第四十六話
書き貯めが出来たので、短めですがもう1話アップさせていただきます。
「まさか、、、、、、お前、百合か?いつアリサと寝たんだ?」
「そんなわけあるかああ!」
「ぐはっ!」
俺はみぞおちに渾身のパンチを、アリサから食らった。
・・・・・・・・・
村に着くと、門番はすぐ俺たちの帰還を村中に知らせた。ダンジョン前にいたドワーフも駆けつけて来た。報告は終わってるらしい。
一応、長老の家に行き、ワイバーン討伐の報告をして、ワイバーンの死体を証拠として見せた。
長老や村のやつらはそれはもう大変な喜びようで、宴会にすると言われたが、急いでるからすぐに出発すると言った。
ちなみにあの目しいたババアは、おれのことをしつこく青き衣の人だと言ってきた。
いい加減にしろ。
村を出ようとすると長老は、少ないですがと金を渡してきたが断った。
家畜が消えて干からびそうな村からもらえねーよ。
大勢に見送られながら村を出発する。
・・・・・・・・・
サリイとナタリーが御者につき、俺、アリサ、ユリア、人狼女が馬車の中で会話をしてた。今はギガントムテムの首都カラディンに向かっている。魔界に行く準備のためだ。
何故アリサを勇者と呼ぶのかを聞くと、人狼女はアリサが六芒星を持ってるからだと言うので、冒頭の流れになった。
「ぐっ、、、、、冗談だろうが、、、、、大丈夫か?アリサ」
アリサは頭を抱えてうずくまっていた。奴隷紋が働いたんだろう。
「、、、、、っつ、自分が奴隷だってこと忘れてたわ」
「アホか。で、何故それを知ってる?人狼、、、、、あー、お前名前は?」
「妾はソニアと言う。簡単だ、グリモアを持っていたからだ。グリモアを持ってるのは勇者グリンダムただ一人。そしてグリンダムにあった六芒星ももっていた。ならばこやつは勇者の生まれ変わりか、子孫だろう」
「そういうことか、まあかすってるけど間違ってるな」
俺は理があればグリモアを使えること、グリモアは龍が保管してて簡単には持ち出せないこと、ユリアには火の理があることなどを、ユリアとソニアに説明した。
「なら、私もグリモアが使えるのね?」
「火だけな」
「それならそのファブニールって龍から貰いたいわ」
「簡単に言うなよ、アリサだって一歩間違えれば死んでた経験して貰ってるんだ。それに貰いたいって、代わりにお前は何を差し出すんだ?」
「っぐ、、、、、、、」
かわいそうだが、そんなのは当たり前だ。ユリアは強さを求めるあまり身勝手な考えになってる。
今は俺もファブニールと事を構えてまで、ユリアになんかしてやろうとは思えない。来栖の所に帰るかもしれないんだしな。
「で、ひょっとしたらソニアの話も正しいのかもしれないんだよ」
「どういうことだ?」
「アリサはそのグリンダムしか持ってなかったと言う印を持ってる」
ソニアはぐるっと首をアリサに向ける。
「なら六芒星が勇者の印で、グリモアは理を持つものなら誰でも使えると」
「そうだ。正確には魔力の理ってのをもつやつの証明が六芒星だ。そしてそれはグリンダムしか持ってなかった。だからグリンダムの生まれ変わりか、どっかで血が繋がってるかもってのは俺も考えてた。ここで一つ疑問がある。グリンダムは勇者なのか?異邦人なのか?」
「・・・人間どもが何を持って勇者と呼んでるのかはしらない。だが、魔族では勇者と言えば六芒星を持つ勇者グリンダムただ一人だ」
なるほど、職業がとか異邦人とかは関係ないんだな。昔はそうだったんだろ。今はいつの間にか異邦人=勇者と言われるようになっちまったってことか。
あ?待てよ?
「えっと、もしかして、、、、、」
アリサも俺と同じことが頭に浮かんだようだ。
アリサはニヤアといやらしい笑みを浮かべ、馬車の中のソファーの上に立ち上がった。
「そうよ、タカフミ。あなたじゃないの。残念ながら主人公は私だったみたいね!おーーーほっほっほっほっほ!あなたは脇役なのよ!わかったら私を差し置いて悪と戦うなんてことは、一切しないことね!おーーーほっほっほっほっほ!」
「・・・・・・・・・」
アリサは久しぶりに見るどや顔だ。
「そうか、ありがとうな、アリサ。じゃあ、俺は来た当初の予定通りスローライフを実現するとするかな。神うんぬんはお前に任せたよ、勇者様。パンピーの僕はテラーナにでも行って余生を過ごしますね」
アリサは顔を青くして冷や汗を滴だした。
「ち、ちょっとしたお茶目じゃない、なに言ってるのよ、、、、、」
「ダイジョウブデス、アトハオネガイシマスネ」
アリサはソファーから降りて、俺の目の前に膝にしなだれかかってくる。
「片言やめてよ!、、、ねぇ、冗談よ、そ、それに私はアナタの奴隷よ」
「奴隷の勇者とか、ラノベで出したら人気デマスネ」
「ちょっとぅ、もぅ、勘弁してよぅ」
アリサはしなをつくって、俺のご機嫌取りに来る。ザマーミロ。
「いちゃつくのはその辺でいいだろうか?」
「「あ、はい、すいません」」
見ろ、ソニアに怒られた。
「で、俺のことを終焉の使者って呼んだな?意味は分かる。ようは神を倒せるものとか鍵を使えるやつをそう呼ぶんだろ?だが、何でわかった?何故俺だと?」
「鍵を持つものは鍵を持つものがわかる」
「うん?」
「鍵を持つものは鍵を持つものがわかる」
「いや、聞こえてるから!、どういう意味だ?」
「そういう意味だ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
こいつ面倒くせえええええ!
性格が見えてきたな。
「あー、お前も体内に鍵を持ってると?」
「そうだ」
面倒くせえええええ!
はじめからそう言えよ!イラッとするな。
「じゃあよ、お前も終焉の使者じゃねーか!お前強いんだろ!お前が神倒せばよくね?!」
「出来ぬのだ」
「お前が出来ねーなら俺も出来ねーよ!」
「・・・怠惰の鍵を持ってるな?出してくれ」
おうおう、やる気になったかよ。
俺は鍵をアイテムボックスから取り出して、右手で山なりにソニアに投げる。
すると、、、、、ソニアは受け止めたが、バチッ!と音がして、怠惰の鍵とソニアの手から火花が発生して地面に落ちた。
あん?
俺は鍵を拾い、ソニアに差し出すと
「そういうことだ。鍵を体内に宿すものは他の鍵に触れることは出来ない。それが出来るのは終焉の使者のみだ」
「・・・・・・」
俺はナタリーに声かける。
「ナタリー、ちょっと手を貸してくれ」
「なんでしょうか?」
御者席と馬車内の通り道からナタリーが顔を出して、俺が怠惰の鍵を差し出すとナタリーは右手を出してきた。俺はナタリーの右手に鍵を置く。
バチッ!
「きゃ!」
ナタリーは咄嗟に手を引っ込め、自分の手をさする。
「ご主人様、痛いです、、、、」
「ありがとう、もういい」
「はい」
ナタリーは御者に戻った。痛いのか、あれ。
「・・・・・・じゃあ、何か?俺しか集められないと。でも俺は鍵がどこにあるかわからねーぞ?」
「妾はわかったが、使者が何故わからないのかはわからない」
「まあそれはいい。じゃあ、俺はお前とナタリーを殺して鍵を手に入れないといけないのか?」
そんなんだったら、やめだやめ。神もくそも知るか。
「実はそこだけが魔界でも判明していない。集めるとはその場にどんな形でも揃えばいいのか、水晶になってる状態で集めればいいのか、集めたことがないからわからないのだ」
いや、それはおかしい。人間が集められないならわかる。だが、ソニアは俺の何倍も強いんだろ?なら自分が持てないとしても手下とか引き連れて集めに行けよ。何故それをしない。
やる気がねーだけじゃ?
俺が怪訝な顔をしてると、
「言いたいことはわかる。龍にどれほど聞いてるかわからぬが、今一度説明する。まず魔族にしか鍵は適応しないのはわかるな?」
「ああ」
「更に、魔族なら適応はするが、鍵に取り込まれてしまうかどうかはわからない。もし取り込まれてしまったなら理性を失う。殺すしかない」
あっ、大体わかったわ。荷物もちも命懸けか。
「龍も知っていたみたいだが、鍵の伝承がはっきり残ってるのは魔界だけだ。それに神を倒そうとしてるのも魔族だけだ」
だから人間やらで集めたがるやつはいないと。
「じゃあ、怠惰を殺したがそいつは、、、」
「魔族だ」
見た目は思いっきり人間だったがな。そうか、魔族を殺したのか。
「ナタリーや俺は?」
「エルフも魔族だ。貴殿はわからん。終焉の使者としか言えん」
エルフも魔族なんかい!
「だが、エルフは自分━━━」
「そう、上手く人間の世界に溶け込んだ魔族なだけだ。それを人間の世界ではエルフと呼んでいるのだ」
まあ、元が人間なら全員が魔族とも言えるし、全員が人間とも言えるわな。要は魔力が高いやつが魔族なんじゃ?とか思っちまうな、いや、ナタリーは低かったか。
これは考えても答えが出なそうだ。
「だから人間どもは鍵を集めたがるものを魔王と呼ぶ」
一応線は繋がった。鍵に興味を示すのは魔族のみ。時にはその場で取り込まれて暴れたやつもいただろう、そいつも魔族。だから魔族は危険、黒水晶を集めたら魔王が復活する、だから魔族は魔王の復活のために黒水晶を求めてると、そういうふうに広まったんだろう。
もしくは神がそういうふうに噂を流したか。
「なるほどね、それで魔王の鍵か」
ソニアはいきなり難しい顔をする。
どうしたんだ?
「なんだよ、言いたいことがあるなら言えよ」
「妾もこれは言った方がいいのか、迷う」
「今さらよ、早く言いなさいよ」
アリサがせっつくと、
「うむ、、、、実は魔界も人間どもの言い方をすれば国だ」
「そうかもな、だから?」
「うん、なんだ、、、鍵を体内に宿すものは王候補になる」
「じゃあ?お前が王か?」
「次期とも言えるが、魔界に鍵は二つある。もう一つを宿しているその者が今は魔王だ」
「ああ、別にだからどうした」
「あっ!じゃあタカフミが魔界に行ったら王候補?」
あ、そういうこと?!
「いやいやアリサ、仮に候補でもならねーよ。ソニアもいるし、なる必要がない。あっ、俺の鍵が奪われる?」
「そうじゃない。鍵に選定されるかは命懸けだ。やろうとするものもほとんどいない」
「ならなんだよ、はっきりしねーな」
こいつ本当に面倒くせえ。
「うむ、元々は鍵を二つ持てたものが王なのだ。それがいないから片方を取り込めたものが王をしている」
「持てばいいじゃん」
「まさか、、、、、、」
アリサは目を見開いた。
そしてアリサは俺の顔をみる。なんだよ?
「アンタ、本当察しが悪いわね。鍵を持ったら取り込まれる、二つもったら弾かれる。ならすでに二つ持ってるアンタが魔界に行ったら?」
あっ、
「・・・・・・もしかして、俺、もう魔界の王?」
「うむ、魔王だ」
「「「・・・・・・」」」
「やっぱ本物の魔王の鍵じゃねーか!言われるとか言ってたくせに本物じゃねーか!しかもたった二個で魔王じゃねーか!」
「だが、人間の国にも王はいるだろう。ただそれと同じなだけだ。それに集めたら魔王が復活するわけではない、意味が違う」
「変わらねーよ!結局魔王だよ!どうなってんだよこれ!」
俺のスローライフどこに行ったんだよ、あのくそ女神め、好きにしろとか言ったくせに、何も好きにならねーじゃねーか。振り回されっぱなしだよ!
勇者ならまだともかく、何も悪いことしてないのに魔王にされちまってるよ!
「そう、硬く考えるな。魔界についたら盛大な歓迎が待っているぞ」
「それが嫌だってんだよ!」
アリサはなにやら真剣な表情で考えこんでいる。
「じゃあ大変ね、準備しないと」
「何の準備だよ、アリサ!」
「私たち後宮に入るのよ、もうハーレムじゃないの。準備しなきゃ」
「・・・・・・お前、神経の図太さだけは勇者クラスだな、、、、、」
「・・・私、ここにいていいのかしら、、、、」
ユリアの悲痛な心の呟きを馬車に乗せたまま、一行はカラディンに向けて進んでいく。




