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眠れない

彼方:あの武器屋、罠が多くて本当に大変だった。

今日は宿屋に泊まり、早く寝て明日に備えないとな。まだ、宿を取ってないので、ギルドで紹介された宿屋に向かう。


今の時間から行って空いているかちょっと不安だが。武具屋に向かう前に宿屋に行って部屋を取っていれば良かったのだが、武具を早く手に入れたい気持ちが抑えられなくて現在に至る。たぶん大丈夫だろうと楽観的な気分で宿屋に行く。


空いてなかった。やっぱり武具屋の前に行くべきだったかなあ。仕方なく他の宿屋に泊まった。


値段は四千コモで、二食付きである。値段は前の宿屋の倍だった。お金にはまだ余裕があるしいいかなあ。


部屋は三畳ぐらいで、ベッドと机、椅子が一つずつあるだけである。窓もある。少し狭い気もするが、寝るだけだからいいか。

腹が減ったので、下の食堂で飯を食べることにする。


メニューはなく、出てきたのは、何の肉かわからないステーキと丸いパン、スープだった。パンとスープはお替り自由だったので、腹いっぱい食った。味はまあまあだった。


お腹がいっぱいになったし、やることもないので部屋に戻る。


明日は早いので寝ることにする。装備を外し、ベッドの近くの机に武器を置き、残りを床に置いた。ベッドは少し硬いが、寝られるし、異世界ならこんなものだろう。


布団を被り、目を閉じ、寝ようとする。だが、全然寝られる気がしない。明日が楽しみすぎて、気分が高まり、眠気がこない。


まるで、遠足前の小学生かと思うが、それもしょうがない遠足どころか、異世界に来ているのだから。でも、目覚まし時計がないから、早く寝ないと明日起きられないかもしれない。一応、目覚まし代わりに鐘が鳴るらしいが、起きられるか怪しい。


日本にいたころは、目覚まし二、三個セットしてたしなあ。眠れそうにないけど、横になり、目を閉じていれば、体は休まるだろう。


これからの事について考える。まずは、明日する事の確認をし、明後日は何をするか、何を目標にするか、どんなふうに、何をして生きていくか、何を優先するかなど考えていたら、体感で一、二時間は経ったと思う。早く寝たいがなかなか眠れない。色々と考えているのがダメなのか。


目が覚めると、今までの事は全部夢だったなんて事はやめてほしい。だんだんと眠るのが怖くなってきた。眠るという事は、何も考えられなくなり、意識がなくなる。それは死に似ていると思う。


だからもし、眠ったまま目覚めなかったら、寝ている間に死んだらと思うと少し怖くて眠れない。今までずっと大丈夫だったから心配はいらないだろうけど、異世界なので何が起きても不思議ではない。


寝ている間に殺されることも有りえる。国の偉い奴が俺を殺す可能性もゼロとは言い切れない。もし、殺すつもりなら碌に抵抗もできずにやられるだろうから心配してもしょうがない。それからもこれからについて色々と考えていた。


彼方:色々考えていても、いつの間にか寝ているんだよな。

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