第二十八話 ※
朝、俺はバルコニーでこの街の最後かもしれない朝日を一服しながら眺める。今日は新天地に旅立ちだ。ベッドは買い上げたんだ、全部持っていこう。
俺は部屋に戻ると、ナタリーは居なくなってる。朝食を作ってるんだろう。
俺はベッドの端に腰かける。そして全裸でうつ伏せに大の字にピクピクしながら倒れてるケツを、ピチピチと叩く。たわいもない、ちょっと配分を傾けてやればこんなもんだ。今までは小さい体というのもあり、ナタリーメインで戦っていた。
「ふっ、所詮ガキだな、、、、」
小さい綺麗な背中に話しかけると、白い肢体は反応した。
「な、なかなかやるじゃない、、、合格よ、、」
「もっと職業を磨くんだな」
「言ってなさいよ、、、、」
俺たちは着替えて食堂に降りる。
家は解約しないことにした。半年あるし、また戻る可能性もある。戻らないときは吉田に手紙で頼もう。
「おはようございます、ご主人様、アリサ。朝食は出来ております」
「おはようございます!ご主人様!」
「「おはよう」」
俺たちは飯を食って、各人仕度して、玄関に集まるように言った。俺はベッドを収納して回る。台所に行って余った食材等もしまう。そして、庭にでて馬に飯と水を与えた。裏庭を魔法で掘り、アイテムボックスの中を整理して燃やす。主に吸殻だが。
玄関に戻ると全員揃って並んで立っていた。
「お前ら、、なんで全員スカートなんだ?旅だよ?戦闘もあるよ?危ないよ?さらにスカートはおかしい人が1人いますが?」
「ボクは昔はお姉ちゃんに着せられてたので大丈夫です!」
「お前のお姉ちゃんに会って、一言文句を言わないと気がすまないな、、、、お前らは?ズボン履かないの?」
「買っておりません」
「コッチの世界のパンツルックはダサいのよ。着れないわ」
二人とも無表情なのに意思の固さが顔に出てる。
どうやっても履かないのね。
「ならロングスカートとか、、、、」
「戦闘もあるんですよ?ご主人様。旅を舐めてはいけません」
《全員》膝上スカートだ。アリサは黒ベースでワンピースの裾やふちが金色に縁取りされて胸に赤いリボンがアクセントについている、膝上と言うよりミニだな。サリイもワンピースで、しっぽ用の穴が空いておりそこから猫のスラッとしたしっぽが出ている。全体的にシンプルな薄い黄色で何故か裾がレース作りになっている。サリイは恥ずかしくないのだろうか?
ナタリーは、Tシャツのような緩い作りのボタンのない水色のシャツで、かなり淡い若草色のプリーツスカートを履いている。
ナタリーは淡い小麦色の肌だからか、薄い色や白系統の服を好む。アリサは黒系統か濃い色を好むようだ。
サリイ?男はどうでもいいだろ。
「俺にはお前らが人生舐めてるようにしか見えないが、、、」
「準備は万全よ、行きましょ!ちょっとワクワクするわ!」
「ボクも!」
「ああ、じゃあ馬車に乗れ。ナタリーと俺は御者席で」
「はい、かしこまりました」
馬車に各人乗り込む。俺は、ばあさんからもらったウエストポーチをサリイに渡した。サリイには解体して貰うからとアリサには納得させてある。ナタリーは2匹の馬の間に入り、2匹の頭を撫でながら話しかけてる。これが馬を操る秘訣なんだろうか。
「ナタリー、冒険者ギルドに寄ってサリイのギルドカードとパーティー登録を頼む」
「かしこまりました」
冒険者ギルドの近くに馬車を横付けして、ナタリーとサリイに行かせた。年のために俺のギルドカードも持たせた。
俺は顔を出すと、また最後の挨拶みたいになりそうだったから行かなかった。
アリサがキャビンと御者席の通用口から顔だけを出し、
「ところで何処にいくの?」
「とりあえずは西にあるダンジョンに向かって見ようと思う」
ここで知り得た知識のこの大陸の位置を、軽く説明しとくと、まず、北には大きなクレバスがあり、その奥には魔族がいると言われている土地がある。クレバスの下にはエルデン帝国があり、ここがほぼ中心の位置よりちょっと北寄りになる。その南にはここグランダスト王国があり、その南は魔の森と言われている広大な森だ。魔の森は南一帯を占めている。エルデン帝国とグランダストの東、ちょうど2国の間の東にヴォーデン共和国がある。ヴォーデンの南にテラーナフォルデンがあり、テラーナは魔の森と繋がっている位置だ。西には北西から南西までの大山岳地帯があり、そこにギガントムテム王国がある。これはアリサの図書館情報だが、その山岳地帯のどこかに何千年前からいるかわからないほどだが、竜がいると言われている。ワイバーンとかがそこから飛来することもあるが、伝承以外で竜を目にする人はほぼいない。だから山に竜がいる伝承があるだけで、確信を持ってる人がいるかどうかもわからない。
たぶんここに龍神王がいるんじゃないかと予想してる。
「そんで、ギガントムテムを見て回って情報を集めて龍神に会いに行くかな。どうだ?」
「私たちは、旦那様に着いていくだけだからかまわないわよ?」
「そっか。まあ全部は回るから」
しばらくすると、二人は出て来た。
あれ?なんだかんだ言っても、見送りとかあると思ったのに。
ちょっと寂しくなったけど、気を取り直して正門に向かう。
「ご主人様、何処に向かいますか?」
「ああ、門を出たら西に行ってくれ」
「かしこまりました」
門につくと、衛兵が5人で通せんぼしてる。ああ、領主はやっぱり出さない気か。
「ナタリー、おい、アリサ。戦闘だ」
「馬車を停めますか?」
「停めていい。どうせ余裕だ」
アリサも御者席に出て来て、馬車を止める。
俺をバカにした衛兵が、
「本当に出ていくんだな」
「ああ、やるのか?」
「やる?」
「ん?領主に言われて俺たちを殺すんだろ?」
「違う違う!別れの挨拶だ!」
「なんだよ。そんなことかよ」
俺たちは馬車を降りて、後ろをちょっと見ると、人がわらわら寄って来てる。多いな、馬車について来てたのか?
そこら一帯から、街を救ってくれてありがとうだの色々言われている。ナタリーたちは街の住民から選別やらなんやらもらってる。知った顔は来てないな。
あ、ランスロットだ。
「貴殿には、世話をかけたな」
「俺自身のことだ。お前は気にする必要がないだろ」
「俺の体を治してくれただろ?」
「なんの話だ?俺はしらねーよ」
「・・・大丈夫だ。情報は漏らさない」
「いや、知らないから漏らすもクソもねーよ」
「・・・わかった。とにかくありがとう。またどこかで会えるといいが」
「俺はお前とやるのはもう勘弁だ、疲れる」
領主は、廃人同様になってしまったらしい。
息子が継ぐようだ。まあ、その方が色々いいだろう。それなら街に残ることも出来るが、いい機会だから旅には出るとランスロットに告げた。
「これは俺からの礼だ、受け取ってくれ」
・・・・・・正気か?、、、、超絶ダサいのだが、、、、これをもてと、、、何の罰ゲームだ、、、、、
俺は旗をもらった。旗には卵形の円が書かれており、卵はタバコを咥えてるように右下に下がる角度で描かれている。
卵の中には杖とバールが、×印に描かれている。
「お前が作ったのか、ランスロット、、、、、」
「ああ、悪くないだろ?結構自信作なんだ」
何て残念なやつだ、ランスロット。イケメンでつえーのにこのセンス、10年暮らした嫁も逃げ出すくらいのダサさだ。
・・・服じゃないだけましなのか?
「お、おう、ありがとうな」
「卵がトレードマークなんだってな。そこのお嬢さんに聞いたよ」
俺は瞬時にアリサに振り向く。まったく同時にアリサはそっぽを向いて固まってる。
「てめえ、、、」
「・・・仕方なかったのよ。昨日図書館で捕まって、旗を作りたいからトレードマークを教えろと、、、、、私だってつらかったのよ!!」
「気に入らなかったか?」
ランスロットは寂しそうな顔をする。
「い、いやそんなことはない!サリイ!この旗を馬車に立てろ!」
「はい!!」
サリイは馬車の屋根に上がり、キャビンの右前の角に旗を差した。
「じゃあな」
「ああ、本当にありがとう」
再度ランスロットは頭をさげた。門にはすごい数の住人が集まっている。
俺たちは馬車に乗り込み、出発する。
後ろからは住民が手を降り、歓声を上げている。
ふと城壁に目を向けると、ランスロットがくれた旗と同じマークの大きな旗が刺さっていた。
その近くに3人の男が立っている。タバコをもっとあげれば良かったかな。
俺たちは西にあると言う町を目指して馬車を走らせた。
・・・
・・・・
・・・・・
馬車を街道沿いに走らせている。しかし、やっぱり服が悪い。ナタリーの胸は馬車の揺れに合わせてプルプルプルプルしている。スカートが向かい風でガンガンめくれてる。白いものがチラチラチラチラしてるのだ。
「なあ?やっぱりズボンのがいいだろ?」
「私は気になりませんが、ご主人様がきになるようでしたら私の脚を押さえといてください」
こいつ何を言っている。
俺はナタリーに右手を取られ、太ももの付け根付近に手を置かされた。何故かスカートの下に。
「・・・これじゃあ意味ないだろ、、、、、」
「あー、間違えました。私はむしろコッチでも構いませんが」
「それと、胸も揺れるので、押さえといてもらえますか?」
ナタリーはニッコリ微笑み、俺を見た。
「いやいやいやいや」
俺はスカートの上からに位置を変えた。流石に胸は掴めない、つうか俺は何のためにこの席にいるんだ?
心なしかナタリーはテンションが高い。旅が嬉しいのだろうか。
「なんか嬉しいことあったのか?エルフの国とは逆方向だが」
「ご主人様と二人きりが久しぶりで嬉しいのです。たまにはこういう時間もいいですね」
またまたニッコリ微笑んで、俺をみる、
太ももの付け根に手を置いてるので、そんなこと言われるとムラムラしてしまう。
何か視線を感じて後ろを見ると、アリサとサリイが通用口から顔を出していた。
「おわあああああ!、、、、ビックリするだろ」
「なにイチャイチャしてんのよ」
「なんだよ、、、来たいのか?」
「いいの、ナタリーの時間は邪魔しないと決めてるの。たまにはいいんじゃない?」
そういうと二人は引っ込んだ。
そこからはナタリーと色々話した。子供の頃のこととか色々だ。
ももに手を置かされたまま、、、、、、
三時間は走ったろうか、馬を休憩させるために馬車を街道から少し離して停車した。
馬に水と餌を少し用意してやり、俺たちは少し周りを散策した。時間潰しと一応の警戒の為である。
全員では馬車があるので動けないので、アリサと俺、サリイとナタリーで別れて行動する。先にナタリーたちが警戒に回る。
俺はアリサに図書館の話を聞いた。
図書館には、付与魔法を調べに行っていたようだ。そこにランスロットが来て捕まったので、付与魔法をランスロットから習ったそうだ。図書館には、魔法書として各系統の魔法が置いてあるそうだが、火水風土がメインで光は無し、闇も伝承のような本は有っても、魔法書はなし、空間魔法は空間アイテムボックスだけあったみたい。回復魔法は禁書扱いで見れないそうだ。付与魔法はあったけど、2個しか載ってなかったそうだ。
それと、基本は魔法のレベルが上がると、次の魔法が使えるんじゃないみたいだ。召喚だけ特別のようだ。まあ、系統は総て明らかになってるわけでもないので、現在わかっていることだけ書いてあるらしい。
アリサは、ランスロットに教えて貰ったのも含めて、5個の付与魔法を覚えた。
「じゃあ魔法は基本的に図書館で覚えれるのか?」
「家庭教師や学校よ。それもすごく高いみたい。上位の術は教わるのもすごくお金がかかるわ。それはそうよね。大事な知識をタダであげようなんて人はいないもの。だからみんなすんごく出し惜しみするの」
「じゃあ詠唱が分かれば誰でも使えるんじゃ?そいつの隣で詠唱聞いてればタダじゃん」
「だから仲間内以外でみんな使わないでしょ。それに素養がないと無理よ。単純に言うと魔法が使える=素養がある。ね」
「だからゲーム的に言うと、魔法を覚えたって言うのは素養がある魔法の詠唱を知って、行使したことがあるってだけね」
「みんな魔法書を書いて売ったらいいじゃないか」
「この国で魔法で身を立てたいって人は、自分が高いお金で知った魔法をみんなが使えてしまったら自分の存在価値が下がるわ。だから簡単には教えないのよ。まあ、絶対的に魔法が使える人の人口が少ないけどね」
「だから、転移を聞いときゃいいのに、、、、」
「うるさいわね。馬車があるからいいじゃない」
「アリサはじゃあ空間魔法で、アイテムボックス代わりをするから、バッグは要らないな」
「それが使い勝手が悪いのよ、魔力はたくさん消費するくせに全然入らないわ。いちいち物を出し入れしただけであんなに魔力を使うんじゃ、使い物にならないわよ。私は旦那様に持ってもらうからいいわよ」
「付与魔法はどんな感じだ?」
「簡単に言ったら、力、素早さ、体力を上げるのを覚えたわ。あとは障壁と魔法剣ね」
「魔法剣?」
「武器に魔力を纏わせて、物理攻撃が通りにくい相手に使ったり、単純に攻撃力を上げたりね」
「あれ、俺は魔力をバールに自分で通せそうだが」
「旦那様は魔力の操作が出来るからでしょ。基本的にはそんな人いないわ」
ナタリーたちが帰って来たので、交代で俺とアリサは散歩する。
歩きながら続きを話す。近くに森があるので、そっちの方に行ってみる。
アリサは俺の前を歩くがミニで森の中を歩くのでチラチラ見える。こいつら、誘ってるのか?
「そういえば、なんか今日から旦那様になったな」
アリサは立ち止まり、コッチを向かないまま、
「い、今までだって言ってたじゃない」
「他の人がいるときにはな。俺と二人なのに俺のことを旦那様と呼んだことはないぞ」
アリサは近くの木に寄りかかり、俺に向いて話す。
「そ、そうかしら?意識してないわ」
俺は壁ドンならぬ木ドンの態勢になる。アリサとの顔の距離は30cmもない。
「嘘だな。お前は意外と気遣いが出来る。ちゃんと人前で俺を立てるために旦那様を使ってた。それに何を動揺してる?」
なんかアリサは顔が真っ赤だ。
「近い近い近い! そ、それに動揺してなんてないわよ!」
俺はなんかいじめたい衝動に刈られた。なんかアリサが弱々しく見える。俺はさらに顔を近づけて、
「なんだ?照れてるのか?言え、なんで旦那様にした?」
アリサは真っ赤になったまま横を向いて目線を反らせた。
「・・・負けたからよ、、」
「負けた?」
アリサは胸の前で手をもじもじしだした。
「なんか負けたら、、、身体ごと持ってかれちゃったと言うか、、、身も心も根っこから奪われちゃったと言うか、、、、」
間違いない。勘違いではない。これは完全にデレている。
最近はアリサも可愛く見えてきたが、今日のこれはクルものがある。やばい。
こいつ!!クソ!滅茶苦茶にしてやりたい!
俺は顔を1cmぐらいまで近づける。
「さっきから、俺の前をチラチラチラチラさせながら歩きやがって、、、誘ってるのか?」
「ち、ちがうわよ!」
アリサはスカートの裾を手で押さえた。
やばいな、いちいち可愛いじゃねーの。
俺はスッとアリサの腰に手を置くと、アリサはビクッとした。
「こ、ここは外よ?!」
「だからなんだ」
もう止まらないと思ったんだろう。アリサは目を閉じた。
・・・
・・・・
「どう?こういうのもいいでしょ?ホント、チョロいわね」
俺は後ろを着いてきてるアリサに振り向く。まるで私が仕向けたとこに、まんまとノせられたわねと言いたいようだ。
いつもなら、またやられたと思うのだろうが今日は違う。アリサの顔はまだ真っ赤だ。完全に女の顔のままだ。
「・・・アリサ、、、ちゃんと歩けよ。膝がまだ笑ってるぞ」
「っ! ・・・やりずらいわ、、、アンタこんなんだった?!」
「お前が可愛いからだな」
「!!、、、ほんっと、やりずらい!ムカつくわ!」
「でも嫌いじゃないんだろ?」
アリサは歩きながら俺の背中にバンバンパンチをしてくる。
ふふっ 叩けばいい。もうお前は攻略完了だ。
「アンタ、今に見てなさいよ!」
またアリサは先をあるきだした。
・・・
馬車に戻ると出発準備は出来ていた。
ナタリーが笑顔で出迎えてくれる。
「おかえりなさい、ごしゅ、、じん、、さ、ま、、」
徐々に顔が曇る。おかしい。証拠はないはずだ。
「そうですか、そうきましたか」
ナタリーはアリサをチラッと見た、アリサは目をそらした。
ナタリーは俺をジト目で睨む。
「私はサリイに御者を教えながら走ります。お二人はキャビンへどうぞ」
あ、これ完全にすねてるやつだ。クソ、アリサの演技が下手だからばれたじゃないか。
「い、いや、あのね、ナタリーさん」
「さあ、出発しますよ。ご主人様は中にどうぞ」
「待って!ねえ!ナタリーさん!」
御者にはナタリーとサリイが座り、アリサはキャビンの中でぐったり横になってる。
俺は通用口から顔を出してナタリーにちょっかいをだし、ナタリーのご機嫌を伺う。サリイはどうしたの~?って顔をしてる。
馬車は走り出した。はあ、今夜が怖い。




