依頼達成
俺がホブゴブリンを倒した時には、アリサがゴブリンを全て倒していた。
依頼はここにいるゴブリンの全滅だ。だから、この遺跡の中を一通り見てゴブリンが残ってないか確認する必要がある。
「おい、ここまでの道すべてを確認したか?」
「はい、確認しましたよ。……ところで、お互い名前も知らないので、自己紹介をしませんか?」
「まあ、いいが。こんなところだから手短にいく。俺はカナタだ」
「私はアリサです。Cランクです。これからよろしく」
「私はツバキと言います。以前メイドをしていて、今はEランクの冒険者をやっています。これからよろしくお願いします。」
「そういえば、何さり気に仲間になっているんだ?」
「……え? 一緒に戦えばいつの間にか友情が芽生え、仲間になっているものでしょう」
「いや、お前、戦ってないじゃん」
「まあ、細かい所は置いといて」
「いやいや、細かくないから。重要な事だから」
「それでは……仲間にしてください」
上目遣いに頼んでくる。とてもかわいく見える。いや、実際かわいいけどさ。
思わず了承しそうになるが、何とか堪える。
「役に立つんなら、仲間にしてもいいぞ。今の評価は、ゴブリン相手に逃げ回る雑魚だけどな」
「ぐっ……確かに事実ですけど、本当は役に立ちますよ。スキルは、必中を持っています。魔法は、フレイムランスとサーチ、ブレスです。どうですか、すごいでしょ!」
自慢気に胸を反らす。メイド服の厚い生地ごしでもわかるほどに胸が大きい。
つい目がいってしまった。だけど、しょうがないじゃないか。あんなに強調されたら見てしまう、男だからな。
横からアリサの冷たい視線が刺さる。
ごほんっ、咳ばらいをして、ごまかす。
「確かにすごいな。正直言って羨ましいな」
「そうでしょ。もっと褒めてもいいんですよ」
また胸を反らして、調子に乗っている。俺としては眼福で嬉しいんだが、横からの視線が痛い。
「……ところで、必中って、絶対に当たるのか?」
「そうですね。盾とかで防がらない限りは、正反対の方向に矢を放っても、狙った所に必ず当たりますよ」
結構優秀なスキルだな。
「フレイムランスとサーチは何となくわかるから後でいいけど、ブレスはどういう魔法だ?」
「よくぞ聞いてくれました。この魔法を使えるだけでも仲間に入れる価値はありますよ。ブレスは他の人の身体能力を上げることができます。勿論、自分にも使えます」
確かにこれは絶対に仲間に欲しい。少しでも強くなれるなら、この機会を見逃すわけにはいかない。
「これからよろしくな、ツバキ」
「はい、これからよろしくお願いします」
それから、広間の奥に進み、暗い部屋に出る。さっきの広間と違い光石が置いてないので、自分の光石で部屋を照らすべく掲げる。そこには、剣や槍、斧などの武器や何かわからないガラクタが散らばっている。
手分けして、金目の物を探す。武器は特に良い物でもないので、そのままにする。色々と探したが、何もない。諦めてアリサとツバキを見るが、収穫は何もないようだ。
仕方ないのでゴブリンの討伐証明の部位を剥ぎ取る。ついでに死んでいる冒険者の冒険者証を持って帰ることにする。
これは、死んでいる冒険者を見かけたら、冒険者証を持って帰った方がいいとアリサに言われたのからだ。言われなかったらそのまま放置していた。
冒険者が金目の物を持っていないか調べたかったが、女性二人の好感度を下げるのは得策ではないのでやめた。どうせ大したものを持っていないだろうしな。
村長には、今回、金をケチってわざとゴブリンの規模を少なく言った事をギルドに報告すると伝えると、
金貨を何枚か握らせてきて、それはやめてくれないかと言ってきた。しょうがないので、今回はやめておくが次はないぞと警告する。
用も済ましたので、町へ帰るべく、一人増えた仲間と一緒に歩き出す。
明日からしばらく、ゆっくり休みたいなあと思うが、ツバキの話を聞いて、そうもいかなくなった。
マジでゆっくりしたいわー




