第四十九話 表
ギリギリまで迷いましたが、この話の後半に禁断のサリイルートが入ります。
閲覧注意です。
「オホン、では頼むぞ、大魔導師よ」
「何の威厳もないわよ、このくそオヤジ」
「・・・・・不潔、ちょっとカッコいいと思った私がバカみたい」
「ご主人様を魔の道に引き込んだこと、決して忘れません」
「ご主人様は魔王だから、魔の道一直線です!」
「サリイ?余計なことは言わなくていいのですよ」
「あまり魔族を外道みたいに言うのはやめてもらいたいのだが、、、、、」
俺?俺は口に猿轡をされて、す巻きにされてます。
昨日の晩、キャバクラから撤収したあと、おっさんはアリサたちにこっぴどく怒られた。
俺は既に人権を奪われている。
「ほらいくわよ、ミノムシ」
「ご主人様、ちゃんとうさぎとびをして下さい。罰になりません」
「これが魔王様か、、、、ちょっと考えを改める必要があるな」
「・・・不潔」
謁見室を出ていくアリサたちに、俺はうさぎとびでついていく。バランスがとれずにコテンと転ぶと、サリイがトコトコやってきて、起こしてくれた。
「(ご主人様、ちょっと縄を緩める?)」
「んぐ、んぐんんんんぐ」
「サリイ、甘やかしたら承知しないわよ」
「はいっ!」
サリイはアリサから叱責されると、直立不動で敬礼した。サリイもキレモードアリサには逆らわない方針のようだ。
俺も当然怒られたのだが、いくらヤってないと言っても全財産を使い果たしたのは間違いない。
それの罰として、今日1日うさぎとびで過ごせとなった。そこでユリアがうさぎとびでは生ぬるいと、す巻き猿轡うさぎとびにされてしまった。
俺たちはカラディンの入り口まで到着する。
城からここまで来る間、大勢の住民の中をす巻き猿轡うさぎとびで入り口まで来た。
指を指されて笑われ、冒険者にはからかわれ、むちゃくちゃ恥ずかしい。
入り口に着くと、衛兵が、
「これは、大魔導師様、ご、一、行、、、、、ですよね?」
「はふー、はふー、はふー、はふー」
「そうよ」
「あの、これは、、、、、」
「気にしないで、ただのムシよ」
「ですが、大魔――――」
「ムシよ」
「・・・・・・ムシですね!馬車まで案内します!」
おい!負けるな衛兵!、ちょっと期待してたのに!
くそがああああ!
俺は馬車までうさぎとびをして、馬車の後ろの乗り口につくと、
「乗りなさい、ミノムシ」
「んぐぁふぁぐあ」
「何?虫語はわからないわ。早く乗りなさい」
そう、段差があるのだ。馬車の乗り口は50cmほどの高さがある。
普通のうさぎとびならまだしも、す巻きにされてたら、この高さはちょっときつい。
「乗らないの?なら現地まで飛ばせるわよ?」
「っ!んぐあ!」
俺は意を決して、力の限りジャンプすると、
ズルッ、ガン!
高さが足りずに、乗り口のところに爪先少しだけかかったのだが、滑って顔を強打した。
「んぐあああああ!」
「あははははははははははは!」
鼻血を流して揉んどりうつと、サリイがポーションをかけてくれる。
くそが、アリサめ。
「流石ですアリサ。私ならもう許してしまいそうですが、やはりアリサに任せるのが一番ですね」
「魔王だわ、真の勇者は魔王だったのよ、、、、」
「妾、あの女には逆らわないことにする」
サリイが内緒で手伝ってくれて、馬車に乗ることは出来た。いや、気づいているんだろうけどこのくらいはお目こぼしってとこか。
しかし、サリイの優しさが胸に染みる。抱いてしまいそうだ。
馬車は鉱山に向かって進んでいく。
御者はサリイがしている。
「喉が乾いたわ、ムシ、コーラを出しなさいよ」
俺はアリサをギロッとにらむが、アリサはふてぶてしい顔をして脚を組み換える。
こんな状態でもパンチラすると目がいってしまうのが恨めしい。
口で対抗するのも塞がれているので、仕方なくアイテムボックスからコーラを出そうとして見ると、、、、
なんと出すことが出来た。手を縛られてても出せるとは、、、、、
人数分のコップもだす。
ナタリーが皆に注いで回ると、
「ちっ、ぬるいじゃない。使えないムシね」
むちゃくちゃだなこいつ! アイテムボックスは時の進行がないんだから、氷と一緒に入れたって冷えねーよ!
「私、少しなら氷出せるわ」
「ありがとうユリア、お願い」
ユリアはロックアイスのような、ざんぎりの氷をテーブルの上に山盛りだすと、ナタリーは上のほうから氷をつまみ、各自のコップに入れていく。
ナタリーは御者にいるサリイにもコップを持っていく。
「これは旨いな。シュワシュワして、、、、こんな飲み物は魔界にもない」
「気に入ったならいつでも飲めるわよ。ムシが召喚出来るから」
「本当、便利なごしゅ、、、、ムシですね」
「私、なんだかかわいそうになってきたわ、、、、、」
「妾もだ、、、、」
「騙されてはダメよ。これはムシの作戦よ。いかにもかわいそうな目付きをして同情を買おうとしてるのよ」
「、、、むぐっ」
だからなんでアリサは俺の心が読めるんだ?
仕方ないだろ、口も塞がれてたらそのくらいしか対抗しようがねーじゃねーか!
「ふっ、なんでわかるかですって?ムシのことぐらいわかるわよ。単純なんだから」
・・・本当は読心スキルとか持ってるんじゃ、、、、、、あっないわ。
「鑑定したってもってるわけないでしょ」
・・・、怖え、、、、もう地蔵になろう。
「本当、アリサにはかないません。目線だけでご主人様と会話が出来るんですから」
「・・・本当に愛し合ってるのね。私もタクトのことがこのくらい理解出来てたら良かったのかな、、、、、」
「ばっ!バカ言わないで!、単純で分かりやすいだけよ!」
アリサは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
「なるほど、だから魔王様は敢えてこの仕打ちを受け入れてるのか。すこし妬けるな」
バカ野郎、そうじゃねえ。力で無理矢理拘束を解いても状況が悪化するだけだからだよ!
愛してるってなら皆愛してるよ。
・・・・・・・・・
数時間たって、馬車は鉱山にたどり着いた。
いるな、10体ぐらいか?全部がオリハルコンゴーレムだとちときついかな?
「ほとんどクレイゴーレムのようだ。オリハルコンゴーレムは一番奥の一体だけだな」
ソニアが教えてくれた。助かる。
「わかったわ。ソニアは手を出さないで。レベルを上げたいのよ」
「わかった。だが魔王様はどうする?」
「もちろん連れてくわ」
「・・・このままか?」
「当たり前じゃない」
俺を含めた全員が鉱山を《見上げる》
おいおい、嘘だろ?この山をうさぎとびで登れと?
なんだよお前ら。その同情の目付きは!
アリサに反対しないのか?!
「・・・行きましょうか」
「そうね、行きましょ」
「魔王様、これも修練だ」
「かける言葉がないけど、、、、その、頑張ってね」
くそが!やってやんよ!見てろよお前ら!
サリイは黙って俺の後ろからついてくる。落ちないように見張るつもりか。
なんだこのサリイの優しさは!泣きそうだ、男とか女とか考えてたのがバカらしくなる。
「はふー、はふー、はふー、はふー」
クレイゴーレムはなんなくアリサたちに倒される。ナタリーが両手のククリをクロスすれば、ゴーレムは4つに瞬時に分かれる。
苦労してるのは俺だけだ。暑い、喉が乾いた。
「(ご主人様、声を出さないで下さい)」
サリイはそっと猿轡をはずし、俺に水を飲ませる。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ
ぷはーとやる前に猿轡を噛まされた。
だが、アリサたちは気づかなかったようだ。
サリイは俺の顔を覗きこみ、
「(またあとでね、ご主人様!)」
まるで子供の菩薩と思えるくらい、究極の癒しの微笑みを浮かべる。
綺麗だ、、、、、すごく可愛い。
サリイの笑顔が輝いて見える。
もう、全てをサリイに捧げても良いとさえ思える。
サリイ、悩んだりして悪かった。
俺はお前を愛している!
「いるぞ、どうする?」
オリハルコンゴーレムがいると言う坑道にたどり着いた。
ゴーレムは高さが4mはあるくらいの、全身銀色の巨人だった。アレに殴られたら、俺たちでもただじゃすまないだろう。
「はふー、はふー、はふー、はふー」
「ムシ抜きでやるわ。ナタリー、大丈夫?」
「やりましょうアリサ」
「サリイ、行ける?」
「はいっ!待っててくださいね、ご主人様!」
サリイはゴーレムに走りながら装備を整え、
「やあああああ!」
盾を前に構えながら、剣を振り下ろした。
「キン!」
「・・・・・・を燃やしたまえ!ファイアーボール!」
ユリアのファイアーボールがゴーレムの顔面に命中するがゴーレムは身動ぎもしない。
「はあああああ!」
「・・・・・・を示せ!グラヴィティ!」
ナタリーが側面から斬りかかるのと同時に、アリサが重力でゴーレムの動きを制限する。
ナタリーの刃は弾かれ、グラヴィティは行動を遅くするもダメージにはまるでなってない。
10分はたったろうか、ゴーレムはほぼ無傷、こっちの四人は疲弊している。ユリアは魔力切れでへたり込んでる。
「魔王様、旗色が良くない」
俺はソニアを見る。
「妾が行こうか?」
俺は首を横に降る。
「そうか」
更に10分がたつ。
「もう無理だ、妾が行く」
俺はソニアの前に立ち上がり、種火で猿轡を切る。熱い!すぐに浄化で冷やす。
「アリサ!何してる!フォースウエポンだ!」
全員がこっちを向いたが、
「はい!フォースウエポン!」
「ナタリー!突き技を使え!」
「はい!・・・剣聖技!牙突!!」
ナタリーの両ククリはゴーレムの右肩に突き刺さり、ゴーレムの右腕が落ちる。
「ユリア!水はダイヤモンドも砕く!思いっきり細くした水だ!」
「・・・・・・を滅せよ!ウォーターアロー!」
無数の水の矢がオリハルコンゴーレムの膝にダメージを与えて、ゴーレムは膝を地面についた。
「アリサ!闇を使え!」
「!、アリサ=ローレンスが命ずる!―――――」
「サリイ!」
「はいっ!壁よおおおおお!守りたまえ!」
ガキイイイイイン!
詠唱を始めたアリサに、ゴーレムは左腕で高速でパンチを繰り出すが、サリイがアリサの前に出てパンチを受け止める。
「闇のグリモアよ!我が理を示せ!あああああ!砕け散れ!ダークフレア!」
テニスボールぐらいの黒い玉がゴーレムに飛んでいき、オリハルコンゴーレムの胸の中に吸い込まれるように入った。
「全員伏せろ!」
「魔法障壁!」
「壁よおお!」
ドガーーーーーン!
ゴーレムの体内に入った黒い玉は、ゴーレムの中から黒炎を肥大化させるがごとく、ゴーレムの身体を粉々に砕いた。
辺りを静けさが包む。
ソニア以外のみんなが俺を見る。
あっ、猿轡。
俺が唇を内側に入れて、何もしゃべってませんよ!って顔をすると、全員が一斉に駆けよってくる。
殴られると身構えたが、みんな俺に抱きついてきた。アリサとユリアは泣いている。
「やはり、私たちにはご主人様がいないと無理です」
「ありがとう、主様、、、、」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「どんなに強くなったって!どんなにレベルがあがったって!ボクたちにはご主人様がひつようなんです!!」
サリイ、、、、、、今回のことで俺の中のサリイは急上昇だ。本当可愛い!
「えっと、さて、じゃあ縄を」
「それとこれとは話が別よ!」
「えええええええ!今お前、ごめんなさいって」
「う、うるさいわね!今晩が終わるまで解きません!」
「・・・勘弁してくれよ、、、、、」
さすがに猿轡は燃やしてしまったし、勘弁してくれた。
みんなが俺の前に砕けたオリハルコンゴーレムを持ってくる。持ってきたオリハルコンを、俺は縛られたままで収納していく。ユリアは流石に無理なので俺のとなりに座っている。
「・・・なんか良いチームね。タクトの時はあまり考えなかったけど、盲目だったのかしら。こんなに笑顔はなかったわ」
「まあ、良い悪いは人それぞれだからな。まあ、気が向いたら言ってくれ。本格的にパーティーに入れてやるぞ」
「それは身体を預けろってことかしら?」
ユリアは久しぶりに笑顔を見せる。
「まあ、そういう意味じゃないんだが、双方の合意があればやぶさかでもない」
「ふふっ、ありがと」
なんだよ、ちゃんと可愛い顔出来るじゃねーか。
オリハルコンを集め終わり、下山するのだが、下りは本気で命に関わるとソニアが俺を担いで下ろしてくれた。
情けない、、、、、
そして、馬車に乗るんだが、、、、、、
ズルッ、ガン!
「あははははははははははは!」
今度は顎を打った。
「これだけは本気でかわいそうよ」
「魔王様、見てられん」
「アリサは本当にすごいです。これを見て笑えるのが素晴らしいです」
「・・・ナタリー、お前の感想が素晴らしいよ、、、、、」
・・・・・・・・・
「今日はサリイにお風呂を入れてもらいなさい」
カラディンまで帰りつき、きっちり城までうさぎとびをやらされて、今は与えられた自室にサリイといる。
サリイがゆっくり縄を解いてくれる。
「・・・・・・身体が動かねえ」
「大丈夫です、ご主人様。まずはお風呂に浸かってゆっくり身体をほぐします」
俺は歩くこともままならず、風呂場までサリイに抱き抱えられて、服を脱がされ、ゆっくり湯船にうかべられる。
サリイも一緒に湯船に入り、タオルを使って湯船の中で身体を優しくこすってくれる。
本当はマナー違反だが、このあとお湯を入れ換えて貰おう。今日は仕方ないだろ。
「痛くないですか?ご主人様」
「ああ、ありがとうなサリイ」
「いいんです」
サリイはタオルを離して、俺を小さな手でマッサージする。
「続きはベッドでマッサージしましょう、今日は丁寧にマッサージしないと後遺症が残ります」
「ああ、悪いな」
「ボクは嬉しいんです。こうしてご主人様のお世話が出来るのが」
サリイ、お前は天使か?
もうなんだか直視できないんだが。
風呂をあがっても、まだ立つことが精一杯で、サリイに肩を借りながら自室に戻る。
サリイはゆっくり俺をベッドにうつ伏せに寝かせる。
「ではマッサージしますね、ご主人様、楽にしてください」
「ありがとう、サリイ」
サリイは俺の足の爪先からゆっくり優しくマッサージしてくれる。
子供のような柔らかい、小さな手が俺を包み込むようにマッサージする。
それは次第に足首、太もも、腰、背中と全身を回る。
サリイの手は柔らかくて女みたいだ。いや体つきも女みたいだ。
髪もショートヘアって感じだし、声も女みたいだ。
いや、男とか女とかどうでもいいな。サリイには感謝だ。
「ご主人様、上を向いてください」
「ああ」
仰向けになると、俺の男が存在をアピールしている。
「っ!、、、、、ご主人様、、、、、」
「サリイ、、、、、、、」
「・・・・・・いいんですか、こんなボクでも」
「お前は天使のようだ。もういいんだ。お前が望むなら俺は―――――」
言葉の続きは、サリイの小鳥のようなその行為で止められてしまった。
「ボクは準備は出来てます。もう言葉は入りません。お願いします。ボクを本当の仲間にしてください」
「・・・バカ野郎!お前は俺たちの、俺の本当の仲間だ!」
俺はサリイの小さな背中に覆い被さった。
俺に見えない角度で、ニヤリと笑っているサリイと、俺の自室を2cmほど隙間をあけて、覗いている6つの目に気づかずに・・・・・・




