第四十話
昨日はちょっと寝不足だ。
サリイがもじもじ動いてるので、なかなか寝つけなかった。
皆で朝飯を食う。今日はマジモードだ。
「今日から戦闘が続くぞ、皆気を付けろよ」
「はいっ!」
「お任せください、ご主人様」
「アンタこそ大丈夫なの?」
「俺は大丈夫だ!」
俺が少し声を張り上げると、
「うるさいわね、大丈夫ならいいのよ。布陣はいつも通り?」
「ああ、サリイが一番前でナタリーは遊撃、俺とアリサが後衛だ」
「いつも通り、私たちがメインで動きますか?」
「いや、どのくらいきついかわからないが、噂では冒険者が何度も全滅するくらいだ、俺も戦う。
サリイ、あまり左右には動くな。魔法が当たる可能性がある」
「はいっ!」
「もちろん危ないときは左右にも動け。ナタリー、ナタリーはなるべく俺とアリサを視界に入る位置で動け」
「かしこまりました、ご主人様」
「アリサも広範囲魔法じゃなく、単体魔法でな?」
「あまりないのよね、まあいざとなったら杖で殴るわ」
朝食が終わり、後片付けをして山に登り始める。
ゴマ吉も今日は小さくならずに10mサイズで俺たちについてくる。意外と速い、歩行速度は落とさなくて大丈夫そうだ。
一時間ぐらい登ったろうか、
「居るな、右30度だ。こっちに気づいてるぞ」
全員武器を手に取り、構える。
「ヴホオオオ」
ドンドンドンドン
ゴリラだ。ゴリラは胸をドンドンと叩いている。
【ウォブリゴリラ】
Bランク lv33
まあまあだ、腕ならしにちょうどいい。
「いけ、サリイ!」
「はいっ!」
サリイが盾を前面に出しつつ、剣を構えて突っ込む。同時にナタリーは右に大きくジャンプして、三角蹴りの要領でウォブリゴリラに向かって剣を突き立てる。
「やああ!」
サリイの袈裟斬りに切りつけた剣がゴリラの胸を切り裂き、ナタリーが一撃でゴリラの首を落とした。
あれ?
二人は俺に振り返り、
「「ご主人様、、、、、」」
あまりにも弱かったので、サリイとナタリーも拍子抜けという感じだ。俺とアリサも同じ気持ちだ。
「たいしたことないわね」
「おかしいな、Bランクだぞ?大狼がAランクだから、そこそこ強いはずだが、、、、、」
「当分は私とサリイで進んでみますね?」
「わかった、頼む」
・・・・・・
戦闘開始から三時間はたった。今は三合目ってとこか?下を見下ろすことも出来はじめたとこだ。
「ちょっと休憩しよう」
コップとコーラを出して休憩をする。
「どのくらい倒したの?」
「そうだな、30ぐらいか?」
魔物は、ウォブリゴリラがメインでマウンテンバード、山マンティスってかまきり、レッドクロウという大きめな赤いからす、それと巨体に首が2つついたエティンなどだ。
どれもBランクだったが、ほとんどをサリイとナタリーで処理をした。木の上から襲ってきたレッドクロウをアリサが仕留めたり、ゴマ吉が木を登り仕留めたりしたくらいだ。俺は結局なにもしてない。
「冒険者が何人も全滅するとは思えないのですが?」
「いや、ナタリーとサリイは、今ではエスカードにいたあのランスロットの3倍くらいのステータスだ。ランスロットもあの当時は負ける気まではしなかったが、かなり強い方だった。もう普通の冒険者とは比べられないだろう」
「そうね、強くなったわね」
「ああ、お前ら今から俺の奴隷を辞めて冒険者になっても、多分一流としてやってけるよ」
「辞めませんよ?」
「例えだ例え」
「ご主人様、ありがとうございます!」
サリイが急に礼を言って90度頭を下げてきた。
「あん?」
「ボクは本当になにも出来ないただの奴隷でした。あの時ご主人様に買ってもらわなかったら、鉱山に送られるか、貴族の憂さ晴らし用として売られるだけだったと思います。強くもなれずに多分早く死んだと思います!だから、本当にありがとうございました!」
サリイはまた頭を下げた。
「そうね、普通ではこんなに強くなれないもの。それこそ何十年と修行してきた騎士を、軽々抜いてしまうくらいの力をわずか約2カ月で得られたのよ?あの時、勇気を出して旦那様に声をかけて本当に良かった。ありがとう」
アリサも頭をさげた。
「なら、私はアリサにお礼を言わないと行けませんね?アリサ、ご主人様を奴隷商に呼んでくれてありがとう。それにご主人様、私を選んでいただいてありがとうございました、私の傷を治して頂いてありがとうございました。私の━━━」
「待て待てお前ら、まだ山のなかだぞ?気を抜くな。それにこういうのを死亡フラグって言うんだよ、まだ始まってもいないんだ。ほら立て、行くぞ!」
まったく、、、、、いきなりしんみりさせやがって。俺のが礼を言いたいってんだよ。
気を取り直して、山を再び登り出す。
更に二時間ほど山を登ると、、、、、
「ちょっと気を付けろ、囲まれてるぞ」
「わかったわ」
アリサがグリモアを手に取ると、サリイの正面に魔物が現れた。でけえ。
まるで小さな恐竜みたいだ。
馬より一回り大きな身体を地を這うように移動してくるとかげだ。尻尾まで入れたら7,8mあるぞ。
【アースリザード】
Aランク lv51
「ご主人様、まさかこれに囲まれてるので?」
「多分そうだ、皆!視界を広くもてよ!行けサリイ!」
「はいっ!」
『グアアアアア!』
サリイが突撃すると、トカゲは大きな咆哮をあげてサリイを迎えうつ。初めのゴリラと同じように、ナタリーが三角蹴りをしてトカゲの首を落としにかかるが、
ズザッ!
ナタリーのククリを弾き返しはしなかったが、アースリザードの鱗はかなり固く、うっすら筋を入れただけで刃が通らない。同時にナタリーをアースリザードの尻尾が襲う。
ナタリーは上に飛び退き、俺のとなりまで来た。
「ご主人様、剣が通じません」
「任せろ!」
俺は種火を細くして、ファイアーアローをリザードの首に発射すると、刺さりは刺さったが黒く焦げをつけただけで、ダメージと言えるほどではなさそうだ。サリイはアースリザードの噛みつきを盾で防ぎつつ、剣で攻撃してるけどやはりダメージは与えてない。
「ナタリー行って! アリサ=ローレンスが命ずる、付与のグリモアよ、理を示して!フォースウェポン!」
「まだよ!・・・・・・ディバインオーラ!っと、・・・・・・アグレッシブオーラ!」
アリサの号令と同時に走り出してたナタリーに、ナタリーの武器に付与魔法をかけた。さらにパーティー全体に攻撃と防御の付与をかける。更にサリイの武器にも付与をかける。
「はあああああ!」
ナタリーがアースリザードを襲うと、またアースリザードは尻尾でナタリーを迎撃してくるが、
ザシュ!
ナタリーは尻尾を切り落とした。
「っ!行けます!」
ナタリーが踊るようにリザードを切り刻む。
『グギャアアアアアアア』
「止めっ!やあああああ!」
ザシュ!
アースリザードがナタリーに気を取られてる隙に、サリイがアースリザードの首を切り落とした。
「やりました!」
「まだだ!次が来るぞ!」
アリサの横から新しいアースリザードがやって来た。
ナタリーは、早くも反応して、対応する。
俺の脇からも、アースリザードが顔を出した。俺もバールを取り出してアースリザードと対峙する。
「フォースウェポン!」
付与魔法届き、アースリザードにバールを突き刺す。
するとゴマ吉が、アースリザードに巻き付いていった。
『グギャ、グギギギ、ギギ、ギ、ギ、ギ』
アースリザードは、ゴマ吉に首に巻き付かれると肥えにならない断末魔をあげた。どうやら窒息したようだ。
そこからは次々とアースリザードが現れた。
「はああ!」
「やああ!」
「グラヴィティ!」
「おおおお!」
数十分たった。
回りには10以上のアースリザードの死体が詰み上がるが、敵が少なくならない。探知してみると、、、、、、まだ20はいるぞ!
「切りがないわ!」
サリイとナタリーもかなり疲弊しているようだ。俺が疲れてるくらいだ、あの二人は相当だろう。
「アリサ!全力でレビテーションだ!」
「了解! アリサ=ローレンスが命ずる、重力のグリモアよ、理を示せ! はあああああああああっレビテーション!!!!」
アリサが魔力を込めてレビテーションすると、四人と一匹は空高く浮かび上がった。
「わっ!」
「ご主人様、アリサ!」
「俺に任せろ! 右手に水、左に風!錬せえええええ!アブソリュート、ゼロオオオオオ!」
俺は絶対零度の冷気を、両手から竜巻のように地上に向かって吹き付ける。
ビューーーーーッ、、、
数分立ち、アブソリュートゼロを止めて、様子を見る。
「すごいわね、動いてるの魔物はいないわ」
「まだだ、ファブニールの時のようにひょうめんだけかもしれない」
アリサがゆっくり地上に下ろすと、アースリザードの氷像がいくつも出来上がっていた。俺がリザードの頭をバールでコンと叩くと、アースリザードは首からポッキリ折れた。
「すごいです、芯まで凍ってますね」
「すごいです!」
「念のため、全てのトカゲの首を折って回ってくれ」
「「「はい」」」
みんなは首を折って回る。ゴマ吉は爬虫類なのに平気で動いている。おかしい、変温動物じゃないのか?また異世界効果か。
みんなが首を折って回っていると、ゴマ吉の様子がおかしい。
とぐろを巻き、ぶるぶる震えている。
やっぱり!蛇が寒さに強いわけないんだよ!
「ゴマ!大丈夫か!?」
俺が両手に種火を出してゴマ吉を暖めてやろうとすると、ゴマ吉は辺りを照らすほど発光しだした。
みんな俺の声でこっちを見ていたが、あまりの光の強さに手で目を覆う。
発光が収まると、、、、、、、
「・・・・・・ゴマ吉?」
ゴマ吉の身体は更に巨大になり、背中には翼が、、、、、
体長はぱっと見ではわからないが50mはあるか?胴回りだって馬の胴体より太そうだし、翼だって、目一杯広げたら20mぐらいありそうだ。
【ステータス】
名前 ゴマキチ 年齢 2
職業 暗殺者
LV 31
STR 856
DEX 1012
VIT 760
SPD 1241
INT 695
MEN 683
スキル
罠探知lv5 気配消去lv5 獣神術lv1
言語理解 擬態
詠唱破棄 脱皮
な、なんだこりゃ。いきなりスゲー強くなった。
多分だが、レベルが上がったことで脱皮の効果の進化をしたんだろうが、それでも一気に強くなりすぎだろ。
【獣神術lv1】
神格化することにより、獣術が昇華した術
獣術も使用可能
【擬態】
任意の姿に擬態することが出来る
神格化って、、、、、
確かに見た目はこりゃ、あれだな。
巨大な大蛇に翼が生えた、ケツアルコアトルにそっくりだ。
真っ黒な身体に、白い翼だけど。
たしかケツアルコアトルってどっかの国では神だったよな?
アリサたちもポカーンとしている。
「・・・・・・ずいぶんでっかくなったな、ゴマ、、、、」
『そのようだ、主。妾もこうなるとは』
「え?妾?」
『え?』
「え?」
『「ええええええええええ!」』
「「「ええええええええええ!」」」
・・・・・・・・・
『妾は嬉しいぞ、やっと主と話せる』
「俺は理解が追い付かねーよ、、、、、」
ゴマ吉は、今は1mの普通の蛇の姿になって、テーブルの上にいる。
凍りついた首だけがないアースリザードを、20体ほどアイテムボックスにしまい、夜営の準備をして辺りに焚き火をあちこちにする。寒いからだ。
「ねえ、任意の姿になれるんでしょ?人型にはなれないの?」
『やってみたが、無理なようだ。妾も試したのだが』
「では、蛇か翼がある蛇の大小しか無理ということですか?」
『そのようだの』
「ボクは獣神術が気になります!」
『まだ使えることは少ないが、飛ぶこととこのくらいなら出来る』
すると、ゴマ吉は口をガパッと開けると、30cmほどの炎を吐いた。
「「「「おお!」」」」
俺はタバコを出して、その炎でタバコに火をつけた。
『妾はライターではないのだが』
「ははっ、ありがとな。しかしゴマ吉とこんなやりとり出来るようになるとは」
『妾もだ。主、ありがとう』
アリサはアースリザードを解凍して、肉を焼きだした。
「ゴマ吉は焼いた肉でいいのかしら?」
『妾は自分で取るのでかまわない。狩りが出来ないときだけ頼む』
「危なくないか?」
「妾も蛇だ。自分より強いか弱いかは対峙すればわかる」
さすがたな。しかし、今となってはまさか俺が一番弱いんじゃ?
【ステータス】
名前 タカフミ=コンドー 年齢 20
職業 ハードボイルド
LV 30 ★
STR 531
DEX 725
VIT 589
SPD 578
INT 936
MEN 925
スキル
言語理解
杖術lv3
召喚魔法lv4 生活魔法 魔力強化lv5 魔力操作lv5
鑑定 アイテムボックス 詠唱破棄 並列魔法
成長促進 気配探知lv4 魔力探知lv3 錬金lv5 練成
????????????
【ステータス】
名前 アリサ=ローレンス 年齢 15
職業 娼婦
LV 30 ★
STR 308
DEX 560
VIT 311
SPD 558
INT 653
MEN 675
スキル
重力魔法lv1 闇魔法lv1 付与魔法lv4 空間魔法lv1 風魔法lv5
魔力強化lv5 魔力操作lv4 簡易鑑定 魔力の理
【ステータス】
名前 ナターシャ=フォレストウルフ 年齢 48
職業 踊り子
LV 50 ★
STR 951
DEX 898
VIT 475
SPD 932
INT 424
MEN 701
スキル
二刀流lv5 身体強化lv5 忍耐lv3
魔力操作lv4
????????????
【ステータス】
名前 サリイ 年齢 12
職業 騎士
LV 50 ★
STR 900
DEX 845
VIT 988
SPD 675
INT 399
MEN 651
スキル
剣術lv5 盾術lv5 頑強lv5 解体lv2
魔力操作lv3
うん、ギリギリだ。下から二番目だな。
みんなレベルがキャップになった。
俺が魔法、ナタリーは速度剣士、サリイは盾剣士って感じだな。
こんなに強くなったのに、いまだに魔物は楽じゃないやつもたくさんいるし、かなわないやつもいる。
ゴマ吉もステータスを見る限り、一人で勝つのは無理だろう。
人間は一人一人が弱く、魔物には集団で立ち向かわないと勝てないっていう縮図だな。
やはり、龍神王にレベルを何とかしてもらわんと、この世界を生きていくのに危険だ。
アリサが作った料理が並ぶ。
ゴマ吉は大きさはそのまま、翼を生やして俺の肩まで飛んで来た。
ポトフのような、トカゲの肉の野菜煮込みだ。
飯が終わると今日は風呂を入れた。俺のお湯はりも、もう手慣れたもんだ。あの時錬金術を頑張って本当に良かった。錬金術で錬成を得たからこんなに風呂が楽になった。
蒸し返すのが嫌なので、全員の身体を洗ってやり風呂ににつかる。
「明日は頂上までいけるかしら?」
「今五合目は越えてるから、頂上にはつくかもな」
「ですが、龍神王は頂上にいるのでしょうか?」
「わからん、あの時のトカゲ女の話だと来いって言ってたくらいだ、なにかしら目印あるだろ」
軽く話をしたあと、今日は少し寝不足なこともあり、ベッドは各自のベッドに寝た。もちろん見張りはゴマ吉で。




