第二十六話 ※
「もうちょっと鍛えたら?レベルじゃなくて、、、、、、、あっちを」
「ご主人様、可愛かったです。ご馳走様でした」
クソが。2vs1は卑怯だろ。日本でさえやったことねーぞ。あれ?もしかして日本でも出来なかったことが出来てるってことか?ラッキー、、、、、なのかな。
2人は着替えて降りていった。サリイは知らん。俺は一服して、今日のこれからを頭の中で組み立てる。
念の為上級ポーションを今作っとこう。俺は材料を出して、すぐ2本作った。ちゃんと高品質だ。
今日は俺は作業服を着る。
もしかしたら戦闘があるかもだからだ。そろそろ俺も鎧を考えないといけないな。
今まではあいつらもなあなあで許してきたけど、本当にきつい戦いになれば命に関わる。でも実は見てて悪い気がするわけでもない。
本当は分かってる。俺のために可愛くいてくれようとしてくれてるんだ。
「あーあ、超すげーマジックアイテムの服とかねーかなー」
「買ってくれるの?!!」
さすがアリサ、こういうのには凄い気配探知だ。スキルとったんじゃねーか?・・・・・あ、とってねーわ。
「いやな、お前ら鎧着ないじゃん、危ないからさ、そういうのがあったらと思うけど、金云々の前に売ってねーじゃん」
「じゃあこれからは、それも目的の一つね!」
「ああ、わかったよ」
俺たちは下に下りて、飯を食った。
食い終わってからみんながいる前で、今日の展開の予想をみんなに言っておく。
「今日は領主の館にいかなくてはならない。その前に冒険者ギルドでギルドマスターを連れて行こうと思う」
「それはなんで?いざとなったら、敵になるかもしれないじゃない」
「いいえ、それはありません。ギルドマスターはエルフです。エルフはその程度で異邦人様をないがしろにはいたしません。万が一ご領主とご主人様が敵対することになったら、ギルドマスターは個人的にでも必ずご主人様の味方を致します。これは確定です」
「へーそんなにエルフの掟ってのは厳しいの?」
「掟と言ってはおりますが、感謝の気持ちのが強いです。エルフは先祖を強く重んじます。また長命ですので、先祖ではなく自分が関わってる場合もあるでしょう。エルフの感謝の気持ちは人間のそれとは比べられません」
「こういっちゃなんだが、やっぱナタリーもエルフだな。こんなに饒舌になったの久しぶりじゃねーか。エルフにとっては誇りなんだな」
「はい、ご主人様」
「まあ、そういうことだから、もしかしたら領主が攻撃してくるかもしれない。はっきりいってナタリーでギリギリ、アリサとサリイはただ危険なだけかもしれない。ただ俺が一番怖いのは、俺1人で領主の館に行ってここと俺が同時に襲われることだ。それは致命傷だ。それなら全員一緒に領主の館で囲まれたほうがいい。そのほうが咄嗟にポーション樽を使ったり、俺が守ったりできるからな」
「そうね、正直今一番安全なのは、ダーリンのそばから離れないことよ」
「だから全員武装しろ。武装を解かないなら屋敷に入れないってなら、話なんて聞いてやる必要もない」
「わかったわ」
「全員篭手もつけろよ」
「ご主人様、この家に置いてあるものはどうしましょう」
「多分ギルドマスターがいるから、そこまでにはならないと思う。馬車もないしな。決別したらそこから準備して明日の朝出るくらいはできるだろう」
「かしこまりました」
「あのー ボクはどうしたらいいですか?」
「サリイは絶対ナタリーから離れるな。ナタリーは多分ランスロットクラスじゃないなら、騎士と1対1なら負けない。あとは俺がフォローする」
「いざとなったらクリムなんたらよ!!!」
「アリサ、頼むから自分で作った魔法はちゃんと言え、、、、、、」
「じゃあ全員いくぞ」
各自に武装させて、ナタリーのウエストポーチに上級ポーションを1本いれる。
「いいかナタリー、これは命令だ。絶対にポーションをもったいないと思うな。使う必要があるときはすぐ使え。まだ大丈夫はもう危険だ。わかったか?」
「肝に銘じます。ご主人様」
俺たちは冒険者ギルドへ歩いていく。全員緊張感を持って歩いているからか、そのせいで顔が怖いからか挨拶をしようとして躊躇した人が何人かいた。
ギルドに入ると、副ギルドマスターはカウンターにいなかった。ひさしぶりにおっぱいがいたので、おっぱいに話しかける。
「ギルドマスターいるかな?」
「大魔道士様!!!! ただ今呼びに行ってきます。少しお待ちください!」
俺たちはカウンターから数歩離れて、ギルドマスターを待つ。
周りでひそひそとは言えないけど小さい声で、
「、、、、ハードボイルド、、、、、」
「ハードボイルドの大魔道士がきたぜ、、、」
「あれが、、、ボイル道士か」
!!!!
「誰だ!ボイル道士っていったやつ!! それじゃ茹でた魔道士になっちゃってるから!」
俺は大声で返したのにも関わらず、誰も絡んでこない?あれ?俺英雄じゃないの?人の噂も45日っていうけど、まだ1週間もたってないよ?!
アリサは大笑いしてる。
「、、、、おいあれ本当にハードボイルドか?なんかキャラが軽くなったな、、、、」
誰かわからないが、いいたい放題いってくれやがる。いいだろう戦争か?
「もともとこれだから!!」
「ちがうよな~、わかってるよ。女がたくさん出来たから、丸くなったんだろ?え?ハードボイルド(笑)さんよ」
何だ、前ならカチーンと来てるのに、懐かしい感じがする。
「はは、森の風のラムダ、生きてたのか」
「まあな、てめえはずいぶんイキガッたまねしてくれたらしいじゃねーか」
周りでは、すげーラムダ、大魔道士にタメ口だ!とか大魔道士に喧嘩売ってるとか言われて、なんか羨望のまなざしのようなものを受けてる。
さすがにこれにはイラッとした。
俺はラムダに近寄り、両手でラムダの頭に梅干グリグリをする。
「おい、ラムダ、、、なんで大活躍の俺より、お前のほうが凄そうなんだよ、、、俺に負けたくせに、、、、」
「いたいたいたいたいたいたいたいいたいたいたいたい!!!しらねーよ!俺たちとお前らは友達じゃねーだろ!!なれなれしいんだよ!!」
周りでは、おおお、ラムダのが偉そうだとか聞こえる。クソが、どうなってんだこの街は!!アリサ爆笑してんじゃねー!!
「ハードボイルドさん、本当変わりましたね、顔が優しくなった気がします」
こいつは俺にビビッた森の風だ。
「・・・・・・・」
剣柄男はこれがベースだな。
「俺はそんなに変わったつもりはねーよ。俺は元から優しかっただろ?お前らを殺さなかったじゃねーか」
おお!と周りから声があがった。なんか周りでは、今のはハードボイルドっぽい!とかあいつに教えてやろとか言われてる。
なんか、、、やっぱりバカにされてるとしか思えねー。だからアリサ、つぼにハマリすぎだ!!
「で、お前らあん時どこにいたんだ?」
「、、、、、、、んだよ」
「は?」
「、、、、治療院だよ!!わりーかよ!ああ、お前はかっこよかったな!」
俺はタバコに火をつけて、
「何言ってんだ、ラムダ。お前らがいたから情報が街にたどり着いたんだろ?なら街を救ったのはお前らじゃねーか」
そういうと、火をつけたタバコのフィルターをラムダに咥えさせた。
ラムダはそれを思わず吸い込んで、ゲホッゲホッっとした。
ふふっこれは狙ってやった。ちょっとハードボイルドっぽかったろ。ラムダはタバコごときでむせってダセーぜ。
あれ?かっこよく決まったはずなのに、おお!とかなにもないんですけど?!しーんとしてるんですけど!!
「ちっ最悪だぜホントに」
俺は3人を手で階段に向かわせて、迎えは来てないが階段をあがった。いたたまれなかったからである。
階段を上がる時に さすがハードボイルド(笑)。って聞こえた。クソ顔を見ればよかった。
3階に上がると、ちょうど副ギルドマスターが俺を呼びにくるところだった。
「おお、きたか、ギルドマスターは中にいるぞ。入れ」
「おっさんは、相変わらずで落ち着くよ。でも初対面は俺に敬語だったぞ?今からでもいいぞ?」
「うるさい!さっさといけ!」
俺たちは中に入るとギルドマスターが対面のソファーで足を組んで座っている。また超スリットだ。
ふははは、バカめ!もうそんなのには動揺しない。今朝だって、、、、、いやなんでもない。
ギルドマスターは立ち上がって
「ようこそいらっしゃいました。どうそお座りください」
俺より先にアリサが座る。こいつあん時からギルドマスターに軽いな。どんな話をしたんだ。
全員座ると、ギルドマスターも座りまた俺の前で足を組んだ。
「で、本日はどのようなご用件でしょうか」
「俺は今日、今から領主の館に呼ばれている。内容はわからないが、バカを使者によこしたこと、あんときの領主の兵の動き、そのあとも公式な声明もなにもなし、あったのは宴会の強制停止だけだ。たぶん行けば俺にとって面倒なことになるのは間違いないだろう。俺らだけで行ってもいいんだが、一緒にくるか?」
「お声がけありがとうございます。ですが、大変申し訳ありませんが、ご一緒には行けません」
「あら?まあいいんだけど、そりゃなんで?」
「今日の早朝、既に釘をさされました。絶対にこない様にと」
「なるほどな。もうそれだけで大体答えだな」
「ええ、そうでしょうね。それに申し訳ありません。私のせいでご迷惑をかけたかもしれません。」
「ん?なんだ?まあいいよ、どうせ今以上の迷惑じゃないだろ?たいしたことねーよ」
「ありがとうございます。あの日私は、いえ私たちはタカフミ様に命を救われたことを忘れてはおりません。 本日、せっかくお越しいただいたのにお手伝いできなかったこと、申し訳なく思います。ただ、タカフミ様なら辺境伯様のところで、どんなことが在っても死なないでしょう。ですが、その後は別です。死ぬことは無くても大変面倒になるかもしれません。私、シャレーナ=ルーデンバーグはエルフの誇りにかけてタカフミ様をお守りするとお約束いたします」
「そんなに重く捉えなくていいって。本当に一緒に来るか?と声かけただけだ。俺のことなんだから俺でする。まあでもなんかあったらまた頼るかもな。よろしくな」
「・・お心遣いありがとうございます」
「辺境伯様の屋敷までご一緒しましょう。道に迷わないように」
「ああ、じゃあ頼むわ」
俺たちは歩いて領主の館に行く。少し時間かかったが、領主の館の門についた。
入り口にはランスロットが待っていた。
「ありがとな、来てくれて」
「お前の顔はつぶせないだろ」
「はは、本当ありがとな」
「じゃあマスター、ありがとうな」
「・・・・・お気をつけて」
俺たちはランスロットの案内で、領主の館の中をゆっくり歩く。武装した兵士がかなりの数いる。これ常駐か?すげー金かかりそうだが。
「こんなに武装した兵が毎日常駐してるのか?」
「・・・・・・」
ランスロットに話しかけたが、返答がない。普通なら無視されたって思うんだろうがランスロットのことだ、答えられないんだろう。と、いうことは今日は特別。それなら今日はなにかあるってことだ。こりゃー、、、、、ランスロットと戦闘もあるか?まずいな。
でかい応接室に入れられた。まるで城の謁見の間と言われる場所ぐらい広い。逆にチャンバラもできるような広さだ。
俺は警戒する。主にアリサたちの後ろを。俺は一撃じゃ多分死なないが、こいつらは違う。こいつらを守らなくては。
すると30mほど離れたところにあるでっかいソファみたいなやつにデブが座っている。座ったまま話しかけてきた。
俺たちは立ったままだ。
「ようこそわが屋敷へ、冒険者よ。余はジョシュア=ヴァン=グランダストである」
「・・・・・・・・・」
「貴様!辺境伯様が挨拶してるだろう!!!何とか言えないのか!!!」
後ろの大臣?おつき?わからないがおっさんが喚いている。
周りでも兵士が殺気立っている。
「よい、皆の者。こやつは冒険者じゃ。礼儀を知らんのは常だろう。なに今日は余が貴様に褒美をやろうと思ってな」
「貴様は、わが街を火炎の脅威に晒し、あまつさえ大魔道師グリンダムの弟子の名前を謀ったと聞く。余はそれを許してやろう」
ほおお?おもしれー。そうきたか
「で、じゃあ何くれんの?」
「今やったではないか?この街を恐怖に落とし、古の大魔道師の名を騙ったのを許してやるのだ。大き過ぎる褒美だ」
コイツバカだ。関わるだけ面倒だ。もう帰ろう。
別になんか欲しいものあるわけじゃないし。
アリサは怒りの表情を浮かべ、一歩前に踏み出し何かを言おうとしたが、俺は制止した。
「あー、余は器がでかいのでな。ちょっと褒美をやりすぎたが、貴様が褒美の返礼に余に仕えたいというなら使ってやらんでもないぞ?」
日本でも色んな上司がいたがこんなバカはいなかった。なんのメリットも示さずどうやって人がついてくるのか。ああメリットは示したのか、《お許し》というやつを。フハハ、足らんよ。
「あー、じゃあ俺を雇ってくれんの?」
辺境伯はちょっと驚いた顔をして、うれしそうな顔をした。
「おお、余は懐が深いのでな、街を危険に晒すような輩でも雇ってやる」
「そうか、ありがたい、じゃあ給料はな、1年に白金貨で10万枚もらおうか、毎年だぞ?。それに勇者が持ってる剣より強いマジックアイテムをそうだなーあまり欲張ると悪いからな、100個でいいか。後1日働いたら30日休みをくれ。それとなーこの街の外に畑1万枚分の広さの家を用意してくれ。あ、風呂もちゃんとつけろよ?あ、あれもあったな、「貴様!!!何を言っている!!」」
さっきの大臣みたいなおっさんじゃなくて、逆側の爺騎士が怒鳴りつけてきた。領主はポカーンとしている。
「なにって、俺を雇ってくれるんだろ?雇うなら給料が必要じゃねーか。なんだここの領主は給料ださねーの?みんなただ働き?」
アリサもポカーンとしてた顔が笑い出した。小さな声でさすが私のダーリンねと言っている。
「給金は払う! 年間で金貨10枚だ!!破格の値段だろうが!!!」
「10枚??ここの兵士が束になっても向き合うこともできなかったオークのスタンピードを倒せるのに10枚?じゃあここの兵士を全部解雇しろよ。その金を俺にもってこい。どうせ居ても居なくても一緒なんだから。あとこの街の帳簿をもってこい。俺の給料にしてやるよ」
大臣と領主はやっと自分らが馬鹿にされてると気づいたのだろう。顔を真っ赤にしている。
「スタンピードなど、来ておらん!!存在もしてないことを倒したというのか!!」
大臣がそう怒鳴る。なるほど、あん時疑ってたってやつなのか、それともなかったことにしてこのくっだらない会話を成立させるつもりなのか、どっちでもいいが脳みそが圧倒的に足りないな。
「そうか、そうか。来てないもんな。じゃあ俺用済みだな。ありもしない脅威なら、ただの冒険者を雇う必要もないだろ。俺Eランクだし、もっとランクの高いやつのがいいもんな。 じゃ、アリサ、ナタリー、サリイ帰るぞ」
「はい、ご主人様」「帰りましょ」「わかりました!ご主人様!」
「それを余が雇ってやると言ってるのだ。光栄に思え」
「こいつらのおやつの代金にもならないはした金しか払えない領主には、興味もねーな」
俺はちょっとだけ凄みを入れてにらみつけて言う。
「ならいくら欲しいのだ?」
「さっき言ったが?言っとくけどまだあるし、びた一文まけねーぜ?」
爺さん騎士が怒鳴る。
「あんなのが給金になるわけないだろう!!!この街の資産より多いわ!!!」
俺は呆れたようなかわいそうな顔をして、
「なんだ?そんなにここは貧乏なの?そりゃ悪かった?ちょっと恵んでやろうか?」
俺はポケットに手を入れて、アイテムボックスから銅貨を数枚握りだして、それを爺さんに差し出すようにその場で見せた。
「ほれ、取りにおいで。あめでも買いなよ、じいさん」
ここでアリサがプッっと噴出した。
「キサマアァ、、言いたい放題侮辱しおって、、、、、」
「だってほら俺冒険者だし、礼儀を知らないのは常だろ?平気平気、領主様は怒りはしないって!なあ?!器がでかいんだもんな!」
俺はニッカリ笑顔で領主に顔を向ける。
領主は怒りで体も震えている。
「どうやっても、余に仕えぬと言うのだな?」
「そんなこといってねーだろ。仕えるってーの。だから給料くれよ、しみったれてんなー」
「キサマ、余を愚弄してここから生きて帰れると思ってるのか?」
「あれ?怒っちゃった??!!! 器ちいせーーー!! 懐あせーーーーー!!」
指で、小さい器をつくったり、一つまみみたいな指を俺の目線の前にもってきたりして、小ばかにする。
俺はめいいっぱい煽った。あーちょっとすっきりした。
アリサを見下ろすと、私も満足よとでもいうような顔でアイコンタクトしてきた。
「それになー、ここから生きて帰れるかだって?」
マジデ?!みたいな顔をしてから俺は急激に魔力を錬る。両手に種火の魔力を込めて、足にも生活魔法の乾燥の魔力を込めてみた。
俺の周りに風が吹く。どうだ強そうだろ。
「それは、、、、この俺に向かって言ってるんだろうなあああああ!!」
俺は、鋭い殺意を身にまとい、そのきつい視線を周囲にめぐらせる。
俺とアリサたちを囲むように、その周囲に暴風が吹き荒れる。周囲の兵たちは強風に顔をしかめる。攻撃力はないが、演出よ演出!!
兵士たちは風にこらえながらも剣を抜いている。向かってきそうな雰囲気だ。
領主と重鎮らしきやつらは、怒りで真っ赤だった顔が恐怖で引きつる。スタンピードを一撃で焼いた魔法が脳裏に描かれているんだろう。自分でみたんじゃないんだろうけど。
「俺たちは帰るぞ、ただ揉んで欲しいんなら揉んでやってもいい」
「ただ、授業料は命で払えよ?。そうお前もな、そこでふんぞり返っているデブ。兵士が片付いたらお前も確実に殺してやる」
感情がないような冷たい視線を殺意を込めて、領主に向ける。
領主は、怒りと恐怖で震える体を立たせて、右手を指差しながら俺に向ける。
「か、帰すな、、、、絶対に殺せ、、、、、余に逆らうものは全てころせええええええ!!!」
そう領主が叫ぶと、兵士たちが向かってくる。俺は仲間たちに小さな声で
「極力殺すな、ただ死んでないならなんでもいい」
「わかったわ」「かしこまりました」「はい!」
「サリイはここから動くな。動かれると助けれない」「はい!!」
はじめに戦闘が始まったのは、ナタリーのところだ。兵士が剣で突きをはなつと、まるで重力がないようにその場で伸身宙返りのように飛び、降りてきて兵士を踏みつける。そして両手のククリで次の兵士のあえて鎧部分をバンバン殴りつける。ナタリーは力がないタイプだが、そこらの兵士程度なら十分なステータスだろう。
俺は死なないように威力を調整した種火を、領主に向けて2つ放つ。兵士が何人も前に出てきて盾になるが、一斉に炎の威力にやられて、後ろに何人も吹っ飛ぶ。俺もバールを取り出す。
アリサは突っ込んできた兵士をよけ、杖で頭を横殴りになぐる。兵士は一発で1mほど横に飛びながら倒れた。
アリサは戦闘はだめだと思ってたが、やっぱステータスはナタリーより高いし、スピードに関してはまあまあのもんだ。兵士なら大丈夫だろう。いざとなれば障壁あるしな。
俺は前から突っ込んでくる兵士をバールを右手に持ち、左手に弱い種火を作り、兵士に投げつける。俺は少しずつ前にでてた。
ふっと後ろを見ると、右側にナタリー、左にアリサが居たがサリイは真ん中でひとりでいた。そこに1人の兵士が上段に振りかぶって走りながらサリイを切ろうとする。サリイは盾を構えてるが、俺は不安だったのでバールのくぎ抜き側の曲がったところがあたるようにサリイに向かってきている兵士の顔にするどく投げつけた。
カーーンと音がして、兵士は後ろにぶっ飛んでった。
「バール、、本当に役に立つな、、、剣ならころしてた、、、」
兵士がふっとぶと、サリイはバールを拾って俺に走って持ってくる。
「ありがとうございます!ご主人様!」
「おう、戻ってろ」
「はい!」
けっこうな時間が立ったろうか、部屋の壁周りには大量の兵士がつみあがったりもたれたりしてる。もうナタリーとアリサたちは終わったようだ。兵士はぐったりか、呻いているかどっちかだ。立ってるやつはいない。
さて、ここからは俺のお料理の時間かな。
「さて、言ったよな?授業料は命で払えと」
俺はゆっくり前に進むと、領主はガタガタ震えながらしりもちを付いて後ずさっている。
すると、ランスロットがゆらっと領主の後ろから出てきた。
俺に向かって無表情で剣を抜いて、なんの構えもせずに歩いてくる。
「貴殿とはやりたくなかったのだがな」と、ランスロット。
あーあーやっぱりこいつとやるのか、どれ、本気でやらないとな。
「俺もだよ、勝てる気しねーよ」
「よく言う。こっちはここに立ってるだけで生きた心地がせんよ」
そのあとは俺たちは無言で見つめあう。ランスロットが領主と並んだと思ったら、剣を突き出して消えたように俺に突っ込んできた。
俺は左に避けて、野球スイングのようにバールを振る。
ランスロットはそれを剣を上向きに立て受ける。ギイイイイインと音がした。俺は右足でランスロットの股間を狙って蹴りを放つ。
ランスロットは3歩ほど飛んでバックし、そこからまた飛ぶように剣を突き出して突っ込んでくる。突きはやりづらい。
俺は右に避けて、腰を低くし、バールで足を刈りにいく。ランスロットはジャンプして交わすと、その足でアリサたちに向かった。
アリサは咄嗟に魔法障壁を張ると、剣は止まったがその魔法障壁に剣が突き立つ。
「てめえ、、、」
ランスロットは無表情で俺に振り向き、上段に構えて走ってくる。俺は振り下ろされる上段からの剣にバールを合わせて、左に流す。と、同時に右手に種火を作りランスロットの顔めがけ投げつける。
ランスロットはその種火を肩で受けた。そのまま一回転して剣を横なぎに俺に振ってくる。俺はバールのくぎ抜き側でそれを受け、剣に滑らせて、くぎ抜きでランスロットの手を傷つけるように狙う。ランスロットの片手にランスロットの篭手を突き抜けてバールが刺さったが、剣の勢いは死んでなくそのまま俺を切りつけようとする。狙いは足だった。
俺はひざをあげて、靴の足の裏で剣を受けた。そして剣を足の裏でそのまま押すと、ランスロットはその勢いを利用して逆回転で回ってくる。剣を横なぎにぐるっとまわしながら。
やばい、俺のステータスでもついてくのにぎりぎりだ。このままでは腹にくらう。バールじゃ間に合わない。
「練せえええええええええ!!!」
瞬間で床から土壁が1mぐらいたちあがり、剣はそこで止まる。一瞬だが時間が出来た。
俺はバールのくぎ抜き側をランスロットの頭めがけて振り下ろす。
ランスロットは驚愕の表情で首を曲げ、頭の攻撃を回避する。やっと表情が出やがったか。
その一撃は、ランスロットの左肩に突き刺さった。鉄の鎧を貫通し、肉を刺す感触が手に響く。
悲鳴もあげず、ランスロットはうしろに飛ぶが、俺は左手でバールを持ったまま前に飛び逃がさない。右手に種火を作り、魔力を込める。
そしてその種火を剣のように棒のように細く固くすると、それをランスロットの右腕に突き刺した。
そこからグアっと炎があがり、ランスロットの右腕は燃え上がっている。炎が顔に行かないように腕を平行に上げている。
ランスロットはニタアと笑っている。
「強いな」
「お前がな」
俺は左肩のバールを引き抜くと血が吹き上がる。
「やる気はなかったが、お前がアリサをねらったからカッときちまった」
「でないと貴殿の本気はみれなそうだったのでな」
ランスロットの右腕の炎は止まったが、腕は煤で真っ黒だ。鎧の中の腕はどうなってるのか。腕がだらんとさがったので、もう使い物にならんだろう。
「益の無い戦いだったが、最後に最高の戦いが出来たことを誇りに思う」
「・・・・・とりあえず寝てろ」
ランスロットはゆっくりと後ろに倒れこみ、ダーーーーーンとでかい音をたてて、ぶっ倒れた。
俺はアリサに歩いていって、
「良くやったな、良く見えたもんだ」
「・・・・・・・・怖かったわ、、、本当に、、、、、」
「おお、かわいいね、襲いたくなっちゃう」
「、、、、、、、ばか」
「そっちも大丈夫か?」
「はい、問題ありませんでした。致命傷は与えておりません」
「よくやった、ナタリー」
と頭をなでてやる
「さて、、、、、と」
領主はひいいと声を出し、またあとずさる。魔法使いがいるはずなんだが、見当たらないな。
俺はゆっくり領主に歩いていき、領主の目の前まで来た。
「なんで、俺を狙った?」
「お、お前が余に恥をかかせたからだ!!!」
「恥?」
「お前がオークを退治しなければ、余が退治していた!!」
「兵200しか門にいなかったし、あとの兵はここにいたんじゃねーか」
「ここで篭城すれば、ここは落ちん!!」
マジカよ、、、、ここまでかよ、、、、
「街は、、、、?」
「余が助かってから救えばいいのだ!!」
「それに!お前ほどの力は個人でもっていいものではない!!余が使うから生きるのだ!」
「その力でなにをするんだよ」
「決まっている!余を辺境などに押し込んだあいつらを、蹴落としてやるのだ!王族の余をこんな田舎に押し込んだやつらに復讐するのだ!!!」
本気でここまで救いようがねーのか?ありえねえ。
「・・・・本気でいってるのか?」
「余は王族ぞ!!何が悪い!」
「・・・もういい、、、、死ね」
俺は本気で殺しにいく。バールを思いっきり振り上げ、ぐぐぐぐっと力をためて、一気に振り下ろす!
領主は両手を前に突き出し、「あああああああああああああああ!!」と叫んでいる。
俺は領主の頭すれすれにバールを突き刺した。
領主は尿を漏らし、気絶した。
俺はランスロットに向かって歩き、ランスロットがまだ生きてるのを確認してから上級ポーションを飲ませた。
顔色に血色がさし、傷はみるみるふさがる。
ランスロットが目を覚ます。
「これは、、、、なぜ死んでない?!」
俺はタバコに火をつけて、
「知るかよ、、神にでも聞きな」
「・・・・・・」
「領主は泡吹いて気絶してるぞ?どうする?殺しとくか。チャンスだし、今ならうやむやにもできるし、俺がやったことにも出来るぞ」
「・・・・・・・・・どんな主君でも主君は殺せん」
「そうか、好きにしろ。俺は街を出る。明日の朝に出るから、それまでなんとかしろ」
「・・・・・・わかった」
たぶん、命をたすけたのが俺だと感じてるのだろう。根拠はないはずだが、状況が状況だ。
俺たちは邪魔な兵士を退けて出口に向かうが、ドアの前で止まり、
「なあ、ランスロット、ギルドマスターは領主を聡明と言ってたんだがどこにも面影がねーぞ?ありゃなんでだ?」
「たぶん、辺境に飛ばされたのが原因だろう、、、あのころから変わってしまわれた」
「そうか、まあいいや。じゃあな」
俺たちは屋敷を出る。
アリサが話しかけてくる。
「どう?私だってやれるでしょ?」
「すまん、お前の武力はベッドの上でしか発揮できないと思ってた」
「ひどい!!こんなもんじゃないのよ、今に見てなさい」
「ナタリー、お前も今回は少し自信がついたか?」
「はい、ご主人様、なにか踊り子という職業がわかってきたきがします。踊り子を意識すると剣がおどるのです」
「こえーこえー、いつか負けそうだ」
俺たちは、街を出る準備をするために、一度家に帰った。




