまで上げれば、ギザルドをぶっちぎれるが、俺たちには長い寿命がない。そこまであげきれるかどうか、、、、、

驚いたのはユリアだ。同じように戦ったのにまさかの1もあがってない。

成長促進が有効か無効かで、こんなに違うか。成長促進がどれだけチートかを、確認出来てしまった。



「そうか、なんか失礼な質問して悪かったな」

「とんでもございません。何卒お気になさらずに」

「ありがとう」

「魔王様、行こう」


ソニアが指差すほうに目を向けると、この港エリアまわりは森のような木が生えているんだが、そのすぐ向こう側に気球、いや、飛行船の上部が見えている。あれが熱船か。


「熱船で魔界の首都、ネライクまで行っていただく」

「わかった、行こうか」




俺たちは熱船にソニアの誘導で乗り込んだ。


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