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召喚術士の冒険記  作者: 壬生方 社箱
第二章 ザバイル編
35/64

第三十三話 ※



朝起きると、ファブニールはもう起きていた。

アリサたちはまだ寝ている。昨日はかなり飲んだからな。



「起きてたのか」


『今起きたとこだ、ここからすぐオヤジのとこにいくのか?」


「俺はとりあえずギガントムテムに行ってから龍神王に会いに行こうと思ってる」


ファブニールは少し考えこむような顔をして、


『てめえは、この世界のことをどのくらい知ってる?例えば魔族と人間が敵対してる理由はわかるか?』


んー、大体物語だとそういうもんだけど、究極のことを言ったら魔族が人間を食うとかじゃないかぎりは、怨念か誤解しかないよな。


「魔族は人間を食うのか?」


『うはは、本当に面白えこと言うな。そこに目をつけやがったか。食わねえ、魔族も人間と同じような食事をする』


「それなら、究極な話をしたら殺しあわなくても生きれるってことだな」


『それはてめえで見て判断しろ。他人がどうこう言っても見え方は変わるもんだ』


俺が少し黙ってると、


『おめえも鍵を集めるのか?』


鍵?ああ、黒水晶か。


「そこもわかんねーんだよな。来栖は、ああー勇者は必ず魔王の鍵を封印か破壊する、それが使命だと言ってたが、なんか昨日のファブニールの感じが《魔王=絶対悪》って感じには見えなかったんだよな。強欲がファブニールを食いに来たのか?って話はあったけど、ナタリーに憤怒が入ってるのはわかってたはずなのに、あえて触れてこなかった。魔王を復活させるのが悪なら鍵が2つも集まってる俺たちを生かしとくわけないもんな。それも教えてくんねーの?」


ファブニールはあごに手を当てて、考え込んだ。

結構長く考えて、ゆっくり発言する。


『てめえにとって悪とはなんだ?』


「そんなのは沢山あるだろ。例えば盗賊は人を殺して色々奪う、奪われたほうから見れば当然悪だ。だが盗賊仲間から言わせたら、自分たちを養う家族みたいなもんだよな。小さく言ったらこうだけど、国の戦争でも同じだろ。善も悪も見る方向が変われば、何通りでもあるだろ」


ファブニールは俺の答えが納得できたのか、笑顔で俺の肩をパンパンと叩いた。

『その通りだ。なら魔王を悪と見たのは誰で、悪と見ないのは誰かってことだ。それはてめえで見つけな』


「ちなみに、俺やナタリー、黒水晶を持った人間を殺したら、それは消滅するのか?」


『正確には違う。鍵は記憶を持った意思だ、意思は殺せん。例えば強欲が乗っ取った肉体を滅ぼしても強欲が消滅することにはならねえ』


「じゃあ魔王を滅ぼすのは無理じゃねーか」


『まあそうだな』


どういうことだ?色々不明点が多過ぎて、話がこんがらがる。


「待て、、、、ちょっとおかしい。俺は魔王の鍵と言う名の黒水晶を集めたらどこかにいる魔王が復活するんだと勝手に思い込んでいた。だが鍵が不滅なら、、、、、いや水晶、、、水晶の形をしてたぞ。水晶がどうやっても壊せないなんてあるか?、、、、、それはないな。じゃあ鍵って水晶は関係ないってことだ。、、、、、、、、、、」


俺は頭を整理しようとしてるが、情報が足りなすぎて答えがだせない。だが仮説は立つ。


「上手く説明できないが、たぶんこれが答えだ。鍵を集めると魔王が復活するんじゃない。鍵を集めた奴を魔王と呼ぶのか」


『馬鹿じゃねえみたいだな。そうだ、どこかに魔王など眠ってない。魔王はいねえ』


「じゃあ、、、来栖は、勇者は誰の言葉を、何を信じて行動してる?、、、、いやいやこれもおかしい。勇者に鍵を集めさせたのは神だ。、、、あいつは集めて封印か破壊すると言ってたが、破壊してしまったら封印できねーじゃねーか。でも鍵を集めたら魔王と呼ばれる。、、、、勇者が?、、、、、、神は何者だ?」


『うはは、迷え迷え。俺がが神のことを少しは教えることもできるが、それを聞いてもてめえが同じ答えになるとは限らねえ』


「・・・・・・・・ああ、そうだな。俺は神にも会わないといけないようだ」


しかし、じゃあ大罪の名が付いてる鍵の意味は?何故鍵に意志が?


『坊主、、、先入観を持つな。てめえはてめえの心意気を信じてりゃいいんだ。それにだらだら考えてる時間も終わりだ、坊主のお客さんが来てるぜ』


「そういやここどこなんだよ?お前、俺たちを転移でここに連れてきたろ?」


『おせえから呼んだだけだ。ここは50階で間違いねえよ』


「客って誰だよ?」


『てめえの宿命さ、自分で確認しな』




もう聞いてもダメだなと思い、みんなを起こし身支度をさせた。

3人はファブニールにお礼を言っている。襲われたのに、、、、、、。

そうだ、襲われたんだ!!こいつは最下層の宝を取りに来たと俺が言ったら、じゃあと言って襲ってきた。


「まてえええ!!騙されるとこだった!!俺たちはまだこのダンジョンの宝をもらってねーぞ?!」


『ああん?じゃあこれもってけ』

なんと30cmはあるだろう、巨大な魔石をもらった。


『それがありゃあ、ここを踏破したって証明になるだろ、それでいいだろ』


「これももらうが、まだ足りねーな。こんなんじゃあの戦闘の意味がわからねえ。お前は言ったな、叡智を求めるならと。なら勝ち負けは別として戦いは終わったんだ、叡智を寄越せ!」


『色々教えてやったじゃねえか』


「本命は全部避けられたけどな。さらに俺はもてなしもしたぞ?」


ファブニールはニガニガしい顔をする。

『くそ、わかったわかった!1個だけだぞ?』


ファブニールは部屋の外壁に歩いていくと、何もないはずの壁がゴゴゴゴと音を立てて壁が開いていく。

俺たちはみんなでそこにいくと、


『こりゃあ魔道書(グリモア)だ。どれか一個だけ持ってっていい。ただし(ことわり)がある奴しか使えねえ』


そうファブニールが説明してる間に、アリサはグリモアを目にした瞬間から本をパラパラ開きだした。

「ねえこれ、全種類の魔法があるの?!」


『空間魔法はねえ、グリンダムが持ってったから、、、、、、、ってねーちゃん何してやがる』


「なにって、、本を選んでるんだけど?」

アリサは次々本を持って、中を開いていく。中身を確認して好きな魔法を選ぶようだ。


ファブニールにあり得ないとでも言いたげな顔で、

『・・・・・・・そいつぁ、理を持ってる奴しか開けねえ、、、ねーちゃんいくつ理を持ってやがる』


「ああー、アリサは魔力の理って言って、全種類もってるんだ」


『全種類だと!!!そいつぁグリンダムだけしか持ってねえはずだ!!!』

ファブニールはアリサを睨むように見つめた。


「ああ、そうなのか、でも実際持ってるしな」


『・・・・・俺ぁもしかしたら、てめえが魔力の理持ちだと、、、、まさか、、、ねーちゃんが、、、、』

ファブニールが何か遠い目をする。そしてアリサのところに歩いていくと、


『・・・ねーちゃん、体のどこかに六芒星のアザがないか?』


「そんなのないわよ。背中とかだってみんな見てるし」


俺はちょっとだけ気になったけど、スルーしてたことがある。

「・・・・・・いや、あるぞ」


「ちょっと今までそんなこと言わなかったじゃない。どこにあるのよ?」


「実は多分俺しか知らないだろうが、アリサは、、、あー、言いにくいんだが、、、」


「なによ、どこでも恥ずかしくないわよ。股?お尻の奥?」


俺はさすがに顔が赤くなってると思う。

「えーと、アリサは一緒に寝て、、、その致して達すると両目の瞳にうっすら浮かび上がるんだ、、、」


「・・・・・・アンタ、、、、それは今言うの?」


「だから言いにくいって言ったじゃんか!!」


「それはね!言いにくいじゃないのよ!!言ってはいけないのよ!!アンタ、乙女をなんだと思ってるの?!」

アリサもさすがに顔が真っ赤だ。


『・・・・・・俺にも見せろ』

ファブニールはアリサの顔を両手で掴み、至近距離で瞳を見つめる。


「!! 見せろってアンタ、意味解って言ってるの?!バカじゃないの?!」


アリサがファブニールの脇腹にがしがし蹴りを入れる。


『・・・そうか、、、、あるんだな、、、』

アリサに蹴られながら、微動だにせずつぶやく。


「で、それが何なんだよ?」


『・・・・・・魔力の理持ちの印だ』

ファブニールは俺の顔を見ない。ずっとアリサを見ている。


「それだけじゃないんだろ?」


『・・・いいや、それだけだ』


絶対それだけじゃないくせに!!こいつアリサを触った代償を払わせるぞ?


『ねーちゃん、、、、お前の目的はなんだ?』


「私?私は生涯旦那様と一緒にいることよ?」

アリサは即答で答える。俺でもそれは聞いたことなかった。


『それがかなわない時は?』


「ないわ、それはない。旦那様が死ぬなら私が必ず盾になるから、私がいて旦那様がいない世界は存在しないわ」


『・・・・・・・そうか、、、、、、ねーちゃん名前は?』


「アリサ=ローレンスよ」

ファブニールはなんか遠い目をして、聞こえないくらい小さな声でぶつぶつ言っている。


こいつ、アリサを気に入ったのか?やらんぞ!てめえにはやらねえ!むしろ顔を掴んで接近した代償を払え!

「グリモアを1冊って言ったな? 3冊だ」


やっとファブニールはこっちを向いた。アリサを見すぎなんだよ!殺すぞ?


『!!ふざけんじゃねえ! グリモアは1冊でも世界の力のバランスを変えるほどのチカラがある!!それを3冊だ?!!ダメだ!!』


「アリサになんかあるんだろ?なら全部くれてもいいだろうが。3冊でおまけしてやる」


『・・・本来は1冊でも世に出してはいけない代物だ。なんと言おうが1冊だ、、』


ちっ、仕方ない奥の手だ。俺は無言で、山以蔵を100本ほど、タバコを1000本ほど出した。山以蔵は昨日、タバコは常に暇な時に召喚しといたものだ。


「これも置いてくぞ」


『・・・・・・・ダメだ』


「もうタバコが吸えなくてもいいのか?」


ファブニールは考え込んだ。そしてまたぶつぶつ言っている。ねーちゃんが、、、、とか、これはあいつとのとか。そして1,2分考え込んで、


『・・・・・・・・・・定期的に持って来い』


「そりゃ無理だ」


『・・・・・取りに行かせる奴がいる、そいつに渡せ』


「仕方ない、3冊で勘弁してやる」


『てめえ本当強欲だな、、、、こりゃ強欲が食われちまうわけだ、、、、』


『いいか、ねーちゃん。こいつぁ、ただの魔道書と違う。グリモアを手に持ったら詠唱はいらねえ。《我が命ずる、グリモアよ理を示せ、魔法の名前》で発動する。一つのグリモアにはその系統の全魔法が載っている。古の時でも禁呪と言われてたやつもだ。さらに魔力の消費が極端に少なくなって威力が大幅に上がる。ねーちゃん、チカラに振り回されるな。自分が大切にするもののために使え』


「ねえ、闇って本当に精神汚染されるの?」


『いや、されねえ。魔法のイメージでそう言われてるかも知れんが、そんな作用はない』


「わかったわ、ありがとう!!」


俺はグリモアを鑑定してみた。


【重力のグリモア】

術者の理を体現させる究極の魔道書

魔道奔流 魔力低減


【魔道奔流】

魔力量に関わらず事象の効果を増幅する

最上位スキル


【魔力低減】

理の体現に必要な魔力を低減する

最上位スキル



こいつはやばい。3冊とも同じ効果で名前が違うだけだが、効果がはんぱない


アリサはグリモアを3冊選んだ、重力と闇と付与だった。

「アリサ、それでいいのか?、他の魔法を使うチャンスだぞ?回復魔法とかは?」


「いいのよ。空間はないんだし、重力は完全にチートよ、付与はみんなを守れるわ。闇は面白そうな魔法があるの。これが一番バランスいいのよ」

「それに私にできないことはみんながしてくれるわ。私はみんなに出来ないことをしたいの」


アリサがそう言うと、ファブニールは

『・・・いい心意気だ、それにボインちゃん、憤怒に囚われるなよ。なんでも自分で解決しようとするな、坊主を頼れ』


「はい、ありがとうございます、、、ご主人様、これからもよろしくお願いします」


「もちろんだナタリー、サリイもな」


「はい!お願いします!」


『てめえのお客さんが焦れてきてる。早く行け』


「ああ、わかった。みんな、行こうか?」


『死ぬなよ』


俺たちは、たくさんの得るものがあった。グリモアも情報もそうだが、みんなが一緒にいたいという気持ちを確認できた。

そして、ファブニールに別れを告げ、俺たちは上に上がっていく。ファブニールはだだっ広い広間に1人残されて、、、、




『とうとう見つけたんだな、戦友(グリンダム)。お前の探していた希望の光を、、、、終焉の使者を、、、、、』




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