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勇者召喚 衝撃の能力

主人公:あれ? 持ってた鞄がない。小説の続きはどうなるんだよ!

すぐに足に地面の感覚が戻った。眩しくもない。

目を開けるとそこには、何度も夢見た光景があった。

石造りの壁、地面には先程の文字と模様がある。


前には、ローブを着た魔術師、武装した兵士、美しい姫。

それと近くにさっきの四人もいる。


姫が一歩前に出て来て、

「勇者様方、この世界を救ってください」

「えーと、状況がわからないのですが?」

同じクラスの男子が言う。


ずいぶんと落ち着いているな。他の奴はまだ動揺しているのに。


そういえば、俺が教室で小説を読んでいる時に、何の本を読んでいるか聞いてきたことがあったな。その時読んでいたのは、異世界に勇者召喚された高校生が魔王を倒す話だった。その本を読んだことあるって言っていたな。事前に知識があるから落ち着いているのか。


「そうですね。王より説明があります」

「力を貸すかどうかについては、話を聞いてからでもいいですか?」

「わかりました、王と謁見してもらいます。ついてきてください。」


兵士が大きな扉を開け、姫が先を行く。俺たちは遅れないように後をついていく。


俺は勇者として召喚されたことが嬉しく気分が高揚していた。勇者ということは、チート能力を持っている可能性が高い。どんな能力か今から楽しみである。でも小さな不安もある。


それは、もしかしたら他の四人に巻き込まれただけの一般人かもしれないということだ。他にも勇者の扱いだ。奴隷みたいに勇者を扱き使う可能性もある。


石造りの廊下を歩く。途中に窓があったので覗くとそこには中世ヨーロッパのような町並みがあった。 

じっくり見ていたかったがそんな暇はなく、廊下を歩いていき、謁見の間につく。


「よくぞ来た、勇者達よ。我はこの国の王、ガリオン=アルトロイだ。」

玉座に腰掛けている偉そうなおっさんが言う。

来たって、てめぇらが勝手に呼んだんだろうがと、言いたいところだが、召喚されたことには文句は無いし、それに相手は王様なので自重する。


予知のスキルを持っている王様が近いうちに世界に危機が訪れると予知したらしい。

予知のスキルでは、詳しいことはわからない。災いを退けるために、勇者を召喚したと。

俺的には、異世界に召喚されて正直嬉しいが、他の勇者はそうでもないみたいだ。

事情はわかったが、世界の危機っていうよくわからないものにどう対処しろと?


「話は分かりました。ですが、力を貸してほしいと言われても自分達に何かできるとは思えないのですが」

さっきから、受け答えは全てクラスメイトの男子がやっている。

俺も何か言ってもいいが、偉い人との話すのは気を遣ってめんどくさいので、彼が率先して話しているので任せることにしている。


他の奴も彼に任せている。彼の普段と変わらない堂々とした態度を見て、落ち着いてきたみたいだ。


「その事については何も心配はいらん。勇者は強力なスキルや魔法を使えるからな。あれを持って来い」

ガラス板を持った男がこちらに歩いてくる。

ガラス板は普段使っているノートくらいの大きさである。落としたらパリィンって割れそうだなあなんて考えていると、ガラス板を持った男が俺たちの目の前まで来ていた。

「その板に触れて、ステータスと唱えよ」


「僕が初めにするけどいいかな?」

まず、最初に動いたのは先程から話している男子。

名前は柊一真。黒髪で真面目そうな顔つき、優しそうな雰囲気を持つイケメンである。正義感が強く、性格も良好、クラスで一番人気のある男子である。


「うん。私は一真君が最初でいいよ」

栗色の髪の少女が答える。名前は井上彩。容姿が良く、性格は明るく気さくで、男女を問わず、誰にでも話しかける。男子からの人気は高い。


「わ、私も、いいよ。柊君」

おどおどしながら、黒髪の少女も答える。名前は来栖真梨。大人しい気質で、容姿は整っている。少しドジなところもある。


「いいけどよ、次は俺にやらせろよ」

金髪のチャラい感じの少年だ。名前は相川庄吾。顔立ちは整っているが、素行は良くない。運動神経は良い。


「わかったよ。次は相川君だね。じゃあやるよ」

板に触れてステータスと唱えると、板に文字が浮かび上がってくる。


<スキル>

万物両断、金剛力、守護結界、収納空間、異世界言語習得

<魔法>

ブレイブフォース


「スキルは、何でも斬れる強力なのと、身体能力強化系、防御系、収納空間は便利だな。魔法は勇者の力か、勇者にお似合いの能力だな」

冷静に見えるが、口角が少し上がっていて、嬉しそうなのを隠せていない。

勇者っぽい能力だなと思う。


次は宣言通り、相川がする。


<スキル>

疾風迅雷、雷帝の衣、収納空間、異世界言語習得

<魔法>

ライトニング


「おっ! カッコいいスキルだな、俺に合っているな」

こっちは素直に嬉しそうにしている。


「じゃあ、次は私がしてもいいかな? 来栖さん」

「えっ……うん、いいよ」

「いくよー」


<スキル>

二重詠唱、思考加速、収納空間、異世界言語習得

<魔法>

ホーリーランス、サイクロン、ハイドロカノン、フレア、ストーンスパイク、リザレクション、シールド


「魔法使いって感じだね。良かったー、私あまり運動は得意じゃないから。一真君頼りにしているからね」

「ああ、任せてくれ」


「あ、あの! 次、武藤君どうぞ」

「いや、俺は最後でいいから。来栖、先にやっていいよ」

「う、うん。それじゃあ、先にするね」


<スキル>

守護獣召喚、看破、収納空間、異世界言語習得

<魔法>

テレポート、インパクト


「守護獣って、どんな動物なんだろう?」

「さあ? 犬とか猫とかじゃないか」

「そうなら、かわいいね」

「戦いとか向いてなさそうな来栖にはいいんじゃないか」

「うん、そうだね。次は武藤君だよ」

「ああ」


これで、残っているのは俺だけだ。

俺、十六夜彼方は、黒髪、容姿は並、成績は平均以下。頭が悪いわけではなく、単に勉強をするのが面倒くさくてしてないだけだ。地の頭はいいと思っている。運動神経は良い。クラスでも目立つことはなく、たいてい一人でいる。


どんな強力なスキルや魔法があるのか。

期待と小さな不安を胸に抱きながら、板に触れてステータスと唱える。


<スキル>

異世界言語理解

<魔法>

ヒール


「……」



十六夜彼方:俺の勇者としての活躍は終わった。始まってもないのに。

      この結果に納得できないので、やり直しでお願いします。

      え? できない? 異世界に召喚されても現実はクソゲーですか!?

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