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残念無念

残りのマフィアの拠点二つを潰してから、ボスのいる本拠地を攻める。

二つの拠点を潰すのに、二手に別れることにする。アリサには一人で拠点を潰してもらう。


アリサと別れたあとツバキの様子を見ていたが、気分が優れないみたいだ。たくさんの人間が目の前で死んだので、ある意味当然の反応なのだろう。今のままの状態で行けば、怪我をするかもしれないし、怪我で済まない事もある。それは困るので、気分を変えられるようにするか。


裏通りを歩いている時に人気がないことを確認して、こっそりツバキの背後に回る。

気付かれないように慎重にマントの下から手を入れて、メイド服のロングスカートを掴み、そのまま勢いよく腕を上げる。


スカートが跳ね上がり、中に隠れていたすらっとした長い脚が露わになる。

だが、流石はロングスカート、守りが堅く太股までしか見えなかった。

ちくしょおおお! 危険を覚悟でしたのに見えないとは一生の不覚だ! 今度する機会があれば必ず成功させると心に誓う。


「きゃぁ……」

スカートを捲り上げられて悲鳴を上げようとしたので、その口を手で塞ぐ。


「静かに、大声を出すな。わかったか」

ツバキは頷いたので手を放すと、頬に平手が飛んできた。


「い、いきなり何をするのですか!」

小声で怒ってくる。いいものを喰らって頬がいたい。


「いきなりじゃなくて、事前に聞いてからしたほうが良かったか」


「そういう問題ではないです! 時と場所を考えてください! 今の状況を理解しているのですか」


「ちゃんと時と場所を考えてやったよ。ツバキの気分が優れないみたいだから気分を気分を変えようとしたんだよ」


「そうだったのですか、お陰で気分も晴れました、その事については感謝します。だけど、他にやり方があったのではないですか」


「他に良い方法が思いつかなかったんだから、しょうがないじゃん」


「私のためを思ってしたようなので許します……それで、その……見ました?」

スカートの辺りを握りしめ、顔を赤くしながら、恥ずかしそうにチラチラと見てくる。


「非常に残念なことに見えなかった。俺に力が足りないばかりにこんな結果になって悔しい」

俯き拳を震わせて本当に悔しそうにしている。


「見えてないなら良かったのだけど。カナタってそういう性格でした?」

胸を撫で下ろす。でも、少し……いえ、やっぱりなんでもありません。


「普段はこういう事はしない。でも、我慢しないで好きな事をして、楽しく生きると決めたからな。それに今は嬉しい事があるから、テンションが上がっているんだ」


「何か良い事があったのですか?」


「ああ、マフィアのボスが遺産の保持者なんだ。それを手に入れられたらと想像するだけで、嬉しくて笑いが止まらない」


「え? 遺産を持っているのですか!? 遺産と言ったら国宝クラスのものですよ。遺産の保持者に勝てるのですか?」


「さあ、勝てるかどうかはわからないけど、遺産を手に入れる機会が目の前にあるんだ、これを逃す手はない。さっさと行くぞ」

遺産が手に入れば、一足飛びに強くなることができる。遺産はとても貴重なものだから、この機会を逃せば次のチャンスが来ることはないかもしれない。それに今回の保持者は、悪人だ。殺して遺産を奪ったところで罪にはならないし、誰にも文句は言われない。


ボスが保持している遺産の能力は、ものを自在に動かすことができる念動力みたいな能力だ。指輪についている緑色の宝石が遺産だ。遺産は武具の形をしていると思っていたが、一番重要なのは素材で、武具でなくてもいいみたいだ。


次の拠点の制圧は前より楽だった。生け捕りにする必要がないから、手加減しなくてすむ。それに、ツバキが活躍した。ナイフで敵を牽制してくれたおかげで助かった。


マフィアの本拠地に行く前に、アリサと決めていた集合場所に着いた時には、既にアリサがいた。途中の道でツバキとじゃれていたから遅くなったかな。

そういえば、アリサには遺産の話をしていなかったのでしたら、とても驚いていた。アリサも遺産の保持者と戦うことが心配みたいだ。


聞いた話から今回の戦いは分が悪いと思っている。もしかしたら死ぬかもしれない。

どう戦うか話し合ったが、良い作戦は思いつかなかった。


作戦は俺が斬り込んで、アリサがツバキの護衛をしながら攻めれる時は攻める。ツバキは後方からフレイムランスとナイフで援護をする。後は成功確率の低い作戦についても話して、例え誰かが倒れても、遺産を入手することを優先する。


いよいよマフィアの本拠地を攻める。

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