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召喚術士の冒険記  作者: 壬生方 社箱
第四章 魔界篇
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第五十一話

「アンタ、何でもアリね?」

「マテマテ、ギリギリセーフだろ!」

「どうだか」



昨日アリサが顔を出したときに、俺は渾身の力を振り絞って、ソニアの拘束から抜け出してアリサを追いかけた。

すぐさまアリサを部屋に呼び、流れを説明してその晩はアリサと一緒に寝たんだが。

今は朝起きて、二人で俺のベッドの中だ。


「大体お前、やれって言ってたじゃねーか」

「獣○しろとは言ってないわよ」

「それも説明しただろ!?」


一連の流れも説明したのに、アリサは何故かご立腹だ。



コンコン


「魔王様、、、、」

「入れよ」


ソニアが俺の部屋にやって来た。


「昨日は申し訳なかった。なんか興奮してしまって、訳がわからなくなった」

「・・・そういう時もあるだろ」

「ないわよ」


ソニアは腰を折り、頭を下げた。

昨日だってアリサを即効呼び戻して、ソニアとアリサと三人でちゃんと誤解を解いてるのに。


「とりあえず、当分は一人で寝たいよ。疲れたわ」



朝食のために、全員用意された部屋に集合した。

それぞれ、謝ってきた。

まあ、俺が今こいつらを手放す気がないんだから、受け入れるしかない。

もう忘れよう。ぐじぐじしてるのは性に合わない。

飯を食いながら、


「このまま魔界を目指す。ワイバーンを売りに行ったが買い取ってもらえなかった。おっさんに買ってもらうことにする」

「なら、今日は物資の調達ね、亀裂はどうやって渡るの?」

「何種類か方法がある。一つは熱船だ。一つは転移だ。一つは海を船でわたる」


おいおい、いきなり船が二個も出てきたが?あるんだな、船が。


「説明をお願いします、ソニアさん」

「熱船とは、中油を使い暖かい空気を生み出す。その力で船を空に浮かべるのだ。推進力には魔石を使う。海を渡る船は主に商人が使っている。だが、こちら側には山があり接岸しても山を登らないといけない。そのために洞窟を掘っている。転移は説明が不要だと思うが、かなりの高位の空間魔法使いでないと無理だろう」

「で、私たちはどれを使うのよ?」

「船用の洞窟を抜けて、港につけば通信魔道具がある。それで呼び掛けて転移で迎えに来てもらう」


おかしいことが何点かあるな。


「質問いいか?」

「いいぞ、魔王様」

「熱船はわかる。俺の知識だと気球という。だが、飛んでるのを見たことないが?」

「熱船の燃料は魔界だけのようだから、こちらでは無いんだろう。魔界から人間の国に行くのは魔界の許可がいる。燃料も莫大だ。そうそう飛ばせるものではない」

「次だ。船があるならもっとたくさん船の話を聞いてもいいと思うが?」

「船は魔界のみではない。ヴォーデンなどは海での漁も盛んと聞く。だが、海の中に魔物がいる。極めて危険だ」

「・・・密輸商人はどうしてる?」

「基本的に護衛を雇っている」

「なら、人間は何故それをしない?他の大陸へ行こうとか思わねーのかな?」


そこでユリアが話に入ってきた。


「それは私たちがヴォーデンに行った時に聞いたわ。何度も、それは何度もしてるらしいわ。だけどただの一艘も帰って来た船はないそうよ」

「なるほどね、魔族の力があって初めて可能ってことか?魔界は他の大陸を調べたりはしたのか?」

「した。なにもない。どこまでも海だ」

「そうか」


もう一つ大きな疑問がある。


「大陸を割る亀裂があって、魔界に入れないんだよな?」

「そうだ」

「それがおかしい。大陸を割る亀裂はどこまで入っている?端まで入ってるなら、海水が亀裂に流れ込んでるはずだ。だが、亀裂と言われるくらいなら亀裂は水がないんだろ?あったら亀裂は河って言われてるはずだしな。端まで亀裂が行ってないなら陸路もあるだろ」

「どちらも海岸から1kmほど手前で亀裂は止まっている。ギガントムテム側は亀裂に山が隣接してる、山を登ってくれば魔界にはいることは可能だが、山は険しく、竜が住み着いている。普通にはこれない」

「龍?」

「いや、古の龍ではない、竜種という魔物だ。魔族では時折討伐も確認されている。反対側のヴォーデン側は深い森の中だ。知ってるものもいるかも知れないが、認識阻害の魔道具を設置して侵入を防いでいる。またヴォーデン側にもギガントムテム側にも関所を設けて侵入を防いでいる」


「なぜ防ぐ?魔族が人間を嫌いだからか?」

「その辺の話は魔界に来てから詳しく聞くといい。だが魔族と人間には深い、殺しあいの歴史がある。出来るなら関わりたくないのだ」

「なぜ侵略しないんだ?」

「確かに大昔に魔族は人間を土地から追い出して、戦争した歴史がある。だがそれも元々は人間たちから仕掛けてきたものだ。だが、どちらからというのはもういい。戦争の結果は大陸全てが消えることになった。仮に人間を駆逐したとしても神が参入してくる。我々魔族はもう戦争はしたくないのだ。平和だけを望んでいる」

「・・・・・・人間と話し合ってとかは出来ないのでしょうか?」


ナタリーがそう問いかけた。


「過去、そういう動きもあったが、結果は今の状態だ。それにもし会談が上手く行ったとしても、神はまた人間を煽り、戦争になる。もう何度も繰り返してきたのだ」


ソニアは悲しみを表情に浮かべる。


「わかった。それはいい。とにかく港から転移が一番楽だってことなんだろ?」

「そうだ」

「ならそれで行く。とりあえずおっさんと会見だ」





・・・・・・・・・





「あー、大丈夫か、小僧?」

「もうその話はいいよ、それよりワイバーンを買うか?ギルドはまずおっさんに話を通せってことだったが?あとオリハルコンな」


朝食が終わって、おっさんに会談を求めると初めにおっさんと出会った謁見室に通された。

何回見ても王には見えない。盗賊団の棟梁だ。


「ありがたい。ワシも準備はしてあった」


おっさんが合図をすると、数人がかりで金が入ってそうな袋がたくさんやってくる。


「金貨で2000枚だ」

「・・・多くないか?」

「討伐報酬、ワイバーン、オリハルコンの素材の価値、詫び等全てもろもろ含めてだ、持っていけ」

「そうか、なら遠慮なく」


俺は俺の目の前に集められた金貨をアイテムボックスに収納していく。


「オリハルコンで作る武具はどうする?」

「あー、それなんだが、もう出るからおっさんにやるよ」

「・・・・・・オリハルコンだぞ?」

「良いって。今のところ必要としてない。日緋色金もあるしな」


おっさんは顔をしかめたが、何かを思い付いたって顔をした。


「行くのか?」

「ああ、おっさん、馬と馬車を預かってくれないか?」

「かまわん」

「助かるよ。じゃあまたな」

「・・・これに懲りずにまたこい。もう一度感謝を。」

「一体何に懲りたかは聞かないでおくが、感謝はもういい。また来るよ」




俺たちは城を後にした。城から商店街に入り、物資を根こそぎ買っていく。食料、衣類、酒、水等だ。

そのあとに奴隷商にいく。


「いらっしゃいませ、奴隷をお求めですか?」

「いや、こいつと俺に奴隷契約を結びたいのだが?」

「それでしたら、銀貨10枚を頂きます」


金銭感覚が狂ってきたのか、スゲー安く感じる。


「ユリア、本当に後悔しないのか?」

「ええ、もちろんよ。覚悟は変わってないわ」


みんなからきちんと、俺のスキルの説明や奴隷のシステムなども聞いてるみたいなので、ユリアの心の準備は問題なかった。


「なら、頼むよ」

「かしこまりました」


魔法的何かでユリアの首に奴隷紋を刻み、俺の血をつける。


「っん」

「はい、完了しました」

「悪いな、ありがとう」




俺たちは奴隷商を出て、カラディンの入り口にたどり着く。


「「「「ありがとうございました、大魔導師様!」」」」


カラディンの衛兵たちに見送られながら、街を後にした。





・・・・・・・・・





「港までどのくらいなの?」

「このペースで歩けば、大体15日ぐらいか?」

「「「「「は?」」」」」


遠い、遠いよ!

思ったより遠いよ!


「・・・タカフミ、電車でいく?」

「いや、飛んでいこう」

「飛ぶって、ゴマ吉はいませんが?」

「ソニア、相談がある」



ソニアは大狼に変身して、伏せた。

サリイ、アリサ、ユリア、ナタリー、俺の順番で、ソニアに股がって乗る。


「じゃあアリサ、やってみてくれ」

「わかったわ。アリサ=ローレンスが命ずる。重力のグリモアよ、我が理を示せ。レビテーション」


すると、ふわふわソニアは浮かび上がった。

アリサはガンガン高度をあげる。


「アリサ、行けそうか?」

「結構余裕みたい、行けるわ」

「よし、ならいくぞ」


俺は両手から生活魔法の乾燥を出して、推進力にする。

方角はソニアの指示だ。


『なかなかすごいものだな。安定している』


今は地上から50mほど上空を、山を登るように飛んでいる。山から生える木々の上を飛んでいる状態だ。

15日なんてやってられるか。俺は気分はジェットエンジン並に乾燥を使って空気を吹き出している。

ソニアが言うには、これなら今日中につくかもしれないとのこと。


「ご主人様、あれが亀裂でしょうか?」


右手を見るとかなり遠くに黒いラインのように、亀裂が見えている。


『そうだ、あれが亀裂だ』

「このまま亀裂を飛ぶのは無理かな?」

「無理よ、レビテーションは地上から浮くだけよ。亀裂の上を通ろうとしたら多分落ちるわ。地上がないんだもの」


なるほど、そういう原理か。しかしなかなか壮大な眺めだな。もっと高く飛べば、もっと景色が良さそうだけどな。





もうかなり進んだ、すると、下から敵意を感じる。


『魔王様、竜に見つかった』

「飛んでくるか?」

『あまり縄張りは離れないが、注意は必要だ』

「空中では戦いたくないわ、上昇するわよ」


アリサがそう言うと、さらに上昇した。


「・・・ご主人様!ちょっと怖いです!」

「お、落とさないでよね!」

「ちゃんと捕まってろよ!」


『魔王様、竜が追って来ている』


俺も探知で感じてる。目視で見えるやつもいる。ワイバーンよりでかいのも、小さいのもいるな。

そのうちの一匹が、えらい速い。俺たちの後ろ30mほどにつけられた。


「ソニア!方角は合ってるか?!」

『このまま真っ直ぐだ』

「サリイ!前方に壁を張れ!出来るだけ斜めに張って風の抵抗を弱めろ!」

「はい!やってみます!壁よおおおおおお!」


すると、透明な壁がまるで空気を切り裂くように、△に張られた。やるじゃねーか。これなら。

俺は座り方を後ろ向きになんとか変えると、


「よし、いくぞ!右手に乾燥、左に乾燥!錬成!!!クー・ド!、、、、、、、」

「やめた!スカイ、トルネード!!!!!」


龍のアギトのように突き出した両手から、地上の木々を巻き込むほどの巨大な竜巻が噴射される。


ソニア号は急激に加速する。


『「「「「うわあああああああああ!」」」」』


俺たちは弾丸のように飛び出して、俺たちを追って来た竜は、竜巻に巻き込まれて墜落していく。





「海よ!竜巻とめて!」


アリサの掛け声と同時にクー・ド・スカイトルネードを止めると、、、、、


『魔王様、どうやって止まるんだ?』

「アンタまさか、、、、、、」

「なら聞くがアリサ、お前は空とぶ海賊船が止まるのを見たことあるのか?」

「な、何でそんなに余裕があるのよ!死んじゃうわ!」

「ご主人様、コーラはいかがですか?」

「頼もうか」

『妾も頂くか』

「アンタら、頭おかしいんじゃないの!?なんで私がツッコミ役なのよ!そっちに混ぜなさいよ!」

「タクト、、、、こいつら頭おかしい、、、、私そっちに帰りたい、、、、、」

「ボクに任せてください!かああああべよおおおおおおお!」

「いや、無理だから」

「「い、いやあああああああ!」」


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