第四十四話
「うおおおおおおおおお!」
「ああああああああああ!」
俺と来栖の力量はほぼ互角だ。だが俺のほうがわずかに押している。これならやれそうだ。
俺はステータスアップのバールを持って、さらにアリサから攻撃、防御の付与をもらっている。
来栖は幸いなことにレベルは一切あがってないし、強化も身体強化だけだ。
【ステータス】
名前 タクト=クルス 年齢 16
職業 勇者
LV 45
STR 512
DEX 498
VIT 547
SPD 600
INT 450
MEN 502
スキル
言語理解
剣術lv5 聖剣術lv5
神聖魔法lv5 魔力強化lv2 身体強化lv3
限界突破 熾天使降臨
アイテムボックス
【ステータス】
名前 タカフミ=コンドー 年齢 20
職業 終焉のハードボイルド
LV 1
STR 531
DEX 725
VIT 589
SPD 578
INT 936
MEN 925
スキル
言語理解
杖術lv3
召喚魔法lv4 生活魔法 魔力強化lv5 魔力操作lv5
鑑定 アイテムボックス 詠唱破棄 並列魔法 運命
成長促進 気配探知lv4 魔力探知lv3 錬金lv5 練成
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剣とバールでは押し切るのに時間がかかると思い、俺は瞬間の隙をつき、来栖の肩に一撃いれると距離を取る。
コニーは即座に回復魔法を入れる。
こりゃ、殺さないようにってのは虫が良すぎるかもな。
「まさか先輩、勝てると思ってるわけじゃないでしょうね?」
「さあな、だがてめえにはちょっとお仕置きが必要だな」
「フハハ、ならその希望を取り去って上げますよ。聖剣よおおおおお!!!」
来栖は剣を天に掲げるように突き上げると、剣からは巨大な光が光線のように立ち上がる。
まるで、天にビームを打ち込んでるようだ。
一瞬遅れて、来栖から膨大な威圧感とと共に、衝撃波と爆風がやってくる。
「魔法障壁!」
「みんなを守りたまえ!」
アリサとサリイが透明な壁を張り、衝撃波から身を守った。
「お前ら手を出すなよ」
「アンタがやれそうなら黙ってみててあげるわ」
「へーへー、アリサさんは余裕なこって」
だが、俺は額に冷や汗があふれ出した。あれはやべえよ。
【聖剣 グリンヒルド】
剣 聖剣解放 神気降臨 全能力+50%
【聖剣解放】
聖剣グリンヒルドの真の力を呼びさます
【神気降臨】
神の気を受け取る。
無限の魔力とスタミナを得る。
はは、笑えるくらいの剣だ。俺のバールの上位互換でさらにスキルで、魔法もスタミナも疲れ知らずかよ。
こりゃ本気でやべえかな。
「覚悟はできましたか?先輩」
「ははは、謝ったら許してくれる?」
「その余裕が、気に入らないんですよ!!!!」
来栖はまっすぐ、遠くから俺に向かって剣を振り下ろした。
来栖の剣を振ると、地面からまるでサメの背びれが海から出るように、地面を白い斬撃が走ってくる。
俺はそれを右に飛び避けると、来栖は剣を上段に構えて、弾丸のように突撃してきた。
俺は咄嗟にバールで剣を受けると、勢いを殺せず地面に押し倒される。
だがその勢いを利用して、巴投げの要領で来栖を空に蹴りあげた。
「うおおおい!!」
空高く舞い上がった来栖は、遠目にだがニヤアっと笑った気がする。
来栖は空中で居合い切りのように、聖剣を腰に構えた。
その瞬間、俺の背中がぞわっとした。あれはヤバイ!!!
「あああああ!聖剣閃!!!」
「・・・・クリムゾン、スフィアア!」
俺は寝転がったまま、バールを来栖に向かって突き向け、両手に魔法陣を発生させバールの先から火球を出す。
白い力の象徴と、全てを焼き尽くす熱量を持った赤球が空中でぶつかり合う。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
ありえない衝撃が辺りを襲う。
俺は防御技はないが、可能な限り魔力を込めてその魔力で衝撃波を防ぐ。
しかし、俺は地面を地を這うような高さで吹っ飛ぶ。
「「ご主人様!!」」
「旦那様!!」
魔力を盾のようにしてみたのが功を奏して、ギリギリ四肢を失わずには済んだが、全身傷だらけだ。
全員が俺に駆け寄ってきて、ナタリーが持っていた上級ポーションを俺にぶっ掛けてきた。
傷はみるみる治っていくが、、、、失われた体力と血までは補えない。
俺は来栖を探して、辺りを見渡す。
なんと、来栖は無傷で俺が倒れていた位置にコニーと立っている。
「ばかな、、、、、、無傷はねえだろ、、、、」
「コニーよ。空間のグリモアで勇者を守ったみたい」
「そうか、、、、」
俺は立ち上がり、来栖に向かいあう。
「そろそろ限界ね」
「ご主人様、私たちにも戦う許可を!!」
「ボクがご主人様を守ります!!」
俺は3人の顔を見る。思えば俺が苦戦するのは初めてか。
初めはヤレればいいと思って買った奴隷たちだが、今はもう失いたくない。俺の命よりも。
悪くなかった。楽しかったよ。俺は一度死んだ身だ、後悔はない。
「ヴィーブル、4人を龍神の城へ」
『かしこまりました』
「ちょっと、なにをいーーーーー」
ヴィーブルの転移は本当に前触れもなんもねえ。アリサの最後の言葉も聞けなかったじゃねーか。
まあ、今回ばかりはそれで助かった。
「覚悟が出来たんですか」
「ああ、お前を殺す覚悟がな」
「どこまでもふざけていますね」
「なあ、お前何個の鍵を集めたんだ?」
「いいでしょう、もう死ぬのですからね。残念ながら、獣人の国にあった1個だけしか集まってません。ですが、1個でも持ってれば先輩は全部を集められないし、慌てなくても先輩が集めてくれそうでしたからね。さて、先輩はいくつ持ってるのやら」
「俺も教えてやるよ、俺の体内に1個、アイテムボックスに1個。もう1個は今どっかにいっちまった」
「・・・・・・・・・ほかにも魔王の鍵に取り込まれてる人が、、、、、やってくれましたね」
「お前と同じ作戦さ、お前が俺を殺しても全部はあつまらねーぞ」
「まさか、そんな手で命乞いをする気ですか?」
「そんなせこいまねするかよ、ただユリアにお前ら2人を殺すところを見せるわけにはいかなかっただけさ」
「先輩の奥の手ですか、いいですよ、冥土の土産に見てあげますよ」
「後悔するなよ!!!」
俺は全魔力を使うつもりで、両手に魔力を込める。この辺はダンジョンの入り口ぐらいだ、ファブニールは生き埋めか、かわいそうだがガマンしてもらおう。
来栖は余裕の表情で、俺を離れてみている。
「うおおおおおおおあああああああああ!!!!」
「行くぞ!!!右手に種火!!!、左手にかまど!!!!あああああっ!!!れん、せええええええ!!!」
俺の両手に魔法陣が浮かび、俺の周りの大気が震える。地面は揺れ、小さな岩や石が宙に浮かび上がる。
両手を頭上で、バスケットボールを掴むように魔力を練成する。
来栖とコニーは余裕の表情だ。
「笑えるなら笑ってみろ!!!!、ああああああっ、いっけええええ!!メテオレイン!!!」
火と土を練成した魔力は俺の両手の間から空に魔力を突き上げる。
すると、直径2mほどの燃え盛る岩石が大気圏から降りそそぐ。
圧倒的、絶対的な破壊だ。これが来栖に着弾すれば俺も無事じゃ済まないだろう。
だが、もういい。こいつを殺さないとナタリーが死ぬ。ナタリーを守るためにみんな死ぬ。
なら、、、、、、俺が相打ちでいい。
真っ赤な隕石が地上に降り注ぐ。来栖を中心として直径一キロだ。にげようがないだろ。
あばよ、異世界。
「さすが魔王ですね、周囲の街まで滅ぼす気ですか?」
「コニーが命ずる。空間のグリモアよ、理を示せ。アナザーディメンジョン」
コニーが詠唱を唱えると、直径1キロの空間が隕石を一つ残らず吸い込んでいく。
まるで、巨大なアイテムボックスだ。
「・・・・異次元に送りました」
「・・・・・ばかな、、、、ぐはっ!!!!」
俺は来栖に右脚を聖剣で刺された。
「僕は世界を救いましたね。少なくともザバイルは滅んでいたでしょうから」
「ぐあ!!」
今度は左脚を刺される。
どぼどぼと血が噴出す。
俺はポーション樽をアイテムボックスから出そうとしたが、やめた。
どうせさせてもらえないし、何しても勝てないだろう。
「さようなら、先輩」
来栖が剣を振りかぶり、俺の胸向かって突き入れてきた。
俺は目を瞑り、死を受け入れた。
・・・・・・ん?
『諦めるのか?』
目を開けると、全てが止まっていた。来栖もコニーも聖剣も全てが止まっている。
来栖の聖剣は、俺の心臓10cm手前で止まっている。
なんだこれは、、、、、まるで、、、、時が止まってるような、、、、、
『諦めるのか?』
何か、声が聞こえる。
『なら、交代だ。我が貴様を食らう時が来た』
「・・・・お前、強欲か?」
『左様、我が強欲だ。貴様は生を諦めた。我はすべてを諦めん。この世の全ては我のものだがらな』
「・・・お前が時間を止めてるのか?」
『そんなことはしてない、貴様がそう感じているだけだ。さあ身体を渡せ』
「待て、、、俺は助かるのか?」
『助かる?何を言っている。まだ死んでないではないか』
「無理だ、こいつは強いんだよ、、、、もう死ぬしかねーんだよ」
『強い?この程度で?貴様、我は神を殺すために存在してるのだぞ?この程度のやつに負けるわけがない』
「お前は見てないから言うんだよ」
『見ていたぞ、貴様の情けない姿もな』
・・・・・・・見てていってる?勝てるのか?どうやって?身体を渡せばいいのか?
『まあ、多少また眠りに着くことにはなるがな。3分もあれば十分だ』
「・・・・・どういうことだ?」
『我は強欲。全てを自分のほしいままに塗り替える。最強の鍵だ』
「・・・・・・・・・・まだ俺にもチャンスはあるか?」
『なんだ、まだ欲してるのか?強欲だな』
「てめえに言われたく、、、、いや、そうだ。まだ欲してる。まだ生きたい。まだあいつらを幸せにしてやりたい。まだ、まだ、まだ俺にはやりたいことが山ほどある!!!だから、強欲!!!てめえに力があるならそれを寄越せ!!!!」
『・・・・・ふん、やはり我が見たとおり、呆れるくらいの強欲だ。良かろう、3分だけだ。なんとかしろ』
「なんとかって」
そういわれると、時の刹那の間に全てを理解する。
俺の意識は戻り、聖剣を《素手》で掴んだ。
「なっ!」
来栖はびっくりして後ろに飛びのいた。
「・・・・・まさかまだ剣を掴む気概があるとは。びっくりしましたよ。どうしました?何か言い残すことが?」
「ああ、やっぱり死ぬのはやめたわ。お前が死ねよ」
「・・・・狂いましたか?」
「そう思うならやってみな」
来栖は首を傾げたが、不気味なものを見るように、しかしまったく油断しないで俺に剣を突き刺してきた。
「僕はうさぎにも全力ですよ!!!!」
「そうかよ」
俺は来栖の聖剣の切っ先を手のひらで止めた。
来栖は驚いてまた後ろへ飛んだ。
「ど、どういう、、、、、」
「わりい、俺も隠しだまだ」
「「ご主人様!!」」
「「タカフミ!」」
アリサ、ナタリー、サリイ、ユリアが転移で現れた。そうか、ユリアも転移があったな。
俺は自分を鑑定する。
【ステータス】
名前 タカフミ=コンドー 年齢 20
職業 終焉のハードボイルド
LV 1
STR 531
DEX 725
VIT 589
SPD 578
INT 936
MEN 925
スキル
言語理解
杖術lv3
召喚魔法lv4 生活魔法 魔力強化lv5 魔力操作lv5
鑑定 アイテムボックス 詠唱破棄 並列魔法 運命
成長促進 気配探知lv4 魔力探知lv3 錬金lv5 練成
終焉の理
【終焉の理】
全ての法則を捻じ曲げる究極の破壊
強欲と一体化することにより得る
もう理解してるが、確認してみるとこれこそチートだ。でも逆にこれで本当に強欲と一体化したってことか。
「待ってろ、ユリア。てめえのご主人様の目を覚まさせてやるよ」
「ご、ご主人様じゃないわよ!!!」
俺は来栖に目を向けると、
「タクト様。アレは危険です。下がりましょう」
「下がる?コニー何を言ってるんだ?」
「タクト様!!」
俺は来栖に近づき、聖剣を切っ先から手でバキバキに細切れに折った。
「!!!!!なっ!」
来栖が目を見開き、俺を見つめてきたので、
「ぶあっ!!!」
俺は来栖の頬をぶん殴った。
「来栖、お仕置きの時間だ。覚悟はいいか?」
来栖は頬を押さえ、
「どうなってる!!コニー、なんだこれは!!」
「さがりますよ、タクト様」
「さがらせねーよ!!!」
「ぐはっ!!」
俺は来栖のみぞおちをつま先で蹴り上げた。来栖はくの字におれまがり胃の中のものを吐き出した。
「来栖、鍵をよこせ。そうすれば助けてやる」
「おまえはあああああ!!!!!」
来栖は両手をクロスして、真っ白に輝く。
「神聖奥義!!!天翔波!!!!!」
白く輝く絶望的な力量を持つ魔法が、俺を焼き尽くそうとするが、
「力の法則を曲げちまうか」
俺は片手を突き出し、法則をねじまげて光線魔法を、回復魔法にしてやった。
俺を、来栖が放った白い光が包み込む。
「・・・・・・・・なにが、、、、、」
「ありがとうな、来栖。回復してくれて」
来栖はよた、よたっと後ろに後ずさる。コニーが口を開く。
「悪魔め。必ず神罰がくだるだろう」
と聞いたと思った瞬間にコニーと来栖は消えてしまった。転移か。
「待って!!タクト!!」
ユリアは2人が消えてしまった空間を掴むように手を差し伸べる。
そして、ゆっくり手を下ろした。
また、ユリアは涙を流した。
「どうなってるの?何したのよ?」
「あー、強欲の力が目覚めた。というより本当に強欲と一体化したみたいだ」
「ご主人様、その、大丈夫なんですか?」
「ああ、大丈夫だ」
すると、ふっと俺の身体の中から、終焉の理の力が終わりをつげた。
「いた、、イタイタイタイタイタイタイタイタイタイ!!」
「旦那様!!」
「「ご主人様!!!」」
強欲が言っていた3分が過ぎると、俺の身体の体中に激痛が走った。ナタリーはあわてて上級ポーションをぶっかけるが、まったく痛みが引かない。一体どこが痛いのかさえわからなくなった。
俺の痛みは30分続いたのだが、30分間俺は3人と失意の女1人に心配されながら、地べたに痛みで、もんどりうっていた。




